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靴職人

「そういえば、靴が届いていたな。」

かかとの修理を依頼していた靴が、先週末に届いていたことを思い出したのです。かかとが新しくなった靴を眺めます。触ってみたりもします。

「うむ。なかなかいいな。」
すり減った靴を思い出し、修理に出してよかったなあと、満足しました。

「あれ、ここにあったキズが消えている。」

擦れて色が薄くなっていた所も、補修されているのです。確か、かかとの交換だけのはずなのですが、「期待」以上の修理だと感じました。何せ、仕上がりが綺麗というよりか丁寧なのです。

「(この靴を修理して)相手に届けよう。気持ちよく履いてもらおう。」

職人さんの、そんな気持ちが伝わってきます。かかとの減り具合から、私の歩く癖もきっと分かるのでしょう。

その職人さんとは、お出会いしたこともなければ、話をしたこともありません。お名前も分かりません。それなのに、職人さんの誠意が伝わってくるのです。

互いに「対価」に見合ったサービスを求め合うのではなく、相手を思いやる気持ち、誠実な心遣いが大事なんだなあ、と考えさせられました。

とある土曜日の朝、暖かい気持ちになりました。

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