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新任マネージャーにありがちな2つの失敗と、それを乗り越える方法

新たにマネージャーとなったとき、自分の能力が認められた高揚感を感じるでしょう、一方で、あなたには多くの期待と同時に課題ももたらされます。ですが、新しい役職とはすなわち過去の経験でやったことのないこと。ここでは、もしあなたが新任マネージャーとなったときに注意すべき典型的な失敗を2つ紹介します。

2つの失敗例

リーダーシップが空回り

新しい立場で多くの新任マネージャーは「リーダーシップを発揮しなければ!」と感じるでしょう。ですが、まだチームビルディングも出来ていない状態でリーダーシップを発揮しようとすると大抵は失敗します。例えば、ある新任マネージャーが、早速自分のリーダーシップを示すために毎朝のミーティングを導入しましたとします。しかし、目的のない行動でただチームの作業時間を奪い、生産性を低下させる結果となるかもしれません。盲目的に指示を出したり、メンバーに過度にプレッシャーをかける行為は、チームの意欲やモチベーションを損なうことになります。

早とちりの方針設定

マネージャーとなった瞬間、これまでの同僚が育成対象・評価対象となるなど、組織の見え方が大きく変わるでしょう。そして、感じた課題を解決するために、独自のマネジメントを実践してみたくなると思います。しかし待ってください。しっかりとした現状把握をせずに、自身が良かれと思った独自の方針を取るにはまだ早いです。ある企業の新任マネージャーが前職の成功体験を基に、新しいプロジェクトを即座にスタートさせようとしました。しかし、彼が十分に現状を把握していなかったため、この新プロジェクトは既存の業務との整合性が取れず、混乱を引き起こしました。現状に合わない無計画な方針変更、独自の取り組みは、組織の実際のニーズから外れることがあり、それがメンバーからの反発を生む可能性が高まります。

これらの失敗を避け、マネージャーとして適切な成果を出すためには以下の3つのポイントに気をつけましょう。

3つのポイント

適切な現状把握

マネージャーとして成功するためには、既存の組織文化やチームの動きを理解することが不可欠です。この時間を最初にしっかり確保することが大事です。例えば、大手IT企業の新任マネージャーは初日から1週間は業務に介入させず、チームの業務フローをじっくりと観察する時間を持たせる、という事例もあります。このような取り組みで、マネージャーは短期間でチームの強みや課題を正確に把握することができ、適切なサポートを開始することができます。

フォロワーシップの理解と育成

真のリーダーシップは、フォロワーシップの存在なしには成立しません。フォロワーシップとは「組織の目標をリーダーと共有し、リーダーが中心となって目標を達成できるために、メンバーが自発的に力を発揮しリーダーを補助していく機能」を指します。この「メンバーがマネージャーを助ける仕組み」をメンバーに持ってもらうことで、マネージャーとメンバーで相互に連携し、スムーズなチーム運営が可能となります。ある企業では、新任マネージャーに向けた「オープンディスカッションの時間」を設け、メンバーからのフィードバックや意見を尊重し取り入れるようしました。これにより、メンバーが自発的に意見を共有するようになり、チーム全体の動きがよりスムーズになった、という事例があります。

マネージャー・メンバー相互の信頼関係の構築と維持

信頼関係の築き方は、組織やチームの文化によってもさまざまですが、前項のフォロワーシップの考え方を取り入れることで、より深い信頼関係を構築することができます。フォロワーとしての役割を果たすメンバーは、リーダーの指示に従うだけではなく、時にはリーダーの誤った意見や方向性を修正する役割も担います。これを実現するためには、リーダーとメンバーとの間で目標や意図を共有し、相互の信頼関係を築くことが不可欠です。定期的に「目標共有セッション」を実施するなど、組織のビジョンや方向性をチーム全体で共有することで、組織内の認識を統一し、深い信頼関係を築いていくことが重要です。

まとめ

新任マネージャーが陥りやすい2つの失敗と、この失敗を避けるためのポイントを3つ紹介しました。

新任マネージャーは、多くの場合マネジメントの壁にぶつかります。ですが、チームを理解し、メンバーを理解し、フォロワーシップの考え方を理解し取り入れることで、組織課題の解決や目的達成への道を切り開くことができるでしょう。失敗を恐れず、それを学びの機会と捉え、チームと共に成長していきましょう。

参考:浜田陽子, et al. "リーダーシップ・プロセスにおけるフォロワーシップの研究動向." 目白大学心理学研究 11 (2015): 83-98.

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