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舞台人の起源。#記憶喪失の名探偵 #2月 #シアターkassai

「演奏に大きいも小さいもないだろ!ひとりでも観て下さるお客さんがいるなら、その人のために全力でやれ。」

どうやらこれは2011年7月頃。高校3年生の頃に、夏の全国大会前の和太鼓部のミーティングで俺が言った言葉のようで(勿論、いまでもうっすら記憶があるよ)、最近はどうか分かりませんが数年前までは顧問の今田先生が父母懇談会で講演をやるとき等によく「部員の言葉」として紹介してくれてたりもしたみたいです。

確か、このときは全国大会の会場が福島県だったのですが『3.11(東日本大震災)』の影響で元々会場として使う予定だった施設が避難所になってしまい一度は中止発表が出てしまったのですが、沢山の大人の人たちが動いてくれたお陰で、会場を岩手県の避難所として使われていない施設に変更して何とか開催できる事になりました。
それにより、「せっかく東北へ行くのなら!」と俺たち(和太鼓部)は全国大会の後、二ヶ所の仮設住宅を訪問し、そこで生活している方々に向けて慰問演奏をすることになったのです。

そのときに、当時の部長の悪気ない言葉(熱意)が「俺は全国大会の結果なんかどうでもいいから被災地の皆さんのために頑張るぞ!」といった感じで一部の部員たちに歪んで伝わってしまい、その言葉に不信感を覚えた一人の後輩が意見したことで急遽、部員全員でミーティングが開かれることに。

そして、そのミーティングの内容は『全国大会と被災地の演奏、皆はどっちを頑張りたい?』みたいなことを、部員一人一人に聞いていく。と言うものでした。

曖昧な記憶ながらに、このときの話し合いを「馬鹿らしいな」と強く思ったことを鮮明に覚えています。

俺たちの演奏を観て下さる人をわかりやすく三種類【普段の地域のお祭りやイベント会場で演奏を観てくれるお客さん】【全国大会の審査員】【被災地の人たち】に分けるとして、殆どの部員たちが、

【全国大会の審査員】>【被災地の人たち】>【普段の地域のお祭りやイベント会場で演奏を観てくれるお客さん】(若しくは【全国大会の審査員】【被災地の人たち】を入れ替えた順番)

と考えており、勝手に「お客さんに優先順位」を付けていたことに腹が立ったと言うか、シンプルに「皆、アホだな。」と思ったのです。

と言うか、そもそもこんなミーティング(話し合い)をすること自体が俺たちの演奏を観に来てくれるお客さんに失礼だし、舐めてるなと。

(当時はあまり触れたくありませんでしたが演奏する会場によって集客にムラがあり、いくら練習を頑張ろうが『全国大会常連校』と言う看板があろうが、俺たちのやっている事はお客さんが入らなきゃ成立しない。と言う現実を俺は嫌と言うほど痛感していました。)

「俺が全国大会の審査員だったらこんな風にお客さんに優先順位を付けて演奏する奴らを選らばないし、俺が被災地の人だったらこんな話し合いをする奴らにワザワザ来て欲しくない」と全体にキレました。

長くなりましたが、そのときに出てきた言葉がそれ(一番上)です。

補足ですが、このあと俺たちは全国大会本番で『優良賞(全国3位に匹敵する賞)』を受賞し、被災地訪問演奏ではお客さんが涙を流しながら俺たちに激励の言葉をお話しして下さいました。

我ながら、「当時の自分は良いことを言ったな。」と現在でも思うことがあります。笑

このときの事はきっと、舞台人として活動する“いまの自分”に活きています。
勿論、役者として活動するのは良いことばっかりじゃない(と言うか辛いことの方が多い気がする)けど、一番は「観に来て下さったお客様のために」を忘れずに本番を迎えられるのは、少なからず“当時の自分のお陰”だと勝手に思ってます。

そんなこんなで、

2月2日~6日まで、池袋のシアターKASSAIにて正体隠匿系ボードゲームが原作の『記憶喪失の名探偵』と言う舞台に出演させて頂くので、もし良ければ観に来て下さい。

チケット購入はコチラより。お待ちしております。

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