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Andrew Kovacs Studio: week_9

迷走気味だった前回に引き続き9週目。今回はAaron Jonesという人のレクチャー。何となくだが、ゲストの方が建築に近い人が増えている気がする。
前回のエスキスとメールのやり取りから色々考えたが結局どうすればいいか分からず新しいものはほとんど作れなかった……。今回含めてFinal Reviewまでエスキスはあと4回。考えをまとめて手を動かし始めねば……。

前回はこちら。

01. Aaron Jones Architect

一つ目に紹介されたのはReality Rejectsというインスタレーションで、サウンドアーティストやパフォーマーのコラボである。Aaronは不動産やデベロッパーとのコラボより、パフォーマーなどとのコラボの方が変なことができて面白いと言っていた。会場に小屋の構造のようなものが挿入され、見る、見られるといった関係、奥行きやパースなど様々な視点が作られている。

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fig. 1 Reality Rejects

次も他のアーティストとのコラボで、Complex Movementsという作品である。このテントのような構造体の外側から光を投影し、人々は中からそれを見て楽しむというもの。幾何学的な構造のインスタレーションで、分解して移動することができるのがAaronの特徴の一つであり、それはパフォーマーがパフォーマンスを何度も繰り返すことができるのと同様であると思う。

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fig. 2 Complex Movements

次の作品はElectric Sheepというもので木のような模様だが、そのスケールが大きく操作されたパターンを作り、それにより構成されたインスタレーションである。Aaronはfaux finish(偽物の仕上げ)を作る道具を作り、従来の建築の類型と偽物のマテリアルの混合(mashupと言っていた)を試みた。
この模様を作る道具は他の作品にもそのまま使われている。

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fig. 3,4 Electric Sheep

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fig. 5 Shine A Light

全てを紹介するのは大変なのであと二つ書こうと思う。Digestという作品で、モンスターが建物を食べて浸食していくというストーリーから生まれたインスタレーションである。風船のような構造でできたトンネルの内部に、消化された建築の要素がプリントされている。そのトンネルは物語に没頭する環境であると同時に、その物語の役者そのものでもある。

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fig. 6,7 Digest

最後はAaronが最近取り組んでいるWeb Model Dot Spaceというプロジェクトである。lidarでスキャンした建物をweb上でも見られるようにするプロジェクトだが、それをもとに紙でドームを作ったり、3Dプリントしたりと、物理空間での体験に還元するということもしている。

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fig. 8 Web Model Dot Space

Aaronのプロジェクトは話の初めにもあったように、パフォーマンスのようなところがあると感じた。インスタレーションを組みなおして同じものを再び作る、ストーリーから空間ができ、その空間がストーリーを再生産しているという、自己言及的な繰り返しがある。その繰り返しや循環にプロジェクションや3Dスキャンなどのハイテクな技術と、模型や空間などの身体的である種ローテクな側面が織り交ぜられているように感じた。木目の作品やDigest、3Dスキャンの作品などは、フェイクとリアルの往復とも捉えられるかもしれない。

02. Section

前回の講評を消化しきれず、結局ほとんど新しいものを持っていけなかった。新しく作ったのはアクティビティのカタログとメガストラクチャーの絵の焼き直しのみ……。

組み合わされていない状態でアクティビティを並べると、ファサードや他の要素とこれらが並列になり、コラージュの材料の一つとして見えるようになったと思う。確かにメガストラクチャーに挿入するプログラム(?)の参照リストのようになった。しかし今見ると写真の編集がひどい……。

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fig. 9 想定される活動

そしてマスタープランをもう少しズームインした絵を作った。以前作成したものよりもインフラ感が増している気がする。範囲が広すぎるとダイアグラムのように見えるのだろうか。実際に設計した部分も小さく見えてしまう。
Andrewには、都市スケールの広い視点とディテールの見える細かい視点を往復し、調停することが必要で、それができ始めていると言われた。前回まで模型で作っていた平面ドローイングは部分的過ぎたのだろうか。
加えて、ムービーでスケールの行き来を表現しても面白いと言われた。スケールの行き来に関しても、細長い介入の連続性に関しても、動画で表現したら面白いかなと思っていたので、最終講評には動画で見せたい……。

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fig. 10 week_6で作成した平面ドローイング

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fig. 11 今回追加した平面

そして前回に作った断面について。もっと自由に、偶発的な活動が点在しているように見えるといいと言われたが、断面を作っていく方向性はいいと言われた。詳細スケールは断面で、どのような活動や移動がそこにあるのか見せられそう。もっと様々な特定の場所、坂がある場所や地下鉄、交差点などで断面を作っていくといいとのこと。詳細スケールは断面がいいと言われた。

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fig. 12 断面ドローイング

しかし、二つの極端なスケールを行き来する中で、平面か断面か、もしくは両方なのかの判断がまだつかない。都市スケールは平面しかないだろうが、詳細は平面で見せても平面的な回遊性やオブジェクトの点在、コラージュ的な場の作り方が分かる気がする。断面も長手と短手で垂直方向の回遊性と周辺との関連で、伝えられるものが異なる。それぞれ見せたいものがあるが、都市スケールとの対応が難しいところ。

Aaronには、断面では個々の活動が見えるが背景の銀座のファサードが消えていて、この絵がやりたいことを端的に表している可能性があると言われた。他の建物、周辺の環境をミュートしていると言われたが、どちらかと言うとそれは本意ではない。この断面と周辺環境をどう表現しようかはまだ決めかねている。
平野さんにも、短手の断面で周辺との関係を見せたらいいと言われたが、ちょうどいいスケールが分からない……。うまく絵が作れるだろうか。

またAaronに、それぞれの要素が視覚的にどのようにつながって見えるのか、あるいはつながって見えなくてもいいのかという指摘を受けた。例えば全体が一段下がっている、統一した色のラインが引いてあるなど。これも前回に少し考えたメガストラクチャーをどれくらい顕在化させるかという問題だろう。全体の構造は隠れてほしいが、体験が全体性を持っていてほしいが……。

最後に平野さんが、断面がスーパーマリオのステージのようだと言っていた。Andrewは確かにビデオゲームのように見え、そのフラットさが細長いこのプロジェクトを強化できるという。
この見方は確かに面白いと思った。マリオが走り、ジャンプしてステージを駆けるような見せ方でこの歩行者天国を見せ、作っていくのは面白い。確かに断面で表現するのがよさそう。


zoomの録画が配布されるおかげで、講評中に聞き取れなかったことも大体は拾えて助かる一方、振り返りが長くなってしまうような。しかし今回は、Aaronの英語が少し聞きにくかったので良かった。特に、間にlike, kind ofなどが入ってくると聞きにくくなってしまう。映画やアニメなどではこのような言葉はあまり入ってこないので実際の会話で慣れるしかない……。

今回は次への方向性がよく見えたので良かった。前回はなぜ迷走してしまったのだろう……。最終講評が近いので最終成果物も視野に入れて作っていきたい。

次回はこちら。


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