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第23話:ギフトマーケティング

前回のおさらい

前回までは世間を利用したマーケティングをご紹介していきました。それは、お中元やお歳暮、年賀状、バレンタインデーなどが挙げられて、その特徴が贈与互酬であるということでした。社会を安定化させるために昔から使われてきた社会関係です。

ギフトマーケティング

「ギフトマーケティング」とは、南知惠子さんと言うマーケティング学者が研究した、儀礼的消費における象徴と互酬性をテーマとする論文です。
これまで説明してきた、互酬性と言うテーマが消費を動かすと言うことが述べられている本です。主に、パーソナルギフトや歳暮、ブライダルに対して分析が行なわれています。

成功するギフトマーケティング

ギフトマーケティングを実践的に成功させるためには次のの3点を行うといいとまとめられています。

1.贈与交換が社会関係を確認し強化する働きをすることをアピールし、贈与交換それ自体の需要を喚起すること。
2.店舗イメージを高めるための品揃えを充実すること。
3.自己イメージを投影させるための広告メッセージの開発をすること。

これらの成功要因をしっかりと理解して、マーケティングプランを組んでください!2と3についてはほとんどギフト関係ないですけどね笑

失敗するギフトマーケティング

贈与行動にはあくまでも動機要因となる社会関係が存在し、相手が存在する消費行動であるので、ギフトチャンスをマーケティング側が企画しても、消費者に受け入れられない事があります。
例えばサンジョルデー「愛する男性には本を贈り、愛する女性にはバラを贈りあう」日、ボスデー、セクレタリーデーも…

なぜ、消費者に受け入れられないのか、、、
贈るべき相手が想定しにくいからです。そのため贈与交換自体が成り立たなかったのです。ギフトだからなんだっていいもんじゃないということがわかりますね!
前回お伝えした、贈与互酬の関係が成り立たないことには、消費者に受け入れられないわけです。何かにつけて贈り物をするということだけでいいわけではないのです。

社会で起きている「あれ?」をマーケティングに

社会では簡単に説明できないことだらけです。その社会のメカニズムがわかる、わかるもしくはヒントがあればそれをビジネスチャンスに転換することが出来ます。
複雑な社会を分析しているのが社会学です。わからないことがあれば一度は社会学の学術書をみるといいでしょう。

また、ギフトマーケティングと聞いて安直に、贈り物をするマーケティングプランを組むのではなく、なぜ成功しているのかということをしっかりと構造を見抜く力は社会学に存在しています。

例えば、マルセル・モースは社会関係を維持させているのが贈与互酬の関係であるということを見抜いたわけです。その社会の関係を何で作られているのか、その関係の中でどうやって消費につなげているのかということを見ていくのがマーケッターなのではないでしょうか。

まとめ

ギフトマーケティング、すなわちお歳暮や年賀状などは儀礼的消費として使われています。世間を利用したマーケティングは実は、儀礼的消費の性格があるのです。

このギフトマーケティングで成功する秘訣と、失敗する例を紹介してきました。これらは社会の中の関係を無視して、ギフト需要を押し付けてしまうと失敗してしまいます。この社会の中と消費の関係を見抜く力を持っていけばマーケティングに活用できるのではないかと思っています。

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