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ゲッティンゲンでの造林学演習


北部ドイツで良くみられる広葉樹の一つであるオーク

先週木曜日、昼から夕方までの演習"Forestry in Germany"。大学周辺に広がる混交林内で教授の案内の元、植生の現状とその歴史的変遷について学んだ。そもそも、僕はSilvicultureの意味するところがよく分かっていなかったのだが、どうやら日本語では造林学という言葉が当てはまるらしいということを、授業の後に知った。たしかにsilvi(forest) + culture(cultivation)である。

この演習で一番苦労したのが学名。僕は正直なところ、日本の植物の名前もろくに知らない。そんな実力でPicea Abies, Pseudotsuga menziesii, Acer pseudoplatanus, Acer platanoides, Pinus silvestris (Scots pineは実は大学周辺にはほとんどないそうで、演習の最後に植えてあるものを1本だけ発見した)なんて単語が次々と飛び出してくるので本当につらかった。ちゃんとそのあたりを学部で学んできた同僚たちにとってはなんでもないようで、彼らはいろいろ質問して面白かったみたい。専門外とはいえ、少しは覚えようと反省した。

面白かった話を一つ。「ダグラスファー Psedotsuga menziesiiは移入種だけれども、氷河期の前にはヨーロッパにも自生していた。だが、氷河期に入って生態域が南へ押し下げられた際、東西に走るアルプス山脈にさえぎられてそこで絶滅してしまった。同じ状態は北米でもあったけれども、ロッキー山脈やアパラチア山脈は南北に走っているから、生態域が南へ押し下げられた際もさえぎられるものがなく、生き残ったと思われる」ということ。こういったことを考えたことがなかったので、とても新鮮に頭に入ってきた。日本の場合はどうだったのだろう。

もう一つはジャイアントセコイア Sequoiadendron giganteum。樹皮がとても厚く、パンチしても拳が柔らかく包まれるぐらいなのだが、この特性が耐火性となり(表が焼けるだけで中心部まで火が回らない)、結果として1000年以上という超長期の樹齢をもたらしているということ。

Ash (Fraxinus excelsior)もありました。

名前の話に戻るが、学名と英語名と日本語名で全然違うことが多いのは、私のような初心者には本当に困る。例えばドイツで一般的な造林品種であるPicea Abies。これは英語だとNorway spruceなのだが、日本語だとオウシュウトウヒやドイツトウヒというらしい。せめてノルウエートウヒにしてほしかった。ダグラスファーも日本語だとベイマツ。マツじゃないのに。

そんな感じで不勉強な僕には大変な演習だったけど、プロと一緒に森を歩いていろいろと解説してもらうというのはとても楽しい時間。これが授業で単位をくれるというのはとても幸運なことだ。


オリジナル記事公開日:2012年5月15日

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