小椋賢治

大学教員.有機化学,物理化学,生化学を担当しています.

小椋賢治

大学教員.有機化学,物理化学,生化学を担当しています.

最近の記事

2024年度 大学入学共通テスト 問題解説「化学」

注釈者コメント 第1問 次の問い(問1〜4)に答えよ.問 1 次のイオンのうち,配位結合してできたイオンとして適当でないものを,次の1〜4のうちから一つ選べ. 配位結合とは,結合している片方の原子から非共有電子対を提供して,その電子対を両方の原子で共有している結合のことである. 1:Nの非共有電子対をH+と共有しているので配位結合 2:Oの非共有電子対をH+と共有しているので配位結合 3:錯イオン(金属イオン+非共有電子対をもつ分子)なので配位結合 4:ギ酸イオンはギ酸分

    • 2024年度 大学入学共通テスト 問題解説「化学基礎」

      注釈者コメント第1問 次の問いに答えよ.問 1 単体が常温・常圧で気体である元素はどれか.最も適当なものを,次の1〜4のうちから一つ選べ. 1.リチウム   固体 2.ベリリウム  固体 3.塩素     気体 4.ヨウ素    固体 答:塩素 問 2 第4 周期までの典型元素に関する記述として誤りを含むものはどれか.最も適当なものを,次の1〜4のうちから一つ選べ. 1.アルカリ金属元素は,炎色反応により互いを区別することができる. 正しい 2.2族元素の原子は,2個の

      • 2023年度 大学入学共通テスト 問題解説 「化学」

        注釈者コメント 第1問次の問い(問1 ~4)に答えよ。 問1 すべての化学結合が単結合からなる物質として最も適当なものを、次の1~4のうちから一つ選べ。 1.CH3CHO 2.C2H2 3.Br2 4.BaCl2 答:(3)Br2 問2 次の文章を読み、下線部(a)・(b)の状態を示す用語の組合せとして最も適当なものを、後の1~8のうちから一つ選べ。 「流動性を失ったかたまり」のことをゲルといい,「乾燥したゲル」のことをキセロゲルという. 答:(6) ゲルとキセ

        • 2023年度 大学入学共通テスト 問題解説「化学基礎」

          注釈者コメント第 1 問次の問い(問1 ~9)に答えよ。 問1 ナトリウム原子 Na に含まれる中性子の数を、次の1~4のうちからーつ選べ。 Naの質量数は23,原子番号(陽子の数)は11. 中性子の数 = 質量数 – 陽子の数 = 23 – 11 = 12 答:12 問2 無極性分子として最も適当なものを,次の1~4のうちから一つ選べ。 1.アンモニア NH3 2.硫化水素 H2S 3.酸素 O2 4.エタノール C2H5OH 本来は,共有結合している原子の電気陰性

        2024年度 大学入学共通テスト 問題解説「化学」

          ゆっくり解説で反転授業の講義動画を作成する

          1.ゆっくり解説とは ゆっくり解説とは,音声合成ソフトを使ってキャラクターに様々な事柄を解説させる動画のことをいいます.YouTubeなどの動画投稿サイトに多くのゆっくり解説がアップロードされています. 2.反転授業とは 反転授業とは,時間割で設定された時間帯よりも前に受講生に講義動画を視聴させて知識伝達(予習)を済ませたうえで対面授業をおこなう方法です.反転授業の効果としては,講義動画で得た知識が対面授業で定着する,応用力が身に付く,が挙げられます.反転授業では知識伝達部

          ゆっくり解説で反転授業の講義動画を作成する

          学会のハイブリッド方式での開催方法

          1.はじめに  研究者による研究報告会,いわゆる学会ですが,社会情勢の影響によりオンライン方式で開催されることが多くなりました.オンライン開催には出張や移動が不要など利点がありますが,対面で討論したり意見交換することも重要です.今後は,対面と遠隔のどちらでも出席でき,それらの形態を意識することなく,講演の聴講や討論に参加できるハイブリッド方式での開催が増えると予想されます.この記事では,学会をハイブリッド方式で開催するときに必要な機材の選択・設定および実施方法について説明しま

          学会のハイブリッド方式での開催方法

          オーディエンスレスポンスシステムslidoを使った双方向型授業

          1.はじめに リアルタイム(あるいは同期型・ライブ型)のオンライン授業では質疑応答の機会を設けるなど双方向性の確保が必須とされています.この双方向性の確保は,オンライン授業だけに求められているのではなく,対面型授業においても必要とされていたのですが,これまで一方通行的な知識伝達型講義が広く行われてきたため,それが問題点として認識されていませんでした.これからの授業は対面・オンラインに関わらず双方向性の確保が重要になるでしょう.  slidoは聴衆からの反応を収集するためのオン

          オーディエンスレスポンスシステムslidoを使った双方向型授業

          ハイフレックス型授業の概念設計と実践

          1.はじめに オンラインと対面を組み合わせて実施する授業をハイブリッド型授業といいます.ハイブリッド型授業には様々な形態があり,それらの分類を記事(URL)としてまとめてあります.ハイブリッド型授業のうち,対面側とオンライン側を同期して実施する形態をハイフレックス型授業といいます.ハイフレックス型授業では,対面側とオンライン側の受講生が同時に同じ内容を学ぶことになります.この記事では大学において,ハイフレックス型授業を実施する際の概念設計,必要な機器,機器の設定,および実践例

          ハイフレックス型授業の概念設計と実践

          オンライン学会でタイマーを表示する

          zoomを使ったオンライン学会で,講演者に経過時間を知らせるためにタイマーを表示する方法です. OBSを使う方法(リンク)がよく知られていますが,OBSのインストールや設定が面倒かもしれません.ここで紹介するのは,iPadのアプリ「プレゼンタイマー」をミーティングに参加させる方法です. 必要なもの1.iPad 2.iPadのアプリ「プレゼンタイマー」(リンク) 3.Apple Lightning - Digital AVアダプタ(写真) 4.HDMIをUSBに変換するキャ

          オンライン学会でタイマーを表示する

          オンライン・対面の併用(ハイブリッド)型授業の分類と特徴

          1.はじめに 昨今の社会情勢の影響により,大学における多くの授業,なかでも講義は,その運営方法が大きく変わりつつあります.大学の教室は受講者が密集した状態であり,周囲の受講生および教員との意見交換やディスカッションにリスクが生じます.そのため多くの大学で,全面的にオンライン授業に移行する,教室の収容人数を減らしたうえで対面授業を実施する,などの対策が取られたうえで授業が運営されています.  授業のオンライン化は以前から通信制大学で実施されており,また,通学型大学においても対面

          オンライン・対面の併用(ハイブリッド)型授業の分類と特徴

          オンライン授業でジグソー法ポスターツアーを実施する

          1. はじめに このnoteでは,オンライン授業でジグソー法ポスターツアーを実施する方法について書いています.ジグソー法では,大きい学習課題をいくつかの小課題に分割し,それぞれの小課題に対して別々のグループが取り組んだあと,各グループの成果物を全体で共有します.そのことにより,学習課題全体に対してクラス全員で詳細な知識を共有することができます.  この授業では,それぞれの小課題について,グループメンバーの共同作業で1枚のポスターを作成します.ポスターが完成したあと,作成グル

          オンライン授業でジグソー法ポスターツアーを実施する

          オンライン授業でmiroをつかう

          1. はじめにオンラインホワイトボードmiroは英語版しかないし(日本語の取り扱いはOK)高機能のため,一見,とっつきにくい印象があります.しかし,いったん操作に慣れてしまえば,オンライン授業,特にグループワークで使うととても便利です.このnoteにはmiroをオンライン授業で使うときの基本的なことがらについて書いています. 2. miroのしくみmiroにサインアップすると自分がオーナーのチームが生成します.自分のチームの中にボードを作って,その中で作業をするイメージです

          オンライン授業でmiroをつかう