日本から民泊が消える?仲介サイトから違法物件が消える
こんにちは。藤本けんたろうです。
このマガジンは、今押さえておきたい時事性の高いニュースについて、その背景事情を整理していこう!という目的で作りました。
理由は、僕自身、大学生1年生の時に初めて新聞を読んだんですが、いきなり株とか新しいサービスの記事を読んでも、チンプンカンプンやったからです。
そのニュースがどうしてニュースになっているのか、この記事は何を伝えたいのかという背景知識がないままに情報を仕入れても、イマイチ身に付きませんでした。
視線をやってるだけで、全く頭に入ってこない新聞を読みながら、「隣に池上彰がおってくれたらなー」なんて思ったりしていました。
インプットがちゃんとインプットになり、そしてその人なりのアウトプットまでつながる、「世の中のニュース」と「それを読んだ人」の架け橋みたいな感じになれたらいいなーと思って、このマガジンを始めます。
では早速、今週のニュースにいきます。
■「違法民泊」掲載、全削除へ 観光庁、仲介サイトに通知 民泊新法施行の6月15日期限 https://minpaku-univ.com/news/9251/
これは、1月6日の『民泊大学』というメディアからの記事です。
そもそも「民泊」とは?
広い意味だと、「ホテルや旅館ではなく、一般の人の家に(有償無償問わず)泊めてもらうこと」を指します。ただ、今ニュースなどで言われている「民泊」は、「自分の家の一部やマンションの一室などを、観光客などへ有償で貸し出すこと」を指します。
そんな単純な仕組み、前からなかったっけ?
「民泊」自体は、前から皆にも馴染みがあると思います。小学校の自然学校や修学旅行で、民家に泊めてもらった思い出がある人もいるはずです。
じゃあなんで、今更こんなに話題になっているかというと、大勢の人が気軽に民泊をできるようになったからです。
どうして気軽にできるようになった?
皆さん、このアプリを知っていますか?これは『Airbnb』というアプリで、アメリカ発の、世界で一番有名な民泊アプリです。
これを使えば、スマホ一つで世界中の誰でも気軽に民泊を提供でき、誰でも気軽に世界中の民泊に泊まれます。それに加えて、飛行機や列車といった移動手段が僕たちにとって身近になったことで、皆が気軽に世界中を旅するようになりました。
結果として、民泊ビジネスは世界中に普及しました。
民泊の何が問題になってる?
提供する側は、今まで空き部屋だった場所に人が泊まることによって収入が入り、泊まる側も比較的リーズナブルな値段でかつ現地の人と交流できるという、まさにwin-winな関係の民泊ビジネス。
ここまでは、何ひとつ悪いことなんてありません。じゃあ、なぜ今こんなにも問題になっているのか?
①旅館・ホテル業者からの不満
民泊ビジネスの普及にまず怒ったのは、従来から宿泊業をやっていた旅館やホテル業者の方たちです。
旅館・ホテルなどを営んでいる人たちは、国から色々なルールを決められています。フロントを作れや最低◯部屋以上作れや、最低△㎡以上作れや、ホントに事細かくあります。
そして、そういった要件を満たすために、たくさんの手間やお金をかけて旅館やホテルを建てているのです。
にも関わらず、ぽっと出の民泊野郎は、なんの設備も整えずに急に始めやがってと。そして、準備に手間がかかってないため、安い値段で提供できるので、自分たちの貴重なお客さんを奪いやがって〜!と怒り始めました。
②近隣住民からの苦情
次に怒ったのが、民泊の近所に住んでいる人たちです。急に隣の部屋に知らない外国人がやって来て怖いという話や、今まで無かったような大量のゴミが出されている、その他近所の方とのトラブルが次から次へと出てきました。
ここまでのおさらい
これらを踏まえた上で、もう一回今日のニュースを見てみます。
■「違法民泊」掲載、全削除へ 観光庁、仲介サイトに通知 民泊新法施行の6月15日期限 https://minpaku-univ.com/news/9251/
まず「違法民泊」について。国や地方自治体は、先ほどの既存の宿泊業者や住民の声を受けて、民泊をやっている人たちにも、旅館やホテルほど厳しくはないですが、簡単なルールを作りました。
それらの条件を満たしていない民泊は”違法”とし、仲介サイト(主にAirbnb)に対しては、違法な民泊は掲載しないようにと通知しました。このニュースを噛み砕くと、そういうことを言っています。
民泊問題の現状
じゃあ今度は、こうして基準を満たした民泊だけが残ってハッピーだろうと言われると、そう簡単な話ではありません。懸念点は、大きく2つあります。
①今のままだと、大半の民泊が違法になる
目安程度ですが、あるブログによると、今日本で登録されている民泊物件は約6万件あるそうです。その大半が、現状は”違法”です。5ヶ月先の期限までどれだけの民泊がルールに間に合わせるのか。そして国からの通知書を見る限りだと、今のところ罰則はなさそうなんで、「正直者がバカを見る」という状況にならないかも心配です。
②国と地方自治体の方向性が一致してない
これは明確な証拠があるわけじゃないですが、お互いの民泊に対する施策の方向性が逆だなーと見ていて感じます。
簡単に言うと、国は民泊を進めようとしていて、地方自治体は規制に走っているところが多い印象です。
例えば、国は特区などを活用してなんとか民泊を根付かせようとしていますが、一方で地方自治体は各地域でどんどんと規制を強めています。
もちろん、規制を強めない自治体もありますが。
全体としては地方自治体が住民の声を受けて規制を強める一方で、同時に国側としては推進したいのも納得できます。
その一番大きな要因は、やはりここ数年の急激な外国人観光客の増加です。
2016年の2400万人というのは、2012年の830万人の3倍弱です。
案の定、ホテルはもうパンパンです。特に都心部は。
2020年の東京オリンピックまで、この傾向は続くと思います。この急激な需要に対応するためにも、国はなんとしても民泊ビジネスを整備したいと思っているはずです。
さいごに
今回の国からの通知が、民泊を日本で普及させるのか、中途半端な感じで定着させてしまうのかは、全くわかりません。
ただ、とりあえずこの問題は国や地方自治体、従来からの宿泊業者や近隣住民など、それぞれの思惑が入り乱れていているために、話はより複雑になっています。
皆さんは、どういうことを考えましたか?
※参考資料 年別 訪日外客数, 出国日本人数の推移
ぼくの意見
最後に一応、ぼくの立場を表明しておきます。
ぼくは、どんどん民泊を推進させていった方がいいと考えてます。
まずはっきり言って、旅館やホテル業界のクレームというのは、お客さんのことじゃなくて、単に自分たちの既得権益を守りたいだけの話。
お客さんの利益を考えたら、高くてしっかりしたホテルと、安くて地域性を感じられる民泊の両方の選択肢があった方がいいに決まってます。
あと、そもそも「ホテルや旅館の客層」と「民泊を使う客層」は違うと思うから、敵対視する必要はないです。
価格帯や宿泊する目的が、上段で書いたようにぜんぜん違うからです。
どちらかと言えば対処すべきなのは、近隣住民のクレームの方。
ただ、これに関しては、僕も実際、海外と国内の両方で『Airbnb』を使ったことがあるけど、泊めてくれたホストの方はみんな、ちゃんとコミュニケーションとれて良い人ばかりでした。
だから、近隣住民のクレームというのは、極端な少数例ばっかりニュースで報道されて、割合で見ると極一部なんじゃないかと思ったりもしてます。
これは単に僕の運が良かったっていうだけの話じゃなくて、『Airbnb』のシステムが大きく関係してます。
それは「相互評価システム」というもので、泊めてもらった人と泊めた人、お互いがお互いを終了後に滞在中の態度を評価します。
このシステムがあるから、相手に快く思ってもらおうというインセンティブが働きます。
この評価は、アプリ内で全員に見られるから、もし悪い評価を受けてしまうと、それ以降誰も泊まってくれないし、誰も泊めてくれなくなってしまいます。
だから、悪徳なホストや宿泊者というのは、やはり極一部なんじゃないかと思うんですよね。
仮に本当に極一部なら、その極一部のクレームのために、大勢の人の利便性を奪っていいのか?と。
交通事故で人が死んでも誰も「車をやめろー!」とは言わないし、火事で家が燃えても誰も「火は使うなー!」とは言いません。
それは、そういった不利益よりも、全体で見るとそれらを使うことによる利益のほうが圧倒的に大きいからです。
ぼくは民泊も、この部類に入ると考えてます。
実際、便利やからここまで普及したわけで。
今は時代の流れが早いから、実態(ここでは民泊が便利で普及してること)に法律が追いつかないことも多いです。
時代錯誤な法律で中途半端に規制するより、実態に法律が合わせる方が世の中はうまく回ります。
ここで変に規制してしまうと、結局違法な組織が悪い金儲けをするだけになってしまいます。
それなら、法でもう認めてしまって、利益分を税金なりで回収したほうが、お互いに幸せだと思ってます。
とにかくこのまま日本の民泊を中途半端にしておくと、オリンピックの時に日本はパンクしてしまいそうな気がするんですよね〜。
だからぼくは、民泊推進派です。
ホントに悪い民泊業者もいるから、そういう人たちはちゃんと規制しなダメやと思いますけど。
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