広瀬桂子

フリーランス編集者。元マガジンハウス。書籍部では100冊以上の本を手がける。「pink…

広瀬桂子

フリーランス編集者。元マガジンハウス。書籍部では100冊以上の本を手がける。「pink」「Ginza」「Hanako」「Croissant」など女性誌にも在籍。2023年よりフリー。

マガジン

  • ヨーロッパツーリング2024

    25年来の夢だったヨーロッパツーリング。準備段階から、リアルな旅の行程まで記録します。35歳で中型免許、38歳で大型免許取得。長年の会社員生活で普段は乗る機会が全然なく、技術的にはかなりのローレベル。なんとかするしかない。

最近の記事

オーダーメイドのグローブが出来上がってきた。

定年退職した一年ほど前、ずっと一緒に仕事をしてきたカメラマンの三東サイさんが、お祝いに、と、目白の素敵なイタリアン「トレ・ガッティ」に誘ってくださった。 初めての店で、それはそれはおいしかったのだが、それはさておき、なんと、オーダーメイドのグローブのギフト券まで、プレゼントしてくださったのだ。 私がバイクに乗ることは、なんとなく話していたのだと思うけれど、これには本当にびっくりした。 グローブは確かに、試着してみなければ買えない。でもオーダーメイドならアリ。すばらしいセンス

    • 私のバイクは、本当に用意できるのか?

      「乗るオートバイからも、”欧州をツーリングしている”雰囲気を、できるだけ感じてもらいたいです」と、達郎さんがいろいろなバイクを探してくださる。 ヤマハのボルトというバイクの名前が上がったが、ちょっと重すぎるかも、ということで、モトグッツィV65Cが次の候補に。 古いモデルだけど、ツーリングライダーに人気という。 夫が「足つきが若干心配ですが、カスタムパーツも多そうなので、細工して準備が可能でしたら、有力な選択肢な気がします」と言ったら、「その細工がおもしろそうです」と心強

      • 救世主あらわる! 旅の輪郭が見えてきた。

        5月に行こうと決めたのはいいが、一体全体、どこから手をつけたらいいものやら。 普通の外国旅行なら、飛行機でもホテルでも、一人でサクサク予約して出かけるが、とにかくバイクのことを先に考えなければいけない。そもそもどこから出発するんだ? と、五里霧中だったとき、突然、友人のお兄さんがヨーロッパのどこかに住んでいたはず! と思い出した。 聞いてみたら、いまはミラノの郊外にいるとのこと。なんと素晴らしい。 この方、山本達郎さんは、ヨーロッパのヤマハ発動機にお勤めで、実は日本で、家

        • 『グッバイ! タンデムシート』にしびれた日。

          香咲弥須子さんが書いた『グッバイ! タンデムシート』というエッセイがある。1985年刊。 写真は角川書店の文庫版だが、当時、私が読んだのは単行本のほうだった。 今回急に思い出して、アマゾンで古本を買った。 20代前半だった香咲さんがバイクの免許を取り、その魅力に夢中になっていく様子が、ていねいに瑞々しく描かれている。 読み始めてすぐに、全体の内容を思い出した。 バイクのことは全然わからなかったし、興味もなかったのだが、自立していく女の子の気持ちは自分のことのようによくわか

        オーダーメイドのグローブが出来上がってきた。

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        • ヨーロッパツーリング2024
          13本

        記事

          息子も、いまや立派なバイク乗りに。

          小学校に上がった頃から、子ども用バイクで遊んでいた息子。夫はモトクロスもやっていたので、その練習場で一緒に走るのだ。 私も免許取り立ての頃、よくコースに連れて行かれたが、特にこういう走りをしたいわけではないので、この頃にはもう見学組。 スキーなどもそうだが、子どもは恐怖心がないし、体が小さい分地面にも近く安定感がある。転んでもダメージが少ないし、嬉々として走っている。 見ていると、大人顔負けのスピードで飛ばしていたりしてびっくりする。 そりゃ、ツーリングで後ろに積まれている

          息子も、いまや立派なバイク乗りに。

          バイクこそ、衝動買いが正しい。

          怪我してバイクに乗れなかった間、うっすらと心に浮かんできたことがある。今のバイク、もしかしたら、ちょっと私に合わないのでは? 自分の技術のなさを棚に上げて、「合わない」も何もないが、タンクがやや大きく操作しきれていないのは事実。 ツーリングでただ走っている分には問題ないのだが、講習でやる一本橋のような課題は、かなり難しい。 シートは最大限に下げているのだが、それでも、左足が着くだけだし。 もういい歳だし、これからも乗るのだから、そろそろ買い替えたほうがいいのでは? そもそ

          バイクこそ、衝動買いが正しい。

          またしても、全治90日の怪我。

          毎日、会社に通っていたので、乗れるのは休日だけ。おまけに、道がわからず、転倒したら起こせないので、ツーリングにはとにかく夫と行くしかない。 夫がこれまた忙しいので、一緒に行けるときは限られる。 そんなこんなで、いつまで経っても下手なまま。 そうも言っていられないので、「グッドライダーミーティング」というバイクの講習会にはよく行っていた。 (財)日本二輪普及協会が主催して、年4、5回、免許センターのコースを使って行っている教習。 女性の白バイ隊員他、指導員の方も大勢いて、事

          またしても、全治90日の怪我。

          やっぱり大型がいいのだ。BMW 650GS。

          ある日、夫が、「これからバイク屋さん行くよー」と言う。ちょっと大きな案件を手伝った後だったので、もしかしたらご褒美かしら、と思いながらいそいそとついて行く。 「前回の事故の原因は、アンチロックブレーキのないバイクだったから。やっぱりそれはまずい。ABSのバイクにしたほうがいいよ」 225ccのブロンコの、乗りやすいけれど脆弱な感じは、ちょっと気になってはいたので、やる気満々で買い替え。 新しいバイクは、BMW 650GS。なかなかスタイリッシュだし、乗れそうな感じではある。

          やっぱり大型がいいのだ。BMW 650GS。

          急ブレーキで転倒。全治数ヶ月の大怪我。

          大型免許を取ったことに満足してしまい、ブロンコに愛着もあったので、そのまま乗り続けることに。 この間は、よくツーリングに行った。 夫も私も長く休みが取れないので、飛行機で北海道まで行ったことも。 バイクごと飛行機に積んで行くのだが、羽田では、一般の空港から遠く離れた場所に停まっている機体にバイクで乗り付け、そこから空港まではタクシーで移動するしかない、という謎の事態。 帰りは中標津という小さい空港だったので、乗り付けて、すぐ搭乗もできたけれど。 ひとり10万円くらいかかっ

          急ブレーキで転倒。全治数ヶ月の大怪我。

          出産2週間後に、再び教習所へ。

          楽しくブロンコに乗っていたのだが、ガソリンがすぐなくなるのに加え、横風が結構厳しい。高速道路を走っているときに強風にやられると、もう必死にハンドルを押えていなければならない。 やっぱり大型かなあ。 1999年頃、夫は、2001年のパリダカ出場を目指して準備をしていた。いいな。 「私もヨーロッパ走りたいな」と言ったら、「全然走れるよ」という返事。 そうなんだ! レースやラリーに出たいわけではもちろんないけれど、普通のツーリングならしてみたい。 聞くと、ヨーロッパのレンタルバ

          出産2週間後に、再び教習所へ。

          バイクは、一目惚れじゃなきゃダメ。

          教習所に通い始めた頃。近所のバイク屋さんのウィンドウに、ヤマハのブロンコが飾られた。1997年5月1日発売のニューモデル。 いやー、かっこいい。 ちょっとクラシックなデザインがすばらしい。 当時夫は、バリバリのオフロードバイクに乗っていたのだが、どうも私の趣味じゃない。レースに出るわけじゃないし。 これならしっくりくると思った。 当時の売り文句は、「街乗りもできるオフロードバイク」というような感じだった記憶。 確かに、その後、原宿に停まっているのをよく見かけた。同じ人のもの

          バイクは、一目惚れじゃなきゃダメ。

          ある日突然、バイクに恋する。

          35歳だった夏のこと。 当時付き合っていた夫に、四国を巡るツーリングに連れて行ってもらった。もちろんタンデム。 参加者は大勢いて、四万十川で泳いだりキャンプをしたり、足摺岬あたりで焚き火で焼いた極上の鰹のたたきを食べたり、驚くほど美しい月を見たりして楽しかったのだが、バイクについての感想は特にないまま、黙って後ろに乗っていた。 ツーリングは続いていたのだが、「今日中に帰らなければ」という夫と共に別行動を取り、早朝に空港を目指して太平洋側の海岸線を走った。 林の中の道はしっと

          ある日突然、バイクに恋する。

          本当にやりたかったことって、何だっけ?

          新卒でアスキー入社、出版局に配属。3年後にマガジンハウスに転職。単行本と雑誌の編集をずっと続けてきた。 20代はバブル真っ盛り、会社も景気がよく、編集者という仕事は性に合い、楽しい仕事人生だったと思う。 けれども、後半5年ほどは結構いろいろ厳しく、 「もしかして私、全然、会社員に向いてない⁉︎」と思うことが多くなった。 本を作ることは好きだが、自由さが足りない。もっとやりたいこと、できることがあるのに。 そんなこんなで迎えた定年退職は、だから解放感しかなく、目の前がパッと

          本当にやりたかったことって、何だっけ?