バンドに加入する、脱退する
「バンドは生モノだから」と友達に言われて、ハッとしたことがある。
それと同時に、「そういう風に思ってくれる人もいるんだ」とどこか安心した自分もいた。
先述した言葉をもらったのは、俺が1番音楽を頑張ってるつもりだった時期で、1番盲目で、1番協調性がなかった時の話だ
俺は自分が加入したバンドが売れないわけがないと本気で信じて疑わなかった。
でも俺が所属していたバンドは、小さなもつれをキッカケにいとも簡単に解散してきた。
今思うと、絶対に自分のせいにしたくなかったんだと思う。
所属していたバンドメンバーの粗を探しては、絶対アイツみたいにはならねぇと固く心に誓って次に入りたいバンドにDMしたり、メンバー募集の掲示板に記事を投稿していた。
誰よりもマメに人と繋がり、自分なりに礼儀を重んじて、「普通の人ができる当たり前のこと」を人以上にできるように心がけていた。
ライブの表現にこだわって、いかにお客さんが楽しんでくれるか常に考えていたし、寝る前には好きな曲を大きなステージで演奏する自分を想像して寝るのが日課だった。
疲れていても必ずスティックを触って、ちょっとでも練習していた。
アルバイトの最中にバンドの連絡が来るとどんなに忙しくても返事を優先しては社員さんに怒られていたが、一度も気にしたことはなかった。
俺はちょっと面白い人間で、結構変わり者で、人当たりはいいし綺麗事が上手いのは自覚していたから、
それを武器にバンドに加入するのは上手だったと思う。
でも何故かどのバンドでも少しずつ歩調が合わなくなっていき、解散するか脱退するかクビになるか。
中にはコンテストに優勝し、大きい舞台に立ったバンドもあったというのに解散した。
とにかく長くは続かなかった。
•••
ということを幾度となく繰り返した。
繰り返すという事は何か原因がある。
メンバーはバンドごとに変わる。
自分の考えは変わってない。
そして、同じ事を繰り返してる。
環境は変わるのに結果が変わらないと言う事はつまり、自分に原因があったから周りに影響があることを強く実感した。
誰よりも音楽のことを考えて、生活の全てを音楽に結びつけていた自分の行動が間違っているわけがないと思いたかったけど、
じゃあ何故一つのバンドに長くいることがなく、成就することがないのかという自問に答えがなかった。
俺にはプライドがあった。俺なりに。
でも本当に音楽で成功したかった俺は、初めて恥を捨てて友達にこの事を相談した。
相談というよりも照れ隠ししながら遠巻きに元バンドメンバーの悪口を言ってただけだ。あれは相談じゃなかった。
そこで初めて、適した管理方法ではないとバンドだって腐ってしまう事を知った。
俺はその匙加減が、未だにイマイチわからない。
音楽のセンス以前の問題が俺にはある。
俺は友達の言葉に救われたが、同時に自分の音楽への認識の甘さを痛感した。
慰めて欲しくて話したわけではなかったけれども、事実俺はその言葉に救われてしまった。
「バンドは生モノだから」と言う、自分にとって最適な言い訳を手に入れた。と脳が直感した。
俺が考えてきたことや行動してきた事は全て崩れたが、何も悲しいとは思わなかった。
何故なら俺はちょっと慰められたら安心する、小心者で狡猾なだけのエセプロ思考のバンドマンだという自分の正体に気付いたからだ。
悲観したいところだが全くできない。俺はその程度の人間だからね。
俺は自尊心を無くした。
でも音楽を楽しみたいし、音楽が好きだという感情に嘘はない。
どうしようか。
こんな奴俺だったらバンドメンバーに入れたくない。
プロ思考なら尚更。
ならばせめて、こんな俺でも許してくれるバンドメンバーに巡り合うしかないし、許してもらえなくても文句を言うべきではない。
俺が耐えれなかったら、何も言わず潔く抜けるしか無い。
もう俺には人とぶつかる気力すらない。
ネガティヴではない、と言うと矛盾して聞こえるけれども、不思議なことに俺はこんな自分の性格を本当に悲観していない。
ただ俺は自分に正直に、自分なりに音楽を楽しみたいだけで、
それには俺の傲慢と怠惰を受け流してくれるメンバーが必要なだけだ。
これは果てしない遠回りと横着を繰り返して、ようやく手に入れるものだと思っている。
俺なんかがバンドメンバーでごめんねと、本心で常に思ってる。
でも俺の演奏を是非ライブで見てほしい。
音楽をしてる時の俺は、そんな感情の一切が全く関係のない、
ありのままわがままで、何かに抗っている姿だと思うから。
「俺はこんなもんじゃ無い」って、演奏すると身体が勝手に動く。
楽器を演奏してる時だけはかっこいい自分でいたいし、メンバーからもお客さんからも褒めてもらいたい。
そのためには曲がよく無いといけないし、ある程度上手である必要があるし、何かを表現して誰かに影響を与えたい。
その為に自分が何をしたいのか、何ができるのかを考えて音楽をするのが楽しみになった。
こんな俺でも、演奏だけはかっこいいはずだと未だに思い続けてる。
この考えも、いつか誰かの一言で変わってしまうのかな。とは全然思えないくらいに何故か俺の演奏はかっこいい。
自信とかじゃなく、ただの事実だ。
やる気もないし音楽も舐めてる。でも演奏を見て!
なんてわがままなんでしょ!!
売れたいのか売れたく無いのか、結局あまりよくわからない。
でもスタジオ入る時の、友達と夜遅くにコンビニで屯してるような感覚とか。
ライブハウスに入った時の、ヤバいところに入っちゃったんじゃ無いか!?みたいなワクワク感とか。
いまだに俺は好きだな。
って、ただそれだけです。
俺と音楽してくれるみんなも応援してくれる人も、本当にありがとうございます!
頑張らないつもりですが、場合によっては頑張ろうと思うので引き続きよろしく...
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