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1999ベルリン→2019東京

「魂がふるえる」。
このタイトルは、決して大げさではない。森美術館で開催されている「塩田千春展:魂がふるえる」を鑑賞した感想だ。最初の部屋に入った瞬間思わず「あっ」っと声を出した。

塩田さんは1972年生まれ、私は1974年生まれ。ほぼ同世代と言っていい彼女の作品を、1999年のベルリンで観た。その時、私はぼんやりとベルリンで過ごしていて、彼女の作品は美術館に展示されてた(…はず、そう記憶している)。当時、その落差に愕然としながら、また同時に作品のクオリティの高さに驚愕していた。正直なところ、作品を正面から受け止められてなかった気がするけど。

それからちょうど20年。日本有数の人気美術館で作品の前に立つ。そこで表現しようとしているものの本質は変わってないかなと思うけど、その迫力というかエネルギーは20年前のそれとは全く異なっているように感じた。もしかしたらそれは受け手の問題なのかもしれない。ともかく、作品から感じる無数の問いかけの前で、呆然と立ち尽くすしかない。その問いかけとはシンプルに言えばこうだ。「で、お前は何者なのだ」。

「魂がふるえる」。
それはアーティスト自身のことを語っているんだろうと思っていたし、おそらくはそうかもしれない。しかし何より、私自身が「魂がふるえる」を体験した、というのが私に起こった出来事だった。大きな部屋に無数に張り巡らされた赤い毛糸が何を表現しているのか、アーティストが表現したいことは何なのか、それは本人的にも鑑賞者にとっても色々解釈があるかもしれないけど、少なくとも私には根源的な問いを投げかけられているように感じられてならなかった。そしてまたこのタイトルを、改めて考えざるを得なかった。


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