より丁寧に、より繊細に
作家として世に出て活躍していきたい。
何年か前から、そう思うようになった。
そのとき、僕が身につけようと決めたのは、技術やスキルだった。
だからこれまで、文章が上達することだけを突き詰めてきた。
その努力が無駄になることはないと思う。
でも昨日、ひとつわかったことがあった。
そのさきに僕が求めているものは、何もないということだ。
そんなふうに考えるようになったのは、尊敬しているある方からのアドバイスがきっかけだった。
残念ながら、その内容をここに書くわけにはいかないのだけれど、僕が何を感じたのかは書きたいと思う。
シンプルに言うと、
「より丁寧に、より繊細に」
ということだった。
これはあくまでも僕の感覚だけれど、その方と僕とでは、見えているものがまったく違うと感じた。
作家として世に出て活躍していきたいのであれば、それにふさわしい表現の仕方や、作家としての立ち位置があるように思ったのだ。
そしてそれは、言葉で教わることができる類のものではない。
自分で試行錯誤しているうちに、身についていくものだ。
ここでいう試行錯誤とは、コツコツと積み重ねていくということでもある。
昨日ネットで、僕が好きな作家の、吉本ばななさんのインタビュー記事をたまたま見つけた。
そこにあった、この文章に思いっきり頭を殴られた気がした。
ふぐうっ、おっしゃるとおりです、と思った。
繰り返しになるけれど、僕が身につけたいことは言葉で教わることができる類のものではない。
なのに、それを素早く身につける方法や、「ばっ」とうまくいかせる方法ばかりを考えていたように感じた。
そういうやり方は、探しまくればあるのかもしれない。
なんならChatGPTに質問すれば、いくつも教えてくれるだろう。
でも、自分の過去を振り返ってみたとき、そういうやり方はうまくいった試しがないのを思い出した。
短期間で何かを成し遂げようとしたり、身につけようとしたりすると、心と体にとんでもない負荷がかかったからだ。
もう二度と、あんなつらい思いはするものか。
だから僕はもう、近道を探すのはやめることにした。
自信がないことを理由に、わざわざ遠回りをするのもやめることにした。
より丁寧に、より繊細に。
あらゆる感情や経験を味わい、積み重ねながら、自分で自分の道をつくっていきたい。
そのうえを、この足でコツコツと歩いていきたい。
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