Ryo Kanda

Kezzardrixという名前で活動しています。プログラミングを色々ごにょって映像やら…

Ryo Kanda

Kezzardrixという名前で活動しています。プログラミングを色々ごにょって映像やら音やら人の手伝いやら飲んだりしています。

最近の記事

坂本龍一×高谷史郎「Time」を見て

新国立劇場にて「Time」を見てきた。世界的な音楽家の坂本龍一氏と、日本のパフォーミングアーツの大家であるダムタイプのメンバー、高谷史郎氏のコラボ作品。この二人は数多くのインスタレーションや映像作品でもコラボしているが、坂本龍一氏の死去により、恐らくこれが最後のシアターピースになる。 舞台の中央には水面があり、その背後には巨大なLEDウォールがある。高谷さんの作品は、面白い舞台上の仕掛けがいつも効果的に使われていて、それを見るのも楽しみの一つである。 *なんとLEDウォー

    • どうせAIほどちゃんとは出来ない

      何かを作るにしろ、まとめるにしろ、明らかにもう人間よりAIの方が優秀な場面がたくさんある。正確な正解があるものに対して、ちゃんとするなら、どんどんAIを使っていった方が良い。 人間に出来て、AIにできないことの一つに、飛躍した思考とか会話があると思う。実はAIは次に紡ぐ言葉、前の言葉との距離でしか見ていない。比較的近い距離にある言葉を選んで会話する。たまに人間っぽく見えるように、ランダムに遠い話題を拾ってくることもあるみたいだけど。 しかし、それは人間の集中力の無さや、思

      • 激辛などについて

        おじさんになってから激辛を食うようになった。若い頃は辛い物は苦手だった。辛い物をわざわざ食うやつはバカだと思っていた。何が楽しくて健康に悪い物を食うのか理解出来なかった。 大学院に入ってからタバコを吸うようになった。家族が誰も吸わなかったから、タバコは日常にあるものでは無かった。でも中学には先生達の喫煙所が通路にあり、いつもモクモクしていた。今は学校にそういう場所はないだろうだけど。高校になれば友達が吸うようになった。あの頃は駅のホームでも吸えたから、通学中に制服のまま一服

        • 日記 : 恵比寿映像祭

          恵比寿映像祭に行く。恵比寿映像祭は何となく毎年行っているアートフェスで、その名の通り映像が主たる展示なのだが、会場である写真美術館所蔵の写真同時に多く展示されており、キュレーションがセンス良いな、と思う。センス良いな、と思うものを眺めるのは楽しいし、普段は写真の展示を見に行かないから、良い感じに日常のノイズになって良い。 写真美術館は割と恵比寿駅から直結みたいな導線でたどり着けるのだけど、何万回ここに来ても写真美術館へ向かう通路を選び損ねる、というジンクスがある。毎回改札を

        坂本龍一×高谷史郎「Time」を見て

          第3回:映像作るのしんどいから作り方を考える

          映像の作り方を考えている間に、映像を作る前段階で物語を設定するのが良いのではないか、という話になった。 しかし、物語なんか作ったことがないよ、という人が物語を作ると、とても恥ずかしい個人史的な体験になりがちかもしれないし、1行も書けないかもしれない。どうしよう。 物語にはテンプレート構造がいくつかあることは既知である。そのテンプレートにうまくハマったものを書き上げ、そのある一場面を切り出して映像を構成していけば良いのだ、ということをいくら知識で理解していても、何も手は動か

          第3回:映像作るのしんどいから作り方を考える

          第二回 : 映像作るのマジしんどいから作り方を考える

          前回で、物語っぽいものを設計してから作り出すと映像制作につまづかなくて良くなるんじゃね?という話をした。 この物語っぽいものを設計、というのは2つ意味があって、一つは文字通り時間軸に沿って何かが展開したり発展したりするような仕掛けで、これはジェネ系でも良くやってる。つまり1点のパーティクルとかから初めて、途中から数が増えるとか、面が貼られるとか、そういう展開の作り方だ。シンプルな形が複雑になっていく。 とはいえ難しいのは、これのテンションを落とすことだ。盛りに盛っていくの

          第二回 : 映像作るのマジしんどいから作り方を考える

          映像作るのマジしんどいから作り方を考える

          狭義の視覚表現で飯を食ってるわけだけど、いつもいつも何か一発目を考えることに苦労する。一発目というのは最初のピクセルであったり、コードであったり、アセットだったりする。こうやって書くと一発目が置ければ、あとは余裕で即興で流れていくものだと思いがちなんだけど、それもうまく行く時と行かない時がある。 僕は昔からストーリー性のあるVJをするね、と言われることがたまにあった。ライブにおける音楽は、ミュージシャンがリアルタイムで作っている音楽の展開とテンションの連なりで、そこにはメッ

          映像作るのマジしんどいから作り方を考える

          渋谷の夜のこと

          高校時代の友人が東京にいるやつで飲もうぜ関西のやつも出張で来るから、とLINEしてくる。渋谷。どうしてもバーベキューがしたいらしい。10年ぶりくらいだ。 雨の中、室内バーベキューの店に行く。30分ほど遅れて着く。 異常に明るい店内は大学生のバイトだらけだ。テーブルに山盛りの焼きそばが置かれている。関西から来た友人が家庭用ホットプレートで成型肉と鳥と豚を焼いている。中年のおっさんが集まる店としては、明らかにミスっている。笑う。遅れて2人来る。5人になる。 バーベキューがし

          渋谷の夜のこと

          補間についての試論

          様々なモーショングラフィックスを見ていると、全てのモーションが滑らかに繋がっていないことに気づく。 ある時点まではリニアに動いていたものが、突然ワープしたり、中心から出ているように見える波紋が、スケール0の本当の中心からは出ていなかったりする。 人間の脳は優秀なので、上記のように実際には描画されていないフレーム、時間を補間して知覚することが可能だ。モーションのタメやツメ、オーディオとの関係を考えると、こうやって意図的に「補間を省略」して描画する方がキレのある映像になること

          補間についての試論

          天津麺からは孤独の味がする

          天津麺が好きな人と人生で出会ったことがない。天津「飯」じゃなくて天津「麺」だ。食べたことが無い人も多いだろう。 味やビジュアルは今あなたが想像している通りだ。天津飯の餡と卵がラーメンにドカッと乗っている、それが天津麺だ。 --- 同級生が真面目に就職する中、頭がおかしかった僕は大学院に進んだ。キャンパスは山奥にあった。実家から2時間。都市開発に失敗した山に立つキャンパス。駅の周りに飯屋は無い。 だから、まともな飯を食いたい、と思ったらかなり早く帰らなければならない。1

          天津麺からは孤独の味がする

          暇つぶしは疲れる

          僕達は常に暇を潰そうとしている。暇は悪だ。空いた時間には何か生産的なことをやらなければならない。当然だ。そうしないと自分が古くなってしまう。古くなると死んでしまう。そういう仕事を選んだ。 映画を見ようがネットを見ようが、どこかで仕事の参考になりそうなもの、役に立ちそうなものを無意識で探す。ランニング中に見るNetflixの動画でさえ、何か自分にとって役に立ちそうなもの、という基準で選ぶ。純粋な暇つぶしや遊びとの距離は年々遠くなる。 尊敬するあの人とかあの人とかは、こういう

          暇つぶしは疲れる

          日本沈没2020

          Netflixで公開された「日本沈没2020」が奇跡の怪作だったので居ても立っても居られない。微妙にネタバレします。 --- 原作は有名な「日本沈没」で、CMでは天災を通して家族愛を描く、とうたっているが、それは全て建前である。言うなれば、本当は音色や音響をメインに聴かせたいんだけど、それだとマニアック過ぎるからメロディやリズムもちゃんとした上で戦うエクスペリメンタル音楽やノイズミュージックみたいなもんで、映画のプロットはあるのだが、それらは全てエクスキューズ、裏にもっと

          日本沈没2020

          LITEの配信ライブVJについて

          先日、LITEの配信ライブで一曲VJで参加しました。 メンバーが全員ステイホームで生セッションする&映像もステイホームのままリアルタイムでエフェクトをかける、というライブです。ここまで全員遠隔のまま音ハメに成功した配信ライブは無いと思います。 そもそもどうやって生演奏を可能にしているか、というのは武田さんのこちらの記事に詳しいです。 https://note.com/tkdnbyk/n/n13c1cb0e1fba シリーズとしてゲストを呼んで一曲くらい何かやりましょう

          LITEの配信ライブVJについて

          Stay Homeに何やってるか

          この2ヶ月、さて暇だし色々やるか、と思いつつ、そのうち仕事に使えそうなもの、という括りでコマゴマとやっている間に時間が過ぎていく。読書とか映画見るとかちょっと抜くことも思ったほど出来ず、結果として休日が無くなった。能率が下がっているなあと思いながらダラダラとUE4周りを広く浅く見て毎週が過ぎていく。 ツールとオペレーションの習得は、ほとんどの場合が本質ではない。ツールは無意識に使えるようになった後で、意味のあることが出来る様になる。前提の時間はツールが変わったら無駄になる。

          Stay Homeに何やってるか

          周期性について

          阪神大震災から25年、オカンが亡くなってから10年経った節目として1月17日が来たんだけど、両方のイベントに繋がりは無い。偶然である。 毎年この日が、と言うことにもどこまで本当に意味があるかはわからない。1年の周期で地球にまったく同じことが起きるわけではないし、閏年で調整されてもいるし、1年前の今日も10年前の今日も25年前の今日も、2020年の今日へのループでもコピーでも無い。そこに関係性を見出すのは人間が勝手にやっている。 成人式あたりまで、節目と呼ばれるイベントは世

          周期性について

          上海の魚料理

          昔から良く聴いていた音楽には、それを聴いた瞬間に当時の記憶を強制的に思い出させる力がある、という話をしたことがある。 面白いことにその記憶には、視覚や嗅覚、その当時考えていたことなど、様々な情報が含まれている。当時にタイムスリップするような感覚。 人間の脳みそは面白くて、例えば高校の時の○○な状況を思い出そう!と決めても、そんな詳細には思い出せない。検索ワードがわからずにググろうとする行為に似ていて、○○が何なのかをまず思いつかない。懐かしい音楽には、ググり方も忘れた思い

          上海の魚料理