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あなたの家に泊まった。
おやすみを言って抱き合って寝て、目が覚めると目の前にあなたの顔がある。
寝ぼけた笑顔、ちょっと乾いたキス。
あなたの肌の匂いを深く吸って、安心してまた目をつぶった。

おやすみとおはようがつながったみたいで、とても嬉しかった。

今はまた、ただの日常。
目が覚めると、スマホの中にあなたを探す。

着た服も着なかった服も、あなたの家の匂いがするから、名残惜しかったけど全部洗った。
もうあなたの匂いはしない。

ほとんど消えたキスマーク。

またあんな朝がこないかなって、別の人の寝顔を見ながら思ってる。

もしかしたらいつの日か、この朝を懐かしく思う日もくるのかもしれないけれど。
ひとりの朝は苦手だから。

でも、そんなひとりの朝に、わたしはあなたを残してきた。
あなたがどんな気持ちでこの朝を迎えているかと思うと、ひとりじゃない朝も、やっぱり苦手。

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