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甥っ子の泣く理由

頭を打ったとき。
外出から疲れて帰ってきたあとの寝起き。
遊んでいる小さなおもちゃを姉の姪っ子に取られて。
ミント味の歯みがき粉を少しだけためしてみて。

全部、今日甥っ子が泣いた理由である。

今年から幼稚園に通いだした甥っ子。ちょっと前までは恥ずかしがってあまり話もしないような子だったのに、元気に何でも話してくれるようになっただけでも成長を感じる。
が、今となってはその反動なのか、元気やら主張やらがあり余って喋るわ泣くわの大騒ぎ。

所狭しと家の中を走り回り、姪っ子とじゃれて頭を打つ。突然の衝撃と、頭に痛みがきた途端に甥っ子の顔が曇りだし、泣き出して母である姉のもとへ向かう。
お昼を食べたら公園へ遊びに行き、夕方家に帰ってきたときには姉に抱かれて帰ってきた。遊び疲れて眠ってしまったのだろう。しばらくぐっすりと寝ていたが、数回グズって眠ってを繰り返し、最後には泣き声とともに起きてきた。どうやらお腹が空いていたようだ。
姪っ子と甥っ子が来るとなれば、おばあちゃんであるうちの母はこれでもかと甘やかす。当然甥っ子には絵本やらおもちゃやらが与えられるのだが、甥っ子はもらったものを自分だけのものにしたいらしい。姪っ子がおもちゃに触れると、すぐに「ダメっ!」と怒り出す。「ちょっとだけいいでしょ」と周りが諭して姪っ子が触れていると、甥っ子はそれに我慢できず泣いてしまった。
お風呂上がり、子ども用の歯みがき粉が無かったので今日は何もなしで歯みがきしてと言われた甥っ子。姪っ子の「ミント味の歯みがき粉をちょっとためしてみる」という言葉に、自分もためしたくなったよう。甥っ子には絶対無理だよと周りが止めるのも聞かず、結局少しだけ歯みがき粉をつけてみることに。最初は笑っていたものの、口の中にミントの味と刺激が広がりだすと一気に顔色が変わりだす。言わんこっちゃない、口の周りを泡だらけにして泣き出した。

母が頭を撫でると痛みは飛んでいくし。
起きぬけにチョコチップ入りのスティックパンを食べればすぐ満足。
おもちゃをすぐに姪っ子が手放して、自分の手の中に入れば安心するし。
口をゆすいで泡が無くなればスッキリ。

すぐに泣き止むのだけれど、それでも泣かずにはいられない。今の甥っ子の一番の感情表現なのかなと思う。毎日こうなのかと考えると、親である姉や義兄も大変だ。

話はまだまだ甥っ子からの一方通行で、叔父である自分には少し理解が難しいことも多い。自分のものは自分のもの、相手のものでも気に入ったら自分のものにしたいというジャイアンイズムの片鱗。ずっと動き回って遊んでいるし、気に入らないことや未知のものに接すると泣いてしまう。
少し離れた立場だからこそ、この年頃の男の子なんだなと冷静に見ては、姉や義兄の気も知らず少し微笑ましく感じてしまった。

何でも自分のものにしてしまいたい気持ちは、ちょっと抑えたほうがいいのかもしれないけど。体力の続く限り動き回って、お腹が空いたら食べればいいし、眠たくなれば寝ればいい。泣くことが頻繁にあってもいい。と思う。

そんなことを言っても甥っ子本人は分からないし、育児をする姉と義兄はなかなか大変なはずだ。とは言え、両親が疲れすぎない程度に奔放に毎日を過ごして、また元気な姿を見せてほしい。

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