サイバーエージェント藤田社長の「日記」と最近思うこと

こんにちは、AIの研究調査系メディアサイト・アイブンを運営しているParks社長の水谷です。
ベンチャー事業の立ち上げは面白くも厳しい場面が多いのですが、先人から学ぶことはよくあります。そんな折に、Twitter上で「週110時間労働」という記事が多くの人に拡散されていることに気がつきました。サイバーエージェント創業期の藤田晋社長の日記です。

藤田社長は創業間もない時期から上場に至るまで、そしてその後も日記を「トップメッセージ」として2004年ごろまで更新しています。
その内容は今回話題になった「週110時間労働」以外にも示唆に富むものが多く、私がランドセルを背負って小学校に通っていたころに書かれたものとは思えないほど、今にも通ずる教訓に満ちています。ちなみに私は現在27歳で、彼がサイバーエージェントの上場を果たしたのは26歳。会社をスタートした年齢はほぼ同じなので、自分自身に悔しさと焦りを感じることも白状します。

2000年5月ごろまでの日記を読んだことがあり、1998年からそこまでで彼の日記で特に参考になった(というか身に染みた)ページをiPhoneのメモ帳に記録していたのですが、折角なのでこうしてブログにも書きます。

アイデアと事業化は別の話

(ニュービジネス
https://www.cyberagent.co.jp/corporate/message/list/detail/id=20186
より)

...「ベンチャービジネスとか、ニュービジネスとかいうのは、結局、どれだけポリシーを持っているかなんだよね。真新しいことを始めることやみんなに認められることじゃない。」 
アイデアや企画は簡単に出てきますが、実際にそれが事業化できるかどうかはほとんど別の話です。 ...

アイデアは無尽蔵に沸き起こっても、本当に自分たちが事業としてやっていけるかという視点で落ち着いて考えていかなければいけないですね。私も最近ですがそう思うことが多いです。最近はリアリティを持って先のことを計画しすぐに実行していかなければ、時間はすぐに経ってしまうことを思い知らされています。

インターネットでは戦略はガラス張り

(新会社立ち上げ
https://www.cyberagent.co.jp/corporate/message/list/detail/id=20164
より)

...インターネットではアイデアも戦略も、競合企業に対して完全にガラス張りです。 ネットビジネスで競争力を持つのはむしろ、スピーディに優れたオペレーティングモデルを構築することだと思います。一刻も早く提携先を探し、人材を揃え、ルールを決め、体制を整えたいと思います。...

隠そうと思っても注意深い相手にとっては戦略はすぐに分かってしまうものだし、さらには隠すことに意味がある場面も実際には多くないですよね。そう感じます。アイデアの話と通じますが、ポリシーを持って実行する、やり抜くかどうかが大事なのだなと痛感します。

コドモの会社にはしてはいけない

(オトナの会社
https://www.cyberagent.co.jp/corporate/message/list/detail/id=20161
より)

...以前私がインテリジェンスにいたころに、「コドモの会社、オトナの会社」という本が全員に配られましたが、その本には会社に依存するコドモの社員と、自立したプロフェッショナルのオトナの仕事人との違いが書かれていました。 内容的にもお勧めの本ですが、私はこの本を読んで、自分の会社は絶対にコドモの会社にはしてはいけないと思いました。...

誰にでも当てはまること。組織に依存するコドモでいるのか、組織を強くするオトナでいるのか。

しかも気が緩めばオトナがコドモに戻ってしまうこともあるように思います。もちろん社長も例外ではない、それどころか最も気をつけなければいけない存在だと思います。

会社は自分のクライアント

(人と組織の関係
https://www.cyberagent.co.jp/corporate/message/list/detail/id=20153
より)

...私はこの年末に 「自分の働いている会社(サイバーエージェント)を自分のクライアントだと考えよう。」 という話を社員みんなにしました。 つまり自分のいる会社の戦略や方向性や現状をよく理解するよう努め、それをソリューションし、結果(営業数字や業務改善、社内への好影響など)を出すことに対して、会社はその人にその対価を払うということです。...

コドモの会社にしてはいけない、という話と同じだと感じますが、自分が会社の成長にいかに寄与するかという視点で臨まなければいけないですよね。私も同じで、会社は私のクライアントであり、会社=自分だとは考えてはいけない。

「できますよ」は心強い

(サイバーエージェントコリア
https://www.cyberagent.co.jp/corporate/message/list/detail/id=20147
より)

...今もそうですが、彼に何か相談しても、「できますよ」とか「やれますよ」とか強気で前向きな答えしか返ってこないのは、 孤独な決断を迫られる経営者の立場から見ると心強い限りです。...

私が新卒で入ったメーカー企業で、当時の自分には分不相応な大きめの予算が張られたプロジェクトをやる機会がありました。あるリスクの高い場面において、上司には「できないって言うやつも嫌だけど、できますって軽々しく言うやつも信用できない」と怒られたものです。自信家の自分は、不安が50%のときでも「できます」と半ば虚勢を張るように言っていたからです。あのときは結果として、ぎりぎりの所でリスクを凌いだ覚えがありますが、根拠を乗せた「できます」を言える状態でいることが大事だなと感じます。それでも、50:50のとき、やはり私は「できます」と言い続けたいとは思いますが。

意思統一の重要さ

(社員総会
https://www.cyberagent.co.jp/corporate/message/list/detail/id=20143
より)

...今回それでも社員総会を急遽実施したのは、今後さらに大きな成長を目指すための戦略を改めて意思統一する必要性を感じたからです。 公開前、ゼロから始めてマーケットを打ち破ってきたときの戦略と、公開後、 更に中長期的な大きな成長を目指す今の戦略ではかなり方向性が違ってきています。 急成長中のベンチャー企業では、決まっていた方針が覆ったり、戦略の転換や人事異動が日常のように起こります。 変化する組織の中で働く人が高いモチベーションを保ちつづけることは、実は非常に難しいことです。...

組織のリーダーとしての立場で、他人のモチベーションを引っぱれる形で意思統一を図るというのは、今の私にとっては1番の課題です。情けなく聞こえますが、逆に言えばこの課題をクリアすることでレベルアップできることがはっきりしているとも言えます。
多くの場面において、相手のモチベーションは複雑な心理状態から決まるものだと思いますが、会社活動の場合は、そして何より小さなベンチャー組織の場合は、そこで頑張ることで個人の成長が得られるものでなくてはいけない。最近そう思うようになりました。


先人が残してくれた経営の勉強資料としてサイバーエージェント藤田社長の日記を参照しつつ、最近の自分の反省をしてみました。まるで本因坊秀作の棋譜で勉強する碁打ちさながらの気持ちです。

ふがいない、もっと上手くやりたい、もっと成長したいと思うことが多いので、その気持ちを忘れないためにもこうして記録しておきました。

(それでも会社をつくるのは楽しい、というわけで、お題「つくるのはたのしい」にタグづけしておきました。)

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