マガジンのカバー画像

3
詩をまとめています。 ・(3) 夏は滑走路のごとく ・(2)苺狩りの季節 ・(1) 夜、ミミズクが鳴く
運営しているクリエイター

記事一覧

詩(3) 夏は滑走路のごとく

詩(3) 夏は滑走路のごとく

夏。
まるで日光で熱せられたアスファルトのごとく、熱を帯びる。

それは、
かき氷をガリガリ。
冷麦をスルスル。
すいかをシャリシャリ。

それは、
夏草の香り。
汗の匂い。
汗と整髪料が混ざった香り。

それは、
アブラゼミ。
冷房の機械音。
アブラゼミの最期の一音をかき消す音。

それは、
浴衣。
生足にサンダル。
浴衣が擦れる感触。

それは、
花火。
一瞬見える鎖骨を汗がなぞっていく。

もっとみる
詩(2) 苺狩りの季節

詩(2) 苺狩りの季節

ねぇ、と声掛けられて鮮やかな苺狩り。

季節は春。苺はどんどん実っていく。甘酸っぱい香りと共に。

ねぇ、と声掛けられて鮮やかな苺狩り。

季節は再び春。これから結婚する。という、間柄になったばかり。

ねぇ、と声掛けられて鮮やかな苺狩り。

季節は初夏。苺が実る。鮮やかな妻と共に。

ねぇねぇ、と気付かされて鮮やかな苺狩り。

季節は再び初夏。苺が実る。鮮やかな子どもと共に。

ねぇ、とハッとし

もっとみる
詩(1) 夜、ミミズクが鳴く

詩(1) 夜、ミミズクが鳴く

夜、ミミズクが鳴く

対人関係は恭しく

上司との関係は疎ましく

週末が楽しみで仕方なく

夜、ミミズクがせわしなく鳴くように私は明日も働く

夜は神経が過敏になり

時計の音が心に響く

自分の心を広く

明日の私は自分らしく

夜、ミミズクがせわしなく鳴く

せわしなく鳴いているのに、なぜか静寂