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白か黒だけが世界の色なのか。

「0か100ではなくて、1から99の可能性の中にある」。

これは元SMAPの中居正広さんがジャニーズ事務所を退所する際の会見で発した言葉である。正しく引用できているかはわからないが、そんなことを言っていた。

本当にそうだなと私は膝を打ったような気持ちになった。本当に膝を打ってはない。痛いもの。

昨日読了した「ファクトフルネス」という本の中にも、世界には「先進国」と「途上国」という分断だけではなくて、4つのレベルの国々があって、「先進国」の皆が豊かな暮らしをしているわけでもないし、「途上国」の人全てが、泥水をすするような生活をしている訳ではないと述べていた。「ファクトフルネス」を読むまで理解していなかったが、世界はずっとよくなっているようで、「途上国」の数は全人口の6%程度になっているらしい(6%になっているからといって、その「途上国」の人たちの苦しみは変わらない。だから、世界をよりよくしていくために自分ができることを探さなくてはと思う)。

「先進国」や「途上国」のことだけでなく、予防接種を受けられる人の数は増えているし、自然災害の犠牲者も減っているようだ。そうした現実があるにも関わらず、私たちは悲惨なニュースを耳目にすることで世界は悪くなっていると思い込んでいるらしい。今は緊急事態で楽観的なものの見方をしている時ではないが、この本を読んだことで暗い気持ちの中に一筋の希望の光が差したような気がした。

そんな「ファクトフルネス」を読んで、中居さんの発言を思い出したのである。どうして何事もやるかやらないかの白黒で判断できるのだろう。白黒つけるパンダが3月中頃までテレビにいたけれど、最高と最低の間には大きな幅がある。何事もその幅の中に収まるはずである。もしかしたら、0になるかもしれないし100になるかもしれないが、その確率は50分の1だ。その他になる確率の方が遥かに大きいのだから、最高最低の間にある確率にも目を向ける必要がある。

ある人は中居さんに「1から99の可能性の中にあるって使い勝手がいいですよね」というニュアンスの発言をした。たしかに使い勝手がいい。しかし、事実そう答えるのが正しいと思う。そんな考え方だからモテないのかもしれないが、ある物事を0か100で断定できる人は信用ならない。今までははっきり意見を述べることがいいように思えていたけれど、快活な答えよりも、考えながら丁寧に言葉をつないでいく人の方が信用に足ると思っている。正しい分析のもと、答えを弾き出して自信満々に、0か100と答えられば一番なんだろうけど、あらゆる可能性や方向性を考えながら、なるべく最高の答えに近付けるように努力する。自分みたいな権力もお金もない人間にはこれしかないと思う。だから、正しい情報を得て、正しい努力をしなければならない。考えることから逃げない。考えることを止めずに努力して生きる。それしかない。

それしかないというと断定しているなと反省しているが、完全に正しい情報であるのならば断定も必要だよね。

それでも忘れずにいたい、0や100だけでなく無数の可能性の中に生きていることを。

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