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「銀行員は使えない」と世間から思われている話

銀行から転職したいけど、なかなか転職先が決まらない...。そういう話をよく聞きます。

先日相談を受けた後輩は結局、転職先が決まらずに、そのまま銀行で働いています。

世間では「銀行員は優秀」と思われてますが、どうして転職できないのでしょうか?

銀行員は転職に不利です

まず最初に伝えておきます。

銀行員という職業は転職に不利です。

銀行員は、世間的にはエリートで高収入で就職先としても人気です。

実際、優秀な人材も多いです。

私は23年間、銀行で働きました。

確かに今の会社と比べると優秀な人は多かったです。

しかし、この印象がよくありません。
行動経済学でいう「ハロー効果」です。

イメージが良すぎるため、銀行員という恵まれた職を捨て、転職したいという人は「変な奴」だと世間に思われがちです。

<ハロー効果とは>
行動経済学の用語で、ある対象を評価する時に、それが持つ顕著な特徴に引きずられて他の特徴についての評価が歪められる現象のこと。

銀行を退職する人のイメージ

銀行を退職したというのは周囲からどう思われるでしょうか。 世間の評価をまとめてみました。

■ 何かトラブルがあって銀行を辞めた?
■ 不正を働いてクビになった?
■ どうせ取引先にスカウトされたんでしょ?
■ 50歳を超えたから出向しただけでしょ?
■ 本当は転職したくないんでしょ?

銀行員は「何かやらかした」と勘違いされる

銀行から転職する人のイメージがよくない理由は、待遇が良い環境をわざわざ捨てるからだと思います。

高収入で休みも多くて、社会的な信用もある。

確かに、そんな恵まれた環境を捨てて転職を望むならば「あなた何かやらかした?」と思われても仕方がありません。

銀行員は転職理由が大事

銀行から転職する人のイメージはネガティブなものが多いのはたしかです。

私のケースですが、以下の質問を転職面接のときに必ず聞かれました。

・なんで銀行みたいな良いところを辞めるの?
・銀行員は給料いいでしょ?年収下がりますよ?
・銀行は潰れないから安心でしょ?

銀行員の転職理由を考える

世間では銀行員は転職を考えるような職業ではないと思われているかもしれません。

恵まれた環境を捨ててまで転職するのはナゼ?と採用側が思うのは当たり前なのでしょう。

そのため、よっぽど相手が納得できる理由を考えないといけません。

明確な理由がなければ、銀行から転職する人は、ほとんどのケースでネガティブな印象を持たれてしまいます。

そこで、よく聞く転職理由を以下にまとめてみました。

「銀行で働くのが辛い」

ほとんどの転職希望者の本音は、これだと思います。

ただ本音は言ってはダメです。
愚痴を言う人は、まず採用されません。

銀行員なら、なおさら言ってはダメです。
「しんどい仕事だからこそ、安定した高収入がある」と世間は思ってます。

だから銀行に対する愚痴を言っては絶対にダメだと思います。

「人間関係がうまくいっていない」

この理由も言ってはダメでしょう。

「転職を考えるキッカケになった」くらいは、言っても構いませんが転職理由ではありません。
人間関係の悪化は「退職理由」です。

銀行は人間関係が面倒な世界です。

稟議の決裁、新規取引先への取り組み、住宅ローンの提案、どれも自分が良いと思っても、銀行のエラい人がOKしてくれないとダメです。

銀行は担当者レベルに権限移譲されません。
だから尊敬できない上司でも媚びないといけません。

営業マン同士や支店間の競争も人間関係を複雑にします。

銀行は支店間で競争させます。
そこから人間関係がこじれてしまうことが、よくあります。

ただ銀行の事情は関係ありません。
転職先が欲しい人材は、人間関係も含めて問題解決に取り組む人です。

職場の人間関係を解決できない人材は不要です。

また、銀行の場合、3〜5年で異動があります。
自分と合わない人でも、その期間を我慢すればいいだけです。

しかし転職先では、一生同じ人と関係を持ち続けるかもしれません。

その人との人間関係が悪くなったら、また辞めるかもしれません。

「たった数年の我慢が出来ない人材」
あなたの評価が、そうなる可能性もあります。

そのため人間関係を理由にしてしまうと、採用される可能性は低くなります。

「新しいことに挑戦したい」

私が転職活動を始めた頃の転職理由です。

ただ、これも言わないほうがいいです。

「チャレンジする姿勢は評価される」と思うかもしれませんが、実際はあまり評価されません。

なぜなら、採用側は、あなたに銀行員としての知識やスキルを求めています。「新しいことへの挑戦」では相手のニーズを満たしていません。

また「挑戦」は銀行でもやろうと思えば出来るかもしれません。

銀行員が言うべき理想の転職理由

私が考える銀行員の転職理由のベストは次のとおりです。

退職理由+自分の経験を活かす+転職理由

転職理由 【例文】

上司から顧客の新規プロジェクトについて、ずっと意見を交わしてきました。

私が考える課題解決は顧客目線に立ったものでしたが、上司は銀行目線での考え方でした。

以前から、銀行目線の営業スタイルに納得していなかったので、自分の顧客志向型のスタイルが実践できる方法を色々と考えました。

いまの銀行の体質では私のスタイルを実践できそうにありません。

これまで数件の新規プロジェクト案件に携わった経験があり、資金調達からプロジェクトの進捗管理まで可能なスキルや資格を持っています。

お客様のための仕事をしたいのはもちろんですが、会社に貢献できる人材にもなりたいと考えています。

これからも自分のスキルを磨くだけでなく、新たなノウハウも吸収したいので、それができる新しい環境を探そうと考えて応募しました。

<例文の解説>
上記の例文について簡単に解説します。

「退職理由、きっかけは?」
・ずっと意見を交わしてきたが、銀行目線の営業スタイルに納得していなかった  

「自分の経験を活かすのは?」
・数件の新規プロジェクトに携わった経験や、資金調達から進捗管理まで可能なスキルや資格  

「転職理由は?」
・顧客志向の営業スタイルで仕事がしたいが、いまの銀行の体質ではそれができそうにない
・自分のスキルを磨くだけでなく、新たなノウハウを吸収したい
・それが出来る新しい環境を探すのがベストと考えた

転職理由は論理的なストーリーで構成

重要なのは転職理由が論理的なストーリーになっているかです。

論理的とは?
道理や筋道に則って結論を導くこと複雑な事柄を分かりやすく説明すること

転職理由は「なぜ転職したいのか」の説明です。
転職はあくまでも自分が理想とする姿を実現するための一つのツールです。他に解決方法があれば、それも選択肢になります。

つまり「転職しなければ解決できない理由」が必要です。

コンサルがよく口にする「イシュー(課題)の特定」です。

簡単に説明すると以下のような考えです。

理想 → 現実 → ギャップ発生 → 課題解決を探る → (数ある解決方法の中から)転職

筆者作成

なぜ、そのような行動に至ったのかの要因があり、解決する一つの方法として転職を考えた、というのが転職理由としては正答です。

しかし、この論理の構築がないままの転職希望者は結構多いと思っています。

おそらく現実から逃れたいという理由が多いはずです。 これは全く論理的ではありません。 ​  

銀行員は使えない

これは、あくまでも私の実感です。銀行員は論理的思考能力が低いです。

なぜかといえば「深く考えなくてもビジネスが成立する」からです。

また銀行の組織や慣習も論理的思考能力を育てることを阻害しています。

だから一般企業で「銀行員は使えない」と評価されてます。

銀行はストックの商売

銀行はストックの商売です。過去の遺産で収益を稼げます。

だから、どうやって稼ぐかを本気で考える必要がありません。

これまでの貸出金の利息が寝ていても入ってきます。

銀行はピラミッド型組織

銀行は上意下達の組織です。
トップの指示は末端にまで届きます。

そのため上司の命令さえ聞いておけばいいと思ってます。
だから自分で考えようとしません。

カードやらNISA口座やら保険やら。何でノルマが設定されるんだろうって思ったことありませんか?

でも、銀行では特に説明が無いままノルマが設定されます。
私も部下に「今月何件!」と理由を述べずに指示していました。

理由を説明しなくても、なぜか銀行員は動いてくれます。

銀行は転勤が多い

銀行は転勤が多いです。
これも論理的思考能力を育てることを阻んでいます。

数年経てば新しい環境になるため、じっくりと顧客に向き合うことができません。

顧客のことを、本気で考えてあげる時間がありません。

自分が担当のときに実績を出せばよいので、後のことは考えずに何でも売り込みます。
焼畑農業と一緒です。

考える前に行動するだけで済みます。

銀行員が論理的思考能力を育てるには

銀行にいると論理的思考能力がなかなか育ちません。

解決方法は簡単です。本を読んで独学です。

私は約20年前(30代前半)に「ロジカル・シンキング」という本で学びました。

いま考えれば、当たり前のことが書いてあるんですが、当時は実践できていないことに気付かされました。

もし、興味があれば読んでみてください。

使えない銀行員から脱却しましょう

私は45歳のときに銀行から転職できました。

最初は簡単に決まると思ってました。
しかし、それは大きな勘違いでした。

恵まれた環境の銀行からなぜ転職したいのか?と世間からは思われます。
私の場合は家族が病気になり、もう転勤が難しくなったことが原因でした。

転勤が難しいことを銀行に伝えると、これ以上の出世はできないと宣告されました。

つまり環境を変える以外、もうキャリアアップが望めなくなったのです。

これは転職するキッカケです。つまり退職理由です。

記事にも書いたように、退職理由で転職はできません。

なぜ転職という選択肢を選んだのか?これが大切です。

銀行員の皆さんが、素晴らしい職場に出会えることを祈ってます。


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