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太陽を盗んだ男 (映画052)

「太陽を盗んだ男」

「太陽を盗んだ男」は1979年に公開された長谷川和彦監督作品です。太陽とは原爆のことを指していますが本作は被爆国で日本で作られたことに意味があるような気がします。合わせて1970年代の映画ということも学生運動の余韻やアメリカン・ニュー・シネマの熱量も滲ませて本作の魅力に繋がっている要因と思われます。主演の沢田研二は理科の教師を静かに怪演、野球が好きでロック歌手という情報が説得力に繋がっていて、プロ野球のテレビ放送の延長、ローリング・ストーンズの来日公演の要求は納得であります。とは言え、仮に松田優作や萩原健一が演じていたらどのような作品になったのか?そのような想像を個人的には楽しんでいます。長谷川和彦監督は本作以降、映画を撮っていないのは残念、皇居前の広場、その無許可の撮影が関係しているようですがこれもまた主人公の行いとシンクロしていて説得力があります。そのようなことを考えると長谷川和彦監督や撮影現場の雰囲気が沢田研二の演技に影響を与えていたのかもしれません。原爆がモチーフなら尚更、想いや熱量は必要不可欠な事柄で被爆したことで終戦、関連して皇居前の広場は必要だったのかもしれませんし、題名の太陽とは原爆だけではないことを暗に仄めかしているようにも思います。つまり、太陽、原爆、熱量、皇居、終戦、それらを結ぶ線が丈夫だった作品、とは言え、発電所の侵入は容易ではないことも確か、ところが発電所の内部は歌番組のセットを連想、歌番組の沢田研二のイメージとの相性も抜群でもありました。そのように考えると沢田研二は適役だったことも確認できます。

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