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ショートショート#7 女王蜂の蜂集め

女王蜂が君臨する、とある蜂の巣。

働き蜂たちがせっせと蜂の子にエサを与えている。

「ありゃあ、大きな蜂の巣になった。駆除しないと。」

...ちょっと待ってくれ、我々が何かしただろうか。
人間に危害は及ぼしていない。被害者ゼロだ。
純粋に子作りと子育てに勤しんでいるだけじゃないか。

まさしく人間のように。

先日、カラスが商店街の天井からライトをつついて落とす、いたずらをしていた。
通行人に怪我人はいなかったけども、危なかった。
我々、蜂はあくまで、敵意を持って攻撃してくる者にしか反撃はしない。
だから待ってくれ。
その敵意が働き蜂に伝わってしまうと...。

働き蜂たちは一斉に蜂起することにした。
ともかく駆除業者と戦おう。
倒す!倒す!倒す!
戦おう!戦おう!戦おう!

しかしすぐに、大きなビニール袋に包まれて、巨大なスプレーを噴射されて、あえなく御用となった。
「女王様だけはお逃げください」と隙間から逃がされた。
働き蜂、蜂の子ともども一網打尽にされてしまった。

テレビ中継でアイドルが「これ食べるんですかぁ」と猫撫で声で言っているのを商店街のテレビで女王蜂は若い頃に見たことがある。
こっちだって貴様らに食わせるために蜂の子を育てたのではない、女王蜂はそう思った。
ましてや駆除されるなど…。畜生!
いつかこの世界の女王蜂になってやる、密かな覚悟を決め、まずは働き蜂の募集要項を作った。

完全週休2日、交代制のため残業ゼロ、もし残業した場合の超過勤務手当完備、社会保険など諸条件も。
エサをより多くとってきた者には出来高でボーナスも準備した。
人間が働きたくなるようなホワイトな条件で整えた。

しかし残念ながら、募集要項を周知する場所がないのだった。

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