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#6 資料調査であちこち行きます!(stand.fm配信用原稿)

(これは、stand.fmに開設した「kazの研究室ラジオ」の配信用原稿です。音声配信については、以下のstand.fmの僕のページから聴いていただけます)

01 あいさつ・番組紹介

(この番組は、とある地方の私立大学で教員をやっている僕、kazが大学教員や研究者としての視点から、日々の生活や、いつも考えていること、たまに学問的な関心や学術的なことなどをマイペースに発信していく番組です)

02 本編:資料調査でこんなとこに行きます!

・前々回の配信で、今年は新型コロナの影響で研究活動もオンラインになって、資料調査にほとんど行けなくなったっていう話をしました。

・僕の専門は教育史で、歴史研究が中心なので、とにもかくにも文献資料にあたらないと研究そのものが進みません。

・特に、研究のフィールドが日本だけじゃなくて、台湾や香港も研究対象なので、(以前は)だいたい2か月に1回ぐらいのペースでどこかに出かける日々を過ごしていました。

・資料調査の目的で訪れる場所は、だいたい大学や国立・公立の図書館が中心なのですが、そうした公共施設だけが訪問場所ではありません。

・わりと歴史研究ではオーソドックスですが、地域の「名家」と呼ばれるような方が住んでいるお屋敷を訪れて、そこのある蔵を開けてもらって、「お宝さがし」のように文献資料を見せていただくということもやります。

・あとは、教育史ということで、小学校や中学校に行って、昔の学校に関する資料や、学校で昔使っていたものなんかを見せてもらうということもありますね。

・特にここ数年は、台湾各地にある小学校に行く機会が多くありました。

・僕の研究対象のひとつが、台湾の植民地時代の教育について研究するということなのですが、台湾は1895年から1945年まで、日本の植民地統治を受けていたんですね。

・今の台湾にある小学校(国民小学といいます)のうち、少なくない数の学校が、この日本による植民地統治の時代に作られた学校の歴史を受け継いでいます。

・そうした日本による植民地統治下で作られた学校の歴史を受け継ぐ、今の台湾の小学校のなかには、この植民地の時期の資料が結構残されているんですね。

・その一部は、台湾の研究機関や図書館などの公共施設に移管されたりしていますが、まだまだ見つかっていないものもあります。

・先日も、台湾北部の新竹にある竹東国小というところで、日本統治期から保管されていた金庫を開けてみたら、学校の沿革を記録した沿革誌が見つかったと報じられていました。

・こういうニュースは結構、台湾のあちこちの学校であることで、僕も研究仲間と一緒に、実際に学校に足を運んでいろいろ探したりしています。

・学校によってはきちんと資料を整理して大事に保管しているところもありますが、その反面、「古い紙切れだし、日本語で書かれていてどういうものなのかわからない」ということで、捨てられてしまったり、段ボール箱に詰め込まれたまま、物置などに放り込まれたりしていることもよくあります。

・捨てられてしまったものは僕たちにはどうしようもないのですが、捨てられてしまう前に、なんとかそういう昔の資料を見つけ出して、その「大切さ」を学校の先生たちと共有する必要があると思って、日々、いろんなところに調査に行くというのが、ここのところのルーティーンワークでした。

・この調査では、思い通りの資料が見つかるようなことはなかなか無いんですが、こういう活動をきっかけに、学校の先生や地域の人たちと仲良くなることが多いんです。

・そのつながりから新しい資料の発見につながることもあるし、直接研究とは関係なくても、地元のことを詳しく知っている人がいろんなことを教えてくれたり、あちこちご飯や観光に連れて行ってくれたりするので、自分がフィールドにしている場所のことを詳しく知ることができるようになります。

・僕の研究自体は資料を見つける・資料を見ることが目的ですけれど、そういう研究を支えてくれているのは、結局、こういう人と人とのつながりなのかなぁということを思いますし、そういうつながりが楽しかったりするんですよね。

・今年はこういう経験がほとんどできないまま、一年が過ぎていくので寂しいのですが、来年はまたいろんな活動をして、いろんな人とつながれるようになったらいいなあと思います!