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AIツール活用レビューもかねて…:中小企業における変革的リーダーシップの主な特徴とは?

中小企業の経営コンサルをしているとなんだかんだで、社長のリーダーシップが重要だと感じます。どんな先行研究があるのかAIのツールを活用して概観してみました。

Consensus で概観してみた結果

”Consensus”というツールを使って論文を検索してみました。このツールは質問を投げれば、それに対応する全世界の論文を検索し、結果をワンセンテンスに要約してくれるAIツールです。

詳細はこの記事が参考になったのであわせてリンクを貼りますね。

使ってみると、質問文が検索結果を左右するという印象です。ただ、有難いことに検索結果だけでなく”Related Searches”として、質問文候補が示されます。結果として”Consensus”と壁打ちしながら、知りたいことの要点が深まっていくように思います。

今回は最終的に、 ”What are the key characteristics of transformational leadership in SMEs?”という質問になりました。


”Copilot” での要約

”Consensus"には”Copilot”なるものも搭載されています。ざざっと検索結果を要約してくれる優れものです(ホントにすごい)。

この要約を、これまた翻訳ツール”DeepL”で日本語にしてみました。

中小企業(SME)におけるトランスフォーメーショナル・リーダーシップとは、組織の利害を構成員の利害と一致させ、従業員を鼓舞し、知的刺激を与え、個々のニーズを考慮するという多面的な概念である。このリーダーシップ・スタイルは指示的であるばかりでなく、参加的であることもあり、より高度なモラルの育成を必要とする。トランスフォーメーショナル・リーダーシップは普遍的に認められており、ビジネスや教育などさまざまな場面で、トランザクショナル・リーダーシップよりも効果的であることがわかっている。

いやはや優秀です(笑)。
この文章に続いて、検索してきた論文から抽出した”What are the key characteristics of transformational leadership in SMEs?”に対する簡潔なアンサーが箇条書きで示され、最後にまとめがあります。論点→結論→根拠→結論…てな流れです。さすがのロジックです。

鵜呑みにせずに読み込んでリサーチクエスチョンを育てる

とはいえ、この結果をそのまま鵜呑みにしたり、翻訳して先行研究のレビュー結果として載せてもあまり意味がないとも思いました。内容の妥当性も心配ですが、それ以上に自分で読み込まないとリサーチクエスチョンが育たないからです。

前向きにいうと、ざっと概観がつかめるので、ここからさらに原典にあたりながら深めていけば良いわけですね。各論文のアブストラクトが提示されたり、AIツールなりの”Key Take Away"も示されたりするので、あたりもつけやすいです。

今回は、”Transformational Leadership and Job Behaviors: The Mediating Role of Core Job Characteristics.”という論文が気になりました。著者は、”Ronald F. Piccolo, J. Colquitt” 2006年の論文です。

アブストラクトを翻訳すると…

トランスフォーメーショナル・リーダーシップが、タスク・パフォーマンスや組織市民行動(OCB)に及ぼす効果についてはよく知られているが、それらの効果を説明するメカニズムは依然として不明である。我々は、トランスフォーメーショナル・リーダーシップが、Hackman and Oldham (1976)の中核的職務特性の観点から、フォロワーの職務観と関連していることを提案する。本研究の結果は、職務特性、内発的動機づけ、目標コミットメントのメカニズムを通じて、変革的リーダーシップが職務遂行とOCBに及ぼす直接的効果を間接的効果が補足するという構造モデルを支持するものであった。さらに、トランスフォーメーショナル・リーダーシップの関係は、質の高いリーダー・メンバー・エクスチェンジ(LMX)を認知しているフォロワーに対して有意に強いことが明らかになった。

Ronald F. Piccolo, J. Colquitt (2006) , 
Transformational Leadership and Job Behaviors: The Mediating Role of Core Job Characteristics.

まだ、本文をじっくり読んでないですが、この段階で自分なりの仮説を書いておこうと思います。

中小企業のオーナー経営者はトップダウンのリーダーシップが強いです。それ自体は悪いとは思わないのですが、職務観など価値観を押しつけてしまようなことがあります。

上のアブストラクトでは、「組織市民行動」なる用語が出てきます。いっしょに事業を作ろうとしている仲間、同志として社員を見れているかどうか、ということが大きいような気がします。それがあれば、自分の考えを伝えたうえで、相手のことを尊重することにもなる。単なるトップダウンとは違うわけですね。「トランスフォーメーショナル・リーダーシップの関係は、質の高いリーダー・メンバー・エクスチェンジ(LMX)を認知しているフォロワーに対して有意に強いことが明らかになった。」とある通り、社長と社員との間で互いを尊重するコミュニケーションが前提にあるということでしょう。

とはいえ、たぶんこれが難しい。社長から見れば、社員は多数だけど、社員から見れば社長はひとり。構造的にも社長から見れば、実は結構しんどいわけです。だから、言って聞かせたくなる。結果として、権威主義的になり、内向きになりがちです。何が正しいかよりも誰が正しいかという力学が働いてしまうわけです。

トランスフォーメーショナル・リーダーシップと対比的に語られるトランザクショナル・リーダーシップは、「交換」の論理です。アメとムチのような感じだし、損得勘定になってしまう。

放っておくとそうなりがちなので、最初の”Copilot"の要約にあるように「このリーダーシップ・スタイル(トランスフォーメーショナル・リーダーシップ)は指示的であるばかりでなく、参加的であることもあり、より高度なモラルの育成を必要とする。つまり、損得ではなく、「善悪」で考えるマインドを育てていくべきだ、ということです。

金儲けではなく、そもそもウチらはどうなりたいんだっけ、お客さんに何をしたいんだっけ、俺はこう思うんだけど…と組織の外、つまり社会やお客さまに目を向けて、そして未来のビジョンを社員と共に語ることが求められるのだと思います。

と、すっかり長くなってしまいました。原典にあたりながら、あらためて自分の考えと照らし合わせていきたいと思います。

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