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子どもとの関わりからセラピストを続ける覚悟をもらった一年

あけましておめでとうございます。2023年もどうぞよろしくお願いします。


色々環境の変化などで不安定になってしまい、なかなかブログの更新をする事ができませんでした。



子どもに関わることをしたいと思い今まで勤めた職場を辞めたのが去年の3月。10年以上同じ職場にいた僕からするとかなり大きな決心でした。



そこからどうするか考えて選んだのが産休代理の枠で求人をかけていた小児領域専門の病院でした。



最初は4ヶ月の契約だったのですが、すごく個人的に勉強したい気持ちが強かったので無理言って延長して11月まで働かせていただきました。



最後の数ヶ月はパートタイムになり、収入もこれまでの半分以下という状態になったため、経済的にはすごく苦しい時期を経験して大変だったのですが、それでもその数ヶ月は僕にとって非常に大切な期間になったのではないかと、今では考えています。



セラピストの未来を考え、悩む日々

正直なところ、この数ヶ月、このままセラピストという仕事を続けて未来はあるのかという悩みに常に悩まされていました。


私は理学療法士という仕事をしています。主に病院や施設に勤めてクライアントに対してのリハビリテーションを提供している仕事です。


しかし、その仕事をしていて本当に今後家族を支える事ができるのかという疑問に直面したのです。


理学療法士の給料というのは今後上がる見込みはないと僕は考えています。それどころか、今後は収入減する療法士は増えてくるのではないかと予想しています。


というのも、私たち理学療法士はリハビリを提供すると何円…といったように、国からの報酬が決まっているのです。


決まっているからクライアントさんは医療保険や介護保険を使用して安価でサービスを受ける事ができるのですが、その一方でセラピストがどれだけ勉強しようが、経験年数を積もうがクライアントさんからもらえる報酬は変わりがありません。


どれだけ頑張ろうが、クライアントさんをより良くするために勉強しようが、病院や介護施設に勤めている以上収入は変わらないというジレンマが生まれてくるのです。


さらに、国は少しずつ医療報酬の点数を下げてきています。10年前と比べても、下がることはあれど大きく上がっている点数は見られません。


今後高額医療制度の廃止などが決まってくると、緊急医療と比較して重要度の低いリハビリは優先的に介入する機会が激減するでしょう。そうなってくるとリハビリ職への収益も大きく下がってくる事が予想されます。



そうなってくるとますますセラピストの今後は非常に厳しくなる事が予想されます。実際に僕の周りでもこれ以上セラピストを続けるよりはと、別の仕事へ転職する方も多くいました。



そして僕も、長年働いても、どれだけ勉強しても上がらない収入にジレンマを感じていました。


この収入は家族を支えることは厳しいのではないか。


嫁や子どもにさせたいこともさせられないのではないか。


僕が好きだからという理由でこの仕事を続けることはエゴ以外の何者でもないのではないか。



本当に理学療法士だけではなく、色々な仕事の求人を検索しました。


色々検索する中で、自分が時間もお金も投資して10年間頑張ってきた仕事よりも初年度の収入が高い仕事がたくさんあることを知り、僕はがんばる分野を間違えてしまったんではないだろうかという焦燥感を感じたりもしました。



本当に、この1ヶ月は自分の今後を考えるだけで精一杯でした。本当に自分が選んだセラピストの道は正しかったんだろうかと自問自答する日々でした。


そんな僕に色々気付かさせてくれたのは、短い期間で色々関わらせていただいた子ども達でした。



子ども達から学んだセラピストとしての在り方


セラピストを続けたいと考えられるようになったきっかけは、ある勉強会に参加した時でした。


「あなたはクライアントさんにどんな関わりをしていきたいですか?」
と聞かれた時、すぐに思い出したのは短い期間で関わらせていただいた子どもたちの事でした。


短い期間でしたが、脳性麻痺のような身体に問題がある子や、発達障害と診断され周囲との関わりがうまくできない子。身体的な問題や親含めた環境の問題で不登校になった子…。色々な問題を抱えた子達がいました。


色々な問題によって症状が出ている子達がいる中で、身体的な事だけを考えても対応できない子達が非常に多くいました。


かと言って、一セラピストでしかも臨時職員の身の立場では家族の問題など深い面にはとても入っていけない…。なのでまずは、どんな子においても「その子が何を伝えたいのか」「その子が必要としているのはなんなのか」をしっかりと理解しようとする事を意識して関わるようにしていました。


そういう風に考えて対応していると、なんとなくですがその子に必要な事が見えてきて、色々な子との関わりが深くなっていくことを感じました。



赤ちゃんのリハビリを担当した時、その子が欲しがっている刺激を探してたくさん与えていくことで、その子の物の見方が変わり、色々なものに興味を持ち出してできる事が増えていったことを体感しました。



知的障害が強い子に「見る」事を中心に色々な刺激を入れていくと次の日から目が合う時間が多くなり、数ヶ月後に再開した時びっくりするほどできる事が増えていた事を体感しました。



親のプレッシャーが強く、自分のしたい事を言えなかった子と色々会話したり身体での介入を通して、親にしたい事を言えるようにお手伝いしたり実際に行った喜びを共有する事ができました。



その子のしたい夢を真剣に聞いていたからか、僕には自分のしていることや努力している事を嬉々として見せてくれた子がいました。



発達障害と診断されて、うまく気持ちの切り替えができなかった子が、何かあった時に「ストレス発散にきたよ」と僕と遊んで発散する場面が見られるようになりました。



このような感じで、その子のことを理解しようとすると小さいことかもしれませんが色々な変化を感じる場面が増えていたことに気づきました。



それに伴って、人と深く関わることの大切さとやりがいを改めて感じました。



僕がその子達に関わった時間はわずかでしたし、本当に些細な変化なのかもしれません。


それでもこの変化がその子の今後に小さくても影響を及ぼしてくれるのかなと感じる事ができました。


例えこのような大人になりたい、と尊敬されるまでなくても、この人と関われて良かったなと思える大人にはなれたのかなと感じる事ができました。



振り返ってみると、一人一人と深く関われて、その人の居場所やターニングポイントになれるセラピストという仕事は本当に素晴らしくて、自分はこの仕事がどうしようもなく好きなのだということに気づかされました。



この仕事をしていて良かった、この仕事がすごく好きだということに気付かせてくれたのが子ども達でした。



僕がこの子達の力になりたいと感じていたはずが、僕の方が彼らから色々教えてもらっていたことに気づかされたのです。



セラピストを続ける覚悟

子ども達との関わりを通して、僕はセラピストという仕事が世リスクになっていたことに気づきました。


身体だけではなく、心理面でも、環境面でもクライアントの問題を解決できるようなセラピストでありたい。


この人に関われたから変われたというセラピストになりたい。



子ども達との関わりから教えてもらったことを感謝し、より多くの人に還元できるようになりたい。



少しづつですが、自分の中でセラピストを続ける覚悟ができるようになってきました。


続けるからには生半可なことはしたくありません。これまで以上にその人達のためにできることを模索していきたいと思っています。


どうやったらこの仕事を続けながら家族を養えるかも考えていく必要があります。



子ども達に直接何かを返していきたいし、僕自身も子ども達になんらかの形で関わりたい。



考えることややる事はたくさんありますが、前よりも不安や焦りを感じずに取り組めるのではないかと思っています。


今年一年はより自分の土台を作りながら考えを深めていけるような年にしたいと思います。


多分失敗もこれまでのようにいっぱいするとは思いますが、それでも前に進みたいと思います。



本当に子ども達に関われて良かったなと思います。


今年も一年よろしくお願いします。




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