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【COVID-19】スウェーデン、デンマークでの映画製作における新しいルールとガイドライン<日本語訳>

当記事は、2020年4月20日、北欧を拠点とする広告系の制作会社『Hobby Film』が発表した、ウィズコロナ期間における映像制作のガイドラインの日本語訳になります。

コロナ禍に発表された世界初のガイドラインとして、Forbes をはじめ数々のメディアで注目を集めているものですが、パンデミックの状況をはじめ、日本とは文化も撮影環境も大きく異なる部分があるので、あくまで参考情報として見るのがよさそうです。

より正確な情報は、元記事をご参照ください。もし誤訳がありましたら、お手数ですがコメント欄にてお知らせください。適宜、訂正してアップデートいたします。
引用:http://nordicfilmguide.com/

序文

スウェーデンでは、最大50人規模での映画撮影が許可されています。2020年4月14日より、デンマークでは「通常」の映画制作が再開していますが、そこには新しいルールが適用されてます。

このサイトは、COVID-19 流行中のスウェーデンとデンマークでの映画製作に関して、包括的で関連性のある情報を、政府のガイドラインと立法に基づいて提供することを目的としています。

また、これが多くの関係者の目に触れる初めての機会であることを踏まえて、北欧の映画製作の能力(capabilities)に対して、より一般的な観点で理解を得ようとするものです。

この情報がお役に立てれば幸いです。

このウェブサイトは商業映画の製作に焦点を当てていますが、ほとんどの情報は映画、テレビの制作全般に適用できるものとなっています。

法的免責事項: . 本サイトに掲載されているすべての情報は、映画製作の状況や適用されるルールを正確に表現するために収集・集計されていますが、情報の正確性を鵜呑みにしないよう気をつけて下さい。いかなる場合でも、出版社は提供された情報の正確性について責任を負うことはできず、またその詳細が完全、正確、最新であることを保証するものではありません。提供されたすべての情報は、修正、訂正、または省略されることがあります。

LEGAL DISCLAIMER: : Although all information on the site has been collected and aggregated in an attempt to provide an accurate representation of the film production landscape and applicable rules - the user should not take the accuracy of the information for granted. In any case, the publisher cannot be held responsible for the accuracy of the information provided nor give a guarantee that the details are complete, accurate and current. All information provided is subject to modification, error or omission.

[COVID-19] スウェーデン、デンマークでの映画製作における新ルールとガイドライン

以下は、現地の法律および政府機関と保健当局の公式勧告に基づく、デンマークとスウェーデンの映画制作に関する現在の要件の概要です。両国で要件が異なる場合は、より厳密なものを優先しています。

現時点では、私たちの業界に特化した勧告や、映画の制作現場の実状に対処するための勧告はありません。そのため、以下に示すCOVID-19の蔓延を減らすための業界特有の対策は、より広く適用可能な作業環境のルールやガイドラインから導き出されています。

関係当局より承認された映画業界向けのガイドラインは、近日中に公表される予定です。しかしながら、我々は以下の情報が、規定された一般的な要件に忠実であることを保証するものであり、これは、そのガイドラインが公表されるまで、映画の製作サイドが保留するよう指示されたものです。

こちらをお読みください

世界中の多くの人々が、このガイドラインを政府が発行したものと認識しているようですが、実際はそうではありません。

職場、建築現場、外食産業、美容師、個人に適用される労働・衛生当局の公式ガイドラインをまとめたものがあり、(このガイドラインは)それを HOBBY FILM 側で、映画の撮影現場向けに適用したものになります。

私たちは、現在、映画業界に蔓延している混乱と不安に悪い影響を与えるつもりはなく、また誤解を与えたり、これを他のものとして紹介するような意図もありません。

国際的な映画業界の中で「公式ガイドライン」の最初の事例を探している人のために、ノルウェーのプロデューサー協会(Produsentforeningen)が、このガイドを差し出した、ということはあります。

概要

これらは、現時点で COVID-19 関連の重要なポイントであり、以下に示す包括的な要件を簡略化したものです。

1. 制作作業には、ソーシャル・ディスタンスの維持が必要となる。
∟ これは、より必要最低限のスタッフで、各部署が順番に作業できるようにするための計画を意味します。これにより生産性は低下します。われわれはそれを約10%程度と推定しています。

2. 撮影現場の最大人数は50人に制限する。(スウェーデンの場合)

3. 室内撮影の場合、全員が同時に4㎡の間隔を保つ

4. 互いが密着する必要のある群衆のシーンの撮影は、現時点では責任を持って行うことはできません。

1. 必須要件

制作会社は発注者として、適切な衛生状態の維持、社会的距離(social distancing)を確実に実施するなど、感染のリスクを最小限に抑えるための政府のガイドラインを確実に守らなければなりません。

1-1 ソーシャル・ディスタンスの維持
スタッフが作業中に 2m の社会的距離(social distance)を保つことが必要となります。すべての撮影において、撮影現場で許可される最大人数は50名です(スウェーデンの場合)。

<室内撮影の場合>
一度に立ち入ることができるスタッフの最大人数は、撮影場所の空間の広さに基づきます。一人あたり、家具なしの場合は 4㎡ 以上、家具付きの場合は 6㎡ 以上の広さが必要です。

1-2 現場の人数を最小限に抑える
現場のスタッフの数は必要最小限に保つ必要があります。代理店とクライアントも同様に、できるだけ少ない数の代表者を送ることが推奨されます。

1-3 集合時間と現場入りについて
現場入りの際の混雑を防ぐため、可能な限り、集合時間をずらし、各部署が時間間隔を空けてアクセスできるようにすべきです。ほとんどの人は車移動することが予想されるため、公共交通機関に関する混雑対策は必要ないと考えられます。

1-4 ワークフローの最適化
可能な限り、同じ場所での作業は、最小限のスタッフのみで行えるよう調整が必要となります。たとえば、美術部が終了して現場を出るまで、照明部は作業を開始しないなど。

1-5 現場での衛生管理の推進
現場にいるすべての関係者は、衛生面でのガイドラインを遵守し、病気を広げるリスクを最小限に抑えるために必要な行動をとることが求められます。 アルコール手指消毒剤は、入口や共用エリアに設置します。

適切な手指衛生を維持するための情報は、保健所からの公式の印刷物と現場でのアナウンスを通して、現場にいるすべての関係者に提供されなければなりません。

1-6 クリーニングの条件
制作会社には、ドアノブ、表面(surfaces)、トイレの備品、および複数の人間が使用する機器などの接触面をこまめにクリーニングをする責任があります。複数の人間が使用するワークステーションは、使用者が変わるたびにクリーニングをする必要があります。

1-7 病気について
COVID-19 の軽度または重度の症状を示す人は、現場への立ち入りを許可されていません。乾いた咳、発熱、筋肉痛、喉の痛みは、COVID-19 の症状と考えられています。

1-8 情報
COVID-19 感染によるリスクに関する情報、および現場にいる全員がどのような行動を取るべきか?については、共有スペースに掲示する必要があります。これには代理店とクライアントも含まれます。

2. 個人の責任

現場にいる全員が、次のことを実行してCOVID-19の感染を防止する責任があります。

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・こまめな手洗い、またはアルコール手指消毒剤で手を消毒する。
・咳き込むときは手ではなく服の袖に。
・身体的な接触を制限する。握手、頬へのキス、ハグを避ける。
・家庭でも職場でも、こまめに掃除をおこなう。
・年配の方や慢性疾患の方は、人混みを避け、体調管理を呼びかける。

3. 具体的な実施方法

作業環境に関する政府のガイドラインを映画製作の現場に適用します。

3-1 撮影シーンに関する制限
社会的距離を十分に保つことができない群集シーンの撮影は、感染のリスクが高すぎると考えられます。

例​​:ナイトクラブのシーン、教会の会衆、政治デモ

ディナーなど少人数のグループによるシーンは、許可されます。より多くの人々がいるシーンでも社会的距離を維持できる場合は、室内、屋外に関わらず、許可されます。たとえば、オフィスや街中のシーンで、距離をあけた状態で背後に通行者がいる場合など。

物理的な接触を必要とするシーンでは、参加する俳優は撮影の前後に手を消毒する必要があります。

現時点では、キス、セックス、1人の俳優が別の俳優の顔に触れるようなシーンに関して、公式のルールはありませんが、これらが社会的に許されている(奨励されている)という事実に従えば、責任を持った上で行うべきものと思われます。

3-2 ロケーションに関する制限
20㎡ 以下の狭い空間で撮影する場合、撮影中は以下のスタッフのみが立ち入りを許可されます。

カメラマン、フォーカスプラー、録音部

制作部は、その他すべての関係者のための遠隔のモニタリング環境を用意する必要があります。また狭い撮影空間の中で、結果として、社会的距離を維持することが困難な場合は、マスクを提供する必要があります。

スウェーデンでは公共空間での撮影は許可されています。デンマークでは公共空間での撮影許可に対する正式な回答を得るために、現在、デンマークの警察と対話を行っています。一般的には、現行のルールでは、ケースバイケースで許可が必要となります。

3-3 クラフト&ケータリング
ビュッフェ形式の食事は許可されていません。すべての食事は1人分を個別に取り分け、表面の汚染を防ぐような方法で提供する必要があります。

すべてのドリンクは、個別の容器で提供する必要があります。水のボトルや缶などです。また以下のものは禁止されています。

・セルフサービスのコーヒーステーション
・器に盛られたお菓子または包装されていない食品
・個別に包装されていないフルーツ

テーブルでの食事は、各20分間の2回に分けて行うものとします。
Sit down meals are to be split into two seatings of 20 minutes.

食品を扱う人間は、事前の手洗いを徹底し、手袋を着用してください。一般的なルールとして、現場でのケータリングは、フードサービスに関する政府のガイドラインを遵守する必要があります。

3-4 キャスト
キャスティングは、原則としてビデオ会議または自己紹介動画などを使用してリモートで行う必要があります。

お芝居のなかで、物理的なやり取りが必要となる家族のキャスティングでは、可能な場合は、実際の家族を使用するべきです。これにより、物理的な接触がすでに存在する家族の範囲内に保たれます。

感染後に重症リスクの高い人々(つまり「高リスクグループ」に属する個人)は、保健所が感染リスクが無視できる程度になったと示すまで、いかなる制作においてもキャストしないでください。(私たちは年齢に基づいて差別したくないのですが、これは実際、70歳を超える方々をキャスティングできないことを意味します。)

3-5 ヘア&メイク
演出的に許される場合は、ヘアメイクはメインキャストのみにする必要があります。現時点では、ヘアメイク時にマスクは必要ありません。

ヘアメイク作業の前後には、俳優とヘアメイク担当者ともに手洗いまたは消毒が必要となります。化粧品(Applicators)を別の人に再利用することはできません。これにはマスカラと口紅が含まれます。

作業場は使用者が変わるたびにクリーニングする必要があり、最低 2m の間隔を空ける必要があります。

3-6 衣装
スタイリングの補助は、メインキャストにのみ許可されています。スタイリングの前後に、俳優とスタイリストともに手洗いまたは消毒が必要となります。

すべてのサブキャストは、可能な限り、私服を着用し、家で着替えを済ましてくるべきです。これが不可能な場合は、制作部はソーシャル・ディスタンスを維持しながら着替えられる施設を提供することが必要となります。

3-7 DIT ベース
可能であれば、ベースを屋外に設置する必要があります。可能な場合に限り、代理店・クライアントとスタッフ間のやり取りは最小限に抑える必要があります。

3-8 待機場所・共有スペース
可能であれば、すべての共有スペースと俳優の待機場所は屋外に設定する必要があります。座席は社会的距離を考慮した上で配置し、座席の振り分けにより、各部署の間のやり取りも最小限に抑える必要があります。また、そのグループ分けは休憩時間にも維持されます。

4. 追加の予防措置

COVID-19の蔓延を制限するという政府の要件に加えて、いくつかの追加の対策を講じたいと思います。現場での感染リスクを最小化できるよう、できる限りのことを行います。

4-1 マスク
現時点ではマスクは必須ではありませんが、現場のすべての人にマスクを提供します。また、社会的距離の維持が困難となりえる、室内空間での使用を強くお勧めします。

執筆時点では、3層のサージカルマスクの提供を予定しています。生産性を損わず着脱する方法を明確に示しながら、マスクは社会的距離の代わりになるものではないことを強調します。

N95 マスクは提供しません。世界的な不足が依然として考えられており、医療関係者からマスクを取りたくないためです。

4-2 換気
エアロゾル粒子による感染のリスクを最小限に抑えるため、すべての室内空間の換気を優先します。窓を開けるまたは自動換気のいずれかによる。

5. 重要な注意点

これらのガイドラインはスウェーデンとデンマークにのみ適用されます。

地方自治体の封じ込め戦略、人口統計学的要因、現在の感染率により、他の国ではより厳格な、あるいは異なる予防策が講じられる可能性があるため、これらがより広い国際的な文脈で適用されるとは思われません。他の地域での撮影については、常に現地のガイドラインと法律に従ってください。

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