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【読んだ】 シン・ニホン

慶應義塾大学 環境情報学部教授、ヤフー株式会社 CSOでもある安宅和人さんの新書を読んだ。

これまでに、TEDxTokyo 2016の動画や、著者が登壇しているGLOBISの動画も見た。また、全編公開されている慶應SFCでの授業「データ・ドリブン社会の創発と戦略」は大変勉強になった。

この本には、データやAI、人材育成から日本の再生シナリオまで、多くのデータを図表にして掲載している。まさに、ファクト(事実)に基づいて語っているので、約400ページもある書籍だがスラスラと納得感を得ながら読み進めることができた。

AIやデータといった技術的な視点だけでなく、最後には、AI時代の変化の先を見て、持続可能な世界を目指し、人が自然と融和する「風の谷」構想で締めくくる本の構成は圧巻の一言に尽きる。

読了後、約400ページもある本は、カラフルな付箋で彩られ、いたるところに赤ペンで線が引かれる状態になった。そして、その中でも特に以下3つを忘れずに、自ら手を動かして実践していきたいと感じた。

データ×AI活用の基本ループ(P.38-)
データ×AIシステムの中心にあるのは、訓練すればより成長する学習システムであり、学習に基づくアルゴリズムの自動適用だ。
1:サービスの価値が上がる
2:よりユーザーが集まる、もしくは利用が増える
3:データが増え、状況把握が進む
4:アルゴリズムの性能が上がる
5:打ち手の質が上がる
  (→1に戻る)
アルゴリズムの変更やデータの取り方の見直しこそが、データ×AI化された世界のPDCAの中心になる。
未来の方程式(P.55-)
これまでは「スケール」を取り、大きな売り上げ、付加価値、そして利益を生めば企業価値につながるのが富を産む方程式だった。しかし、この非連続的な変化に富む局面では、そもそも「未来を変えている感」が企業価値になり、これをテコに投資し、最終的に付加価値、そして利益につながるという真逆の流れになった。
単なる技術オタクではダメなのだ。大切なのは、目に見えない特別な価値を生み出せるかどうかだ。素晴らしい世界を描き、領域を超えたものをつなぎデザインする力が、これまで以上に重要な時代を僕らは生きている。
未来(P.238)
これからの都市は全世界的にコモディティ化し、それ以外の空間の価値が大切になってくる可能性が高い。ただ単にテクノロジー化するゲームは終わり、環境的に持続可能で、次々と建て替えなくとも味わいのある空間を作れるかどうかが大切になる。

これからは、積極的に夢と技術とデザインを掛け合わせ、多様性が調和する森のような未来を妄想しながら、少しでもリアルな世界でカタチを創っていきたい。

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