見出し画像

数学科の人間から見たインターステラーについて

今日は,大好きなインターステラーの映画の考察をしようと思います.
超長くて大作です.良ければいろいろな人に読んでほしいです.
実は,この映画の題材が私の数学の研究と少し近しいものがあるので(だいぶおこがましい),初めにそのことについて述べたのちに「数学」から見た「次元」についてと映画の感想を述べたいと思います.




1.数学における次元とは何か

そもそも次元ってどういうことを言うのでしょうか.
直感的に言うとするならば,
1次元なら直線
2次元ならx軸,y軸で作られた直交座標
3次元ならx,y,z軸で作られた空間座標
を思い描けると思います.
そのため,例えば円を書きたいなら(x,y)という2つの点からなる座標が必要だし,球を書きたいなら(x,y,z)という3つの点からなる座標が必要です.つまり,対象にしたい図形が必要としている点の最小の値が次元の数と一致する,というのが大雑把な次元の認識です.(教授に言ったら諸々突っ込まれそうですが)
じゃあ,4次元,5次元,そしてn次元といわれる高次元の物体は一体どのような姿かたちをしているのでしょうか.もちろん,4次元以上は目で見ることができないため,対象の図形を微分や積分,様々な関数や写像を使って調べるのが多様体論であり,私はその多様体の研究をしています.

だだ,幾何的に考えなくとも数学的に4次元,5次元というのはものすごく意味があり,現在のプログラミングやCGでの世界では応用されているので,そこについてもっと知りたいなーと思っています.

2.インターステラーの考察

1で述べたように,数学的に考えると次元というのは何次元でも考えることができますが,もちろん私たちが住んでいるこの世界は3次元までしかとらえることができません.

しかし映画の主人公クーパーは3次元空間ではなく,物理学の中で特異点と呼ばれているブラックホールに入り,時間軸を交えた4次元立方体や5次元立方体の空間に入り込んでしまいました.数学の中で,特異点とは「普通定義できることが定義できない場所」を表し,特に代数多様体では,一般に定義される接空間が定義されない場所を指します.
私は物理は少ししかわからないので,ブラックホールの持っている特異な条件や時間軸のゆがみ,相対性理論などについてここで詳しく述べることはできませんが,映画の途中で出てきたブラックホールの4次元の説明は,おそらくトーラスを4次元空間内に作るときの説明に似ているような気がします.

さてさて,この映画のすごいところは,私たちが普段「当たり前だ」と思っている常識は「当たり前じゃない」というのを科学的に立証しているところだと思います.なぜクーパーはブラックホールに落ちたのに,無事に生きているのでしょうか.ほかの星では1時間が7年になるという計算も,様々な難しい惑星の話も,おそらくきちんと科学的に証明されていることなのだと思います.
そしてとにかくいつも鳥肌が立つのは,最後のクーパーとマーフィーが時間軸を超えて,未来を超えて過去の自分にメッセージを伝えたこと,そしてそのメッセージをマーフィーはしっかり受け取り,つないでいったところです.結局,様々な説がありますがクーパーが助かったのは,愛が次元を超えたから,ではないかと思います.
アメリアが愛について語るシーンも印象的です.「愛は私たちが理解できない,感知できない何か出会って時空を超えるものだと思う」と.

つまり,この映画の一番大切なメッセージは「時空を超える愛」なのではないかと思うのです.
時間軸を入れた4次元からもう1次元増やした5次元の世界で重要な座標軸は「愛」なのではないか,という考察.いかがでしょう.
やっぱりそう思うと,自分でも「愛」とは何かを考えたくなります.

3.感想

この映画をみると,いかに科学に基づいて世界が作られているのかが見えてとても面白いと思うし,高次元の空間について研究できている自分が誇らしくなります.でも物理については全然わからないので改めて勉強したいなという気持ちにもなったり.
数学を勉強していると,少なくとも多様体論のなかに出てくる事象の多くはきれいに証明できるし,そのきれいさや証明の美しさにほれぼれすることがあります.だけど,数学の世界から目を離して現実世界に目を向けてみると,何一つきれいに証明できることはないし,嫌なニュースばかりが目にはいり,うんざりする気持ちになったり.
そんな中で科学的に証明することで世界を把握している人たちは,全く使えない常識を捨てて,新しく自分たちで物事を定義し,新たな視線で問題に取り組む姿勢に長けているように思います.私自身,そういう目をもって世の中を見ていたいと思うし,数学の力で培った問題処理能力は使っていきたいと思います.

4.愛について

という感想を踏まえて,世の中のすべてはやはり愛なのだと思う.
インターステラーをみると,改めてその考えが確信に変わります.
愛は時空を超える.それが一体どういう意味なのか,まだ完全に理解できないけれど,愛が時間軸を超えるのならば,おそらくそれは考えて理解するものではなく,己の心の中で自然と芽生える感情のことをいうのだと思います.

ちなみに.あー,これって愛なのかなー,と思うことが増えました.
実は,インターステラーの話をできる,次元の話をできる人に出会ってしまいました.彼が考えていること,私が考えていることかと思った.
またこの出会いについてもnoteにかけたらよいなと思っています.

以上,ここまで読んでくださった方いたらぜひコメントください.
ほんっとうにうれしいです.
いいね,フォロー,励みになります.

ぜひこれからも更新楽しみにしていただけると嬉しいです!!




この記事が参加している募集

読書感想文

映画感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?