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ArcGIS Proで白黒印刷向けのハッチング(網掛け)デザインを実現する方法

 最近はGISソフトウェアもどんどんオシャレなデザインができるようになってきて、例えばArcGISだと、こんな感じで取り込んだデータや背景地図に合わせていい感じにシンボルを設定してくれる、みたいな機能もあるんですが、世の中にはまだまだ白黒で地図を印刷しないと行けない場面が残っています。高校地理の授業用プリントや試験問題、なんて典型的ですね。
 グレースケールでなんとかデザインをこなすこともあるのですが、ハッチング(網掛け)を用いたデザインも、地図に限らず白黒印刷に対応するためによく扱われる方策かと思います。
 米Esriのブログ(ArcGIS Blog)で、ArcGIS Pro でハッチングシンボルを使用する手順と必要なファイルが配布されていたので、日本語で紹介しておこうと思います。

(この記事は、米Esri のArcGIS Blog の記事「Hatched fills and how to sneak them into ArcGIS Online」(2021年9月14日)の内容をもとに作成したものです)

大まかな手順は以下の通り。

  1. Esriのブログ記事から、ハッチングシンボル用のスタイルファイル(HatchedFills.stylx)をダウンロードする

  2. ArcGIS Proにスタイルファイル(HatchedFills.stylx)をインポートする

  3. ポリゴンデータのシンボル設定で、取り込んだスタイルからハッチングパターンを選択する

 以下、日本語環境での操作手順の解説です。なお環境はArcGIS Pro 2.7を使用しています。

1.Esriのブログ記事から、ハッチングシンボル用のスタイルファイル 
 (HatchedFills.stylx)をダウンロードする

 ブログ記事内にもリンクがありますが、ダウンロードページはこちらです。アクセスしたら右上の「ダウンロード」をクリックすると、スタイルファイルがダウンロードされます。ダウンロードページに英語で色々書いてありますが、収録されているスタイルの一覧や設定方法、その他備考などの記載です。ブラウザの自動翻訳でもそれなりに意味の通った日本語になると思うので、よければ読んでみるといいと思います。

利用規約の「Please use these patterns with reckless abandon.」がハイセンス


2.ArcGIS Proにスタイルファイル(HatchedFills.stylx)をインポートする
[カタログ]ビューからスタイルファイルをインポートします。
[カタログ]ビューは[表示]メニュー→[カタログビュー]をクリックすると表示されます。
次に、[カタログ]ビュー上で[スタイル]をダブルクリックして、[スタイル]カテゴリを開きます。

ArcCatalogは使いこなせないビギナーだった

先程ダウンロードしたHatchedFills.stylxを[カタログ]ビューにドラッグ&ドロップします。(ブログ記事では右クリック→追加→スタイルの追加という手順が紹介されてるけど多分一緒)


3.ポリゴンデータのシンボル設定で、取り込んだスタイルからハッチングパターンを選択する

 前回の記事でも触れた世界銀行の国境線データに、大陸や地域の分類情報が入っていたのでそのまま使ってみます。まずは、何も考えずにデフォルトで「個別値分類」した画面がこちら

PCで表示したりカラー印刷するならこれでも十分わかりやすい

 シンボルを設定したいレイヤーを選択して、[フィーチャレイヤー]グループの[表示設定]タブから[シンボル]→[個別値]をクリックすると、設定ダイアログが開きます。

左上から順に操作すると右側のダイアログが開く

 シンボル設定ダイアログで、設定済みのシンボルアイコンをクリックして[ポリゴン シンボルの書式設定]へ移動すると、先程取り込んだハッチングシンボルが表示されるので、任意のシンボルをクリックします。

下側半分は黒背景で使えるパターンらしい
アフリカの塗りつぶしがハッチングに変わった


もとのポリゴンが別の図形なのに、隣接する図形同士でハッチングのパターンがきちんと連続してくれてるあたりが親切だなと思う

ということですべてのシンボルを設定した画面がこちら。

特に学校現場など、白黒で大量に印刷する必要がある場面は多々あると思うので、役に立つテクニックかな、と思います。

ちなみに、紹介したブログでは、ハッチングはこの他にも
・バリアフリーデザイン
・2変数の表現
に使えるのでは、と提案されてます。色分けとハッチングを合わせて使うと

たしかに見やすいかな・・・よくわかりませんが


 この記事では割愛しますが、紹介したブログで配布されているスタイルは、ArcGIS Onlineへアップロードしてもそのまま使えるように、ハッチングパターンの解像度に工夫を凝らしているとのこと。記事の後半ではそのあたりについても解説されているので、興味がある方はご覧ください。

 最後に宣伝ですが、この記事で紹介しているArcGIS Proは、小中高向けに無償プログラムが提供されています。高校で「地理総合」の必修化が始まるこのタイミングで必要な方も多いかと思いますのでよければぜひ。詳細はこちら。

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