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就労支援日記⑨~うつ病は「心の病」なんかじゃない~

うつ病について、日ごろから感じていることをもうひとつ。

うつ病を表現するときによく用いられる言葉に、「心の病」なるものがある。

いきなり結論から言わせていただくと、「心の病」なる言葉は、「百害あって一利なし」だと思っている。

そもそも「心」なるものは、いったいどこにあるのだろう?

人によっては頭を指さすだろうし、またある人によっては心臓あたりを指さすかもしれない。

「心」なるものは、かようにどこにあるのかすら、不分明なものなのである。

そんな不分明なものが、「病む」。

考えれば考えるほど、わからなくなっていく。

現場で支援をしている感覚では、うつ病とは、「動きたくても動けなくなる」という身体機能障害という理解の方が、とてもしっくりする。

「仕事にいかなきゃ」、「学校にいかなきゃ」、「布団から起き上がらなきゃ」…。

頭の中ではこんなふうに思っているのに、身体が動かない。

必死で動かそうとすると、まるで身体中に錘がついているかのように、とにかく重い。

そして動かない身体に呼応するかのように、焦燥感が怒涛のように頭の中を駆け巡る。

やはり身体機能上の疾患と理解したほうが、無理がないような気がする。

身体疾患的な例で言えば、例えば発熱がひどくて身体を動かそうとしても動かない、痛みがひどくて身体を動かそうとしても動かない。

うつ病であれば、心身の疲労が激しくて身体を動かそうとしても動かない。

このような事態を、どうして「心の病」などと呼称する必要性があるのだろうか?

うつ病が、一日もはやく「心の病」という「言葉のブラックボックス」から解き放たれることを、願ってやまない。

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