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snow dream #シロクマ文芸部

雪化粧で病院の中庭は覆われていた。
「まだ降ってるわね」
病室の窓を開け、外を見ていたママがそう言って振り向いたが、私を見て顔が曇った。
「……どうしたの? リコ」
私は黙って首を振った。

明日は手術の日。
産まれたときから病弱で、入退院を繰り返している私に、付き添っているのはいつもママだった。

私にパパはいない。
パパは空からリコのことを見てくれてる、なんてママは言ってるけど、手術のときぐらい来てくれてもいいのに、と私は思う。
「寒いから窓閉めて」
私はそうママに言い、ベッドに寝転んだ。

その夜、私は夢を見た。
空にいるパパがたくさんの雪を降らしていた。
「そんなに降らしてどうするの?」
「雪がたくさん降って、空まで積もれば、パパもリコのところに行けるんだ」
「空まで積もらせるなんて、無理に決まってるじゃない」
「そうか…困ったなぁ」

私は目を覚ました。まだ夜のようだ。
ベッドから起き上がり、窓を開ける。
雪はやんでいて、その代わりに、空にはいっぱいの星が見えていた。

星ってこんなにたくさん見えるんだ。
私はびっくりして、星がいくつあるか数え始めた。
一つ、二つ……十…いや、二十個はある。
星を指でつなげてみると、なんだか文字みたいになる。
最初の文字は「フ」、次は「ア」…、全部つなげると六つのカタカナになった。

ファイト リコ

なんだか楽しい気分になってきた。
「ありがとう。パパ」

小牧幸助さんの企画に参加させていただきました。

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