見出し画像

シャングリラへゆく⑬転生僧の住む秘境寺に受け継がれる信仰

理想郷のことを人はシャングリラと呼ぶ

雲南の香りに魅せられて僕は旅をした
冒険家が探し求めたシャングリラに想いをよせ
奥へ奥へ雲南省の秘境を旅した記録

①から読めばより深く楽しめます
シリーズ「チベットへゆく」の第二部
シャングリラへゆく物語

転生僧の住む秘境寺に受け継がれる信仰

10月2日午後3時頃

四川省甘孜カンゼ県に位置し理塘りたんに近い山奥
のとある寺に5人は辿り着いた。

この寺に、
今回案内してくれた孫君の知り合いの僧が居て
その彼に声をかけ
寺の座主である転生僧トゥルクと謁見の了解を得ていた

思ったより大きな敷地で門から車は入り
建物がいくつも見えた

古そうな建物や近年建てられた印象の建物など
入り口から正面左側の建物側へ行く

建築様式から本堂や寺ではなく
座主や高僧の住む住居や寺を管理する
組織が入る母屋に見えた

四川省 明珠佛学院

車を止めると
到着前に電話していた知り合いの僧が
出迎えてくれていた

年齢は40前後くらいだろうか
若く賢そうで どちらかというとインテリ派

かるく皆挨拶をし
今から転生僧トゥルクと謁見の作法を簡単に説明

どうやら会えるのは数分のみで
質問は一切できません。と言われた

目の前で拝み
転生僧トゥルクから体や頭を撫でてもらい
念をいただく事で終了らしい

僕は、もう少し話が出来き少しは質問が
可能なのかと勘違いしていたから
本当に会うだけには、少し残念だった

とは言え、観光感覚で謁見を許す程 簡単に
コンタクトは取れない事も理解していたので
それ以上は望めなかった

僕らが思うに転生僧トゥルクという立場は
この世界では雲の上の存在
いくら厳しい修行を何年積んでも
越えられる存在ではない
名のある高僧ラマの魂を引き継ぎ
生まれ落ちた子

そう特別な存在


若い僧は物静かに礼儀正しく謁見作法を
教えてくた
部屋に入れば静かにして余計な話は
避けてくださいと言われたので
僕らも緊張が走る

どんな感じなのだろうか?
ドキドキし5人は僧に連れられ歩く

僧に連れられ中に入る

建物に入り広い部屋に案内された
食事や話をする長い木のテーブルが見え
奥には装飾のされた木のテーブルに椅子
後の棚には仏具や教典の本
建物の前を改造し増設されたような空間
曼荼羅模様の布や仏具が置かれ
参拝者からか贈り物が積まれていた

転生僧トゥルクとの謁見

案内してくれた僧が
転生僧トゥルクの前に先導してくれた

歳は60代半ばという感じだろうか
年配ではあるが
やや ふくよかな体系で優しい目をしていた

順番に呼ばれ膝をつき首を出すと
転生僧トゥルクは黄色カターを
一人ずつに首にかけてくれる。
カターは様々な儀式で使われ
材質や色でも区別があり誠心誠意や
歓迎儀式で使われるし葬儀でも使う
(見た目はスカーフのようなモノ)

そして転生僧トゥルク
念を入れて欲しい場所を伝える

特にない場合は頭になり頭を差し出す
人によっては持病の箇所であったり
痛みのある個所や気になる体の場所を指し
手を当て念を注入

僕の番になり
その場の空気に飲み込まれ考える間もなく
頭を自然に出していた

そして僕は膝をつき下むき手を膝の上に置く
頭を撫でてもらい
転生僧トゥルクは真言を唱えている時に
左手にしいてた星月菩提樹せいげつぼだいじゅの数珠が目に入り
思わず、数珠を転生僧トゥルクに差出し、ここにも
念を入れて欲しいと合図

すると転生僧トゥルクは数珠を受け取り真言を唱え
数珠を指で転がし念を入れ出した

僕の左手にしている星月菩提樹せいげつぼだいじゅの数珠は
アクセサリー感覚で随分前に数珠に詳しい
上海人を通じチベットから取り寄せ買ったもので
長年共に旅をしてきたアイテム

インドのガンジス川で沐浴もし
釈迦の初説法地にいた僧からも念をもらい
拉薩の秘密の寺の座主にも念を吹き込まれ
8月の香格里拉シャングリラ松贊林ソンツェリン寺でも
僧に念を入れてもらっている

今では、
手放す事ができなくなった星月菩提樹せいげつぼだいじゅの数珠
謁見の時間はあっという間に終わる



そして最後に
甘露丸かんろがんという秘薬を一袋手渡された

チベットに伝わる秘薬の一つらしい
昔からチベットは医療や医薬(漢方)も進み
文献も多い

効能として
・精神的能力を開放するとか
・悪いカルマを払うとか

本来は医薬としての効能があるらしいが
今では精神的お守りの意味合いで持つ事が
多いらしい

海抜の高い地にあるチベット高原で育つ
生薬しょうやくを煮込み作る
大量生産できない医薬の一つで
一般には手に入らないと説明をうけた

チベットでは珍しいものではないとは
言っていたが市販されてない薬

チベット一般家庭で作られる甘露丸かんろがんとは違い
転生僧トゥルクの念が注入された代物
最後の一吹きで魂に火が入るような感覚だけど
面白い秘薬を手に入れた。
一袋に50-60粒程 
直系3㎜程の丸く茶色玉の甘露丸

僕は今回の旅の1番の目的の
転生僧トゥルクとの謁見はこれで終わる
その時間5分もなく終わった

建物の外に出て少し話をしている時に
若い僧に この甘露丸かんろがんって
どんな時に飲むの?って聞いてもらった

僧は僕の目を見て真剣に静かな口調で
亡くなった時に2粒3粒ほど口の中にいれます

この秘薬を口に入れる事で魂が肉体から
抜ける時に来世へ導いてくれます

と教えてくれた

大事に持っておいてくださいね
と言い僧は微笑んだ

僕はシャングリラに伝わる秘薬を手にいれた

転生僧の住む秘境寺に受け継がれる信仰

甘露丸

輪廻するには秘密があったのだ

はやり来てみないと
まだまだ知らない伝承は多くあるものだ
信じる、信じないより
こういう面白い話は神秘的で
本当に秘薬を手にした気にさせてくれる

拉薩の秘密の寺の出会えなかった転生僧トゥルク
四十九日寸前だったので、きっと
甘露丸を飲まされ
チベット死者の書を耳元で詠まれ

またチベットへ堕ちたのだろうか
それとも若き日々の修行を共にした
ダライの近くへ堕ちたのだろうか

また1年前の事を思い出し
転生僧達の物語に魅力を感じた

転生僧トゥルクは現在、何人程存在してるのだろう
中国国内では転生僧トゥルクの承認は
最終的に政府が認定と法律で定められている

ダライやパンチェンやカルマパなどの
特に影響力のある転生僧トゥルク
勝手に決めさせない事を意味する

チベット仏教の伝統的習慣を無視し
政府が政治的に決めている

その為、次期法王の転生探しに大きな影響を与え
問題になる事は間違いない

チベット仏教の通例では特に名のある僧の
転生は現在でもダライ・ラマが最終選定している

中央政府はダライの選定してきた人物が
自国内にいる場合宗教指導者としては
認めてこなかった半世紀の歴史がある

チベット騒乱と騒がれた2008年
テンジン・デレク事件など
まだ最後の抵抗を続けていた頃
このエリア四川省甘孜カンゼ県は騒乱の中心地

時は流れ、チベットはもう中国の手に落ちている
それは去年の拉薩を見てチベットの独立はもう
出来ないと思わされたから、今こうして
制限があるにしろ宗教活動を許されている

その後、修行する僧達の日常を垣間見ながら
寺の中を案内してもらう事になった

カラフルなタルチョ(お経の書いた5色の布)

⑭ 修行僧と完成前のお堂に潜入 へ続く

↓↓聖地巡歴記 インド編(完全版) はこちらをどうぞ!

↓↓聖地巡歴記 西安編 はこちらをどうぞ

↓↓聖地巡歴記 ミャンマー編 はこちらをどうぞ

↓↓聖地巡歴記 南京編 はこちらをどうぞ


この記事が参加している募集

#旅のフォトアルバム

38,184件

#探究学習がすき

7,413件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?