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SWOTを究める①:クロスSWOT分析で「強み」と「機会」にフォーカスする

経営戦略を検討する際に活用するSWOTというフレームワークがあります。
ご存知の方も多いですよね。

こんな四象限で表現されます。

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強み・弱みは内部環境分析と呼ばれます。自社の努力と工夫次第の領域です。機会・脅威は外部環境分析と呼ばれます。自社のコントロールが効かない領域です。

このように整理すると自社を取り巻く環境を網羅的に知ることができます。ただ、それだけだと現状分析にとどまります。「SWOT分析をやってもいつもと同じで発見がない」という声もよく耳にします。

重要なのはここからです。要素を「クロス」させるのです。

クロスSWOT分析で戦略を見出す

SWOTの目的は現状分析ではありません。とるべき戦略を見出すことです。そこで有効なのが「クロスSWOT」分析です。

クロスSWOT

「機会・脅威」の外部環境と「強み・弱み」の内部環境をクロスさせることで戦略のオプションを見出していきます。

組み合わせることで、大きく4つの戦略の方向性に分かれます。ただし、漠然とクロスさせても納得の行く戦略は現れません。各象限で何を目的に分析するかを理解することが大切です。

まずは「強み」側を見ていきましょう。

S(強み)×O(機会):積極戦略
最も重要視する象限です。特に中小企業の場合、リソースも限られます。ここに集中するだけで十分です。強みを活かせる機会が分かっているのであれば、すぐに行動に移します。このとき重要なのは、行動に移したらどれくらいのインパクトが得られるかと考えることです。「いつもと変わらない」のは、機会の探索と強みの探求が不十分なのです。

S(強み)×T(脅威):差別化戦略
この象限のポイントは「差別化」です。時にこの象限について「強みを使って脅威を回避する」のような表現を見ることがあります。これでは、不十分です。正確には、「競合にとっては脅威かもしれないが、ウチが強みをさらに磨けば差別化できる」という視点で捉えていくことが大切です。そういう視点で見ない限り、ただの妥協になります。

つづいて「弱み」側を見ていきます。

S(弱み)×O(機会):改善戦略
「弱み」は厄介です。いくらでも出てきます。そして内向き思考になります。大切なのはお客様を見ることです。強みも弱みも、お客様が決めます。弱みとは、お客様を喜ばせる機会に対する強みがないということです。弱いのだから改善するのは当たり前ですが、何に取組むかを決めるのが戦略立案です。弱みを改善することで、お客様が商品・サービスを買ってくれるかどうか、という視点に立つことが大切です。弱みすべてに目を向ける必要はありません。

S(弱み)×T(脅威):撤退縮小戦略
上記同様、弱みに目を向けてもあまり意味がありません。すべてを改善しても「普通」になる程度です。戦略とは、「戦いを略す」とも読めます。その意味でここは、やらないことを決めるための領域となります。時間が限られる場合は、あえて考えないという選択もありです。

いかがでしょうか。SWOTはフレームワークではありますが、MECEではありません。「強み・弱み」「機会・脅威」は表裏の関係にあります。つまり、ダブりもあります。したがって、表面とも言える「強み」と「機会」にフォーカスすることがポイントです。その上で、すぐにやるべきこと、中長期に取組むべきこと、やめるべきことを決めていきます。

では、強みと機会をどのように発見し、深掘りすれば良いのでしょうか。
つづきは、また今度書いていきます。

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