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サワディー佐賀メンバーが挑戦!日本人町・シラチャで開いた和風カフェを応援します!

 2023年8月のタイ渡航では、初めて、「シラチャ」という町を訪問しました。外務省海外在留邦人数統計によると、2022年10月現在で6230人が在住。タイではバンコクの56,232人に次ぐ日本人が多い街で、世界の都市別在留邦人数では、33位(バンコクは世界2位)に位置しています。そのため、日本人向けの商売も多く、日本人向けの携帯電話サービスや飲食店、カラオケやスナックなどの夜の店も多くありました。

日本人向けの店が並ぶシラチャの町

 この街を訪ねたのは、私が代表を務めるサワディー佐賀のメンバーで、元佐賀大留学生のトン君が、和風カフェを開いたという話を聞きつけたからでした。ぜひトン君のカフェ「Cafenic」を応援したいと思います!


佐賀大好き! 2度の留学を経て

 トン君は、サワディー佐賀が任意団体として活動を始めた2018年ごろに佐賀大に留学。積極的に活動に参加してくれ、タイフェスティバルや、コミュニティFMでのタイ語番組(現在は終了)のMC、留学生仲間が開いたタイ料理カフェ(現在は残念ながら閉店)のサポート、一緒に東京のタイフェスティバルの視察など、佐賀とタイを繋ぐ多くの活動に参加してくれました。「佐賀が本当に好きです!」と言ってくれ、留学が終わってトン君が帰国したときは、「あぁ、いろいろ活動が滞りそうだなー」と思っていました。

トン君(右)をはじめ、(左から)ピート君、ピーム君は、サワディー佐賀黎明期の活動を支えてくれました=2018年のラジオ番組収録で

 しかし、トン君の「佐賀好き」は本物でした。また別の留学プログラムを勝ち取り、佐賀へ二度目の留学を果たします。

 もちろん、2回目はさらにパワーアップした活動をしてくれたトン君。特に、佐賀県観光連盟がつくる、タイ語で佐賀の観光情報を発信するFcebookページ、Trip to Sagaの取材は、トン君がいなければいまだに続いていないほど、多くの投稿をしてくれました。

Trip to Sagaのページ
留学生仲間のポーさん(左)と佐賀県小城市の古民家カフェを取材するトン君=2020年

「いつか佐賀とタイを繋ぐビジネスをしたい」

 トン君とは、Trip to Sagaの取材やタイ料理教室、タイフェスティバルinSAGAなど、本当に多くのイベントを共にしました。中でも印象深いのは、2020年10月に開かれたタイフェスティバルでした。

 コロナ1年目のこの年は、大人数が集まるタイフェスティバルは、全国の多くの会場で中止せざるを得ませんでした。しかし、佐賀は感染症対策に気を付けながら開催。その結果、全国で唯一、開催できたタイフェスティバルになりました。東京から来場したタイ大使から「日本で唯一、佐賀だけがタイを忘れずにいてくれた!」と絶賛してくれました。

2020年のタイフェスティバルinSAGA。トン君(後列右端)もサワディー佐賀代表で、オープニングセレモニーに参加してくれた=2020年10月

 その打ち上げの帰り道。2人で歩いていた際、急に歩みを止めたトン君から、こんな言葉をもらいました。

「山路さんがほかの国との良い関係を築こうと仕事をしているように、私も卒業したら、佐賀をサポートするような仕事をしたいと思いました」

 開催さえ危ぶまれた中、この年のサワディー佐賀メンバーは、カオマンガイのタレをうまく作ったり、一生懸命にカオマンガイの鶏を煮込み続けたり、上手にデザートを作ったり、タイ語を来場者に教えたり・・・。この姿に感動し、「外国人が活躍できる場をつくりたい!」という、今の理念のきっかけになったイベントとなりました。そんな中、とどめのトン君の言葉は、私の涙腺をさらに緩めました。

コロナ禍の2020年のタイフェスティバルをやり切ったサワディー佐賀メンバーたち

チョンブリー県で唯一の抹茶ドリンクも!

 そんなトン君が、留学終了後、「カフェを開きました!」と報告をもらいました。しかも、日本人の多いシラチャで、しかも和風カフェだと! 「これは一度行かなければ!」と思い、タイ渡航のタイミングを合わせて、カフェを訪れました。

トン君が経営する「Cafenic」=2023年8月

 シラチャでは前述のように、日本人駐在員やその家族が多く住んでいます。Cafenicでは、チョンブリー県で唯一という、抹茶を使ったラテなどのメニューのほか、コロンビアやエチオピアなどのコーヒーメニューを、ほかの店でバリスタとして活躍してきたメンバーが淹れてくれます。「カフェ好きのタイではレッドオーシャン(競争が激化している状態)」(トン君)というカフェ経営ですが、差別化はできています!

話を和を意識した内装の店内。枯山水のような装飾や、畳の部屋もある。
抹茶メニューも、茶葉や味の違いを選ぶことができる=2023年8月

 私も抹茶ラテをいただきましたが、クオリティは日本で飲むものと遜色なし! 忖度なしで、日本を感じるメニューでした。今後、コッペパンなどの食べ物メニューの準備ができれば、本格的に日本人駐在員向けの広報を始めるそうです。

睡眠障害のためのクリニックも

 しかし、Cafenicはただのカフェではありません。実は、睡眠障害改善のクリニックも併設しているのです。

枕やアロマなど、快眠グッズを販売する店内=2023年8月
問診を受けた後、医師資格を持つスタッフの診断を受けることもできるという=2023年8月

 「Cafenic」という名前については、「Cafe」+「Clinic(診療所)」の造語。長引くコロナ禍もあり、孤独を感じるなどして、「10人に8人がメンタルヘルスを抱えている」とも言われるタイ。和風カフェの食べ物や飲み物で癒され、さらにはゆっくり眠れる環境もつくる、Cafenic、本当におススメです!

地元民しか行かないパタヤ近くのシーフードレストランで=2023年8月

 今後、駐在の日本人向けに和風カフェを提供するほか、日本に関心のあるタイ人向けに、日本文化を紹介するワークショップなどを開いていくそうです。佐賀の観光も紹介し、「日本に関心のあるタイ人に、佐賀の良さを伝えたい」というトン君。「佐賀のアンテナショップを目指す」というトン社長の活動を、絶賛応援します!!!

シラチャへ出張、駐在の際は、ぜひCafenicへ

 メニューや日本風の演出など、本当に良いカフェでした。そして、なんと言っても、店内で飼う猫がかわいい! タイ語で、「きなこちゃん」「しいたけ君」という名前がついているそうです。

人懐っこい看板猫の「きなこちゃん」「しいたけ君」=2023年8月
畳の部屋でくつろぐ2匹=2023年8月
本当に人を怖がらず、膝に乗ってきた=2023年8月

 場所は、イオンシラチャの裏手。

 基本的に7:00~20:00(日曜日のみ8:00オープン)。価格も70バーツ(約300円)からと手ごろです。

Cafenicのメニュー=2023年8月現在

 シラチャに駐在される皆さん、出張でシラチャを訪れる皆さん、おススメですよ!

山路健造(やまじ・けんぞう)
1984年、大分市出身。立命館アジア太平洋大学卒業。西日本新聞社で7年間、記者職として九州の国際交流、国際協力、多文化共生の現場などを取材。新聞社を退職し、JICA青年海外協力隊でフィリピンへ派遣。自らも海外で「外国人」を経験した経験から多文化共生に関心を持つ。
帰国後、認定NPO法人地球市民の会入職し、奨学金事業を担当したほか、国内の外国人支援のための「地球市民共生事業」を立ち上げた。2018年1月にタイ人グループ「サワディー佐賀」を設立し、代表に。タイをキーワードにしたまちづくりや多言語の災害情報発信が評価され、2021年1月、総務省ふるさとづくり大賞(団体表彰)受賞した。
22年2月に始まったウクライナ侵攻では、佐賀県の避難民支援の官民連携組織「SAGA Ukeire Network~ウクライナひまわりプロジェクト~」で事務局を担当。
2023年6月より、地球市民の会を退職。同8月より、個人事業「人とヒトの幸せ開発研究所」を立ち上げ、多文化共生やNPOマネジメントサポートなどに携わる。

サポートをお願いします! ウクライナ避難民の定住化や、終戦後に向けた復興、外国人材受け入れの生活環境整備など、基金として活用させていただきます。