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読むサイクリング ~自転車本レビュー~ 電動アシスト自転車を使い尽くす本

ただの自転車好きが勝手に自転車本を批評します。
基本的にネタばれを気にせずつらつらと書いていきますので、気になる方は注意してください。

電動アシスト自転車を使い尽くす本 疋田智 (著)

現在の自転車事情に関する著述活動で、最も著名な自転車乗りと言っていい方ですね。今となってはかなり一般になった「自転車は車道の左側を走行する」というルールを浸透させた一番の功労者と言えるかもしれないです。
そんな著名な方が電動アシストについて本を書いただけではあるのですが、これまでの発言の内容などを鑑みると、「えっ、疋田さんが電動アシストの本を出したの!?」と感じたのです。


疋田智という人物のスタンス

著者の功績を認めることに異論はありませんが、主張が極端すぎて個人的には全面的に支持しにくい方です。
主張の特徴としては道交法絶対順守主義です。自転車で歩道を走るのは蛮行とまで言い切っています。また、ママチャリに対しても全面的に否定するスタンスで、その点を考慮に入れて読まれることをお勧めしたいと思います。

以前私は「自転車界は正しいという極論を振りかざす傾向がある」という旨の文章を書きましたが、まさにその筆頭格ともいえる方です。(笑)

そんな著者が、現在でもほとんど歩道を走っている電動自転車について本を書いているのがかなり驚きで、すぐに買って読んでしまいました。いったいどういう本になっているのか……。

意外にも電動アシストに対して肯定的な筆者

読んだ感想としては、肯定的な意見が多く、それが凄く意外でした。
「乗ってみたら、メチャメチャ良くてびっくりした!」ということらしく、すぐに自分の考えを変えられるところは、皮肉ではなく素直に尊敬しました。

肝心の内容としては、電動アシスト自転車を使う上での注意点や利便性などを説いる本で、目からウロコな話はありません。
どちらかと言うと、買う前に読む本ではなく、買った後に読む本という印象。買う前の注意とかではなく、長く使うためのハウツーが主な内容です。歩道走行に関しては現状を嘆く箇所は少しあれど、それほど言及することなく、うまく濁してまとめていました。
後半に中国の自転車事情をなぜかかなりページを割いて語られているのですが、ここが一番面白いかったです。(笑)

電動アシスト自転車への期待感

疋田さんはこれまで、現在の日本の道は自転車にとって最悪に近い環境ということを述べています。これに関しては私も同様に感じます。
この現実に対して電動アシスト自転車は、ポジティブなインパクトを与ええると、疋田さんは期待しているようです。こちらも同意見です。

スポーツ自転車乗りの中には、依然として電動自転車に対して否定的な意見を持っている人はかなり多いですが、電動アシストが今以上に普及していくことは間違ありません。
それに伴って街の自転車事情というのがどのように変わっていくのか興味が尽きません。願わくば、どんな自転車乗りでも快適に走れるようになってほしいと思っております。

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