見出し画像

VOL.114 英国おぢさん留学を振り返る。MBAとサステナビリティ

大学院での学修

「1日8時間勉強」を自分に課していました。
実際に大学院の基準では「4か月800時間」という学習時間が標準として示されています。
これは1日6.5時間の勉強を毎日(土日なく)こなす計算です。
私は英国滞在中にいろんな国や地域に行きたかったし、
サッカー見たり、ミュージカル観たり、
いろんな体験をしたかったので、
勉強する日は1日8時間と決めて、3か月で1週間通しで休むといった戦略。
それを1年間貫きました。

講義。
やはり、英語力の貧弱さから、
講義内での教授の話は50%くらいの聞き取り。
ディスカッションへの参加貢献は70%程度。
しかし、事前に提示される授業の素材をしっかりと予習したり、
授業後に復習をすることで、
何とか講義についていけましたし、
Assignment(テスト)でも悪くない成績を取ることができました。
良かったと思うのは、
わずかではありますがMBAに関するビジネス経験や理論の事前知識があったこと。
このように、100%満足いく学習経験ではありませんでしたが、
英国大学院の過程を終えることができたことには、
大きな達成感を感じています。あとは修士論文の審査をパスして資格取得が確定することですね。

学修環境。
英国の学修環境整備の充実度には驚きました。
特に、先行研究の蓄積や書籍の電子化。
PCがあれば、膨大な先行研究論文に簡単にアクセスできるし、
多くのの書籍が電子化されているので、
PC上でそれを読むことができます。
つまり、目当てのキーワードを検索したり、
引用が簡単にできるということです。。
学術へ投下する資金や、そもそもの考え方は日本も学ぶべきであると感じます。

修士論文。
渡英する前は「中小企業におけるサステナビリティ研修の効果的なプログラム」を見出したいと考えていました。
スーパーバイザー教授とも相談を重ねて徐々にテーマが変化していきました。
最終的には語学力の貧弱さと調査対象企業を見つけにくいのが課題となり、
2次データ(既に調査が済んで公開されているもの)を元に統計分析を中心に進める分析手続きで修士論文を書くことにしました。
そこで、いろんなデータを探しました。
2022年に英国の政府系シンクタンクが実施した中小企業向けの調査が目に留まりました。
1000社ほどの大規模調査で、
中小企業の成長と持続可能性への取り組みの関係などを調べたものでした。
思い切って調査元に連絡し、データを修士論文に使いたいと交渉したところ、
快諾していただき、膨大なデータを入手することができました。
本当にありがたいですし、ラッキーでした。
そのデータを元に、英国企業の売上拡大と持続可能性への取り組み、
企業研修などとの関係を、重回帰分析を使って明らかにしようとしています。
仮説が否定されるという意外な方向性になりましたが、
それなりの結論を得ることができて、
何とか論文を書き上げることができました。

ロンドンでのインターンシップ

実は7月末~8月末の約1か月間、
ロンドンの企業でインターンシップをさせてもらいました。
日系企業の欧州法人の本社。
タスクは、EUが決定したCSRD(非財務情報開示項目)の適用範囲を調査すること。
週に1日出社して、ミーティングを実施。
それ以外は自分自身で調査を進めます。
EUが目指している企業のサステナビリティ基準を徹底的に調べました。
法律条文との格闘、
サステナビリティの歴史、
EUのその他の取り組み。
調査は広範囲にわたりました。
全てを理解できたわけではありませんが、
EU内企業が置かれている状況を体感することができました。
そして、英国ビジネスパーソンたちの働き方。
リモートワーク中心、
無駄な会議はしない、
残業せずバカンスを取り家族との時間を大事にする。
全てとは言いませんが、
日本のビジネスパーソンは仕事中心の生活を送っている人が多いと感じられる中、
文化の違いを見せつけられました。

英国生活の中で、持続可能性、企業経営、働き方といった自分が望んでいた体験をすることができました。もちろん、全てを理解したわけではありませんし、英国の経験だけで欧州全体を語ることはできませんが、その端緒を学ぶことはできたと言えます。
むしろ、海外から日本を見ることができたことの方が大きいですね。
日本が遅れているとこと、進んでいるところ、世界に誇れる点などのリアルな気づきを得ることができたことが収穫です。
若者の教育に従事している自分としては今後、
この「世界の中の日本」を自分の言葉で語っていきたいですね。

※メイン写真は、ウィンチェスター大学ウェストダウンズキャンパス

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?