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夏が終わるまでに見たい映画を書こう

夏が!!!!終わっちゃうよ!!!!

というわけで今日は個人的に推したい「夏っぽい映画」について書きます。書き終わってから気づいたのですが、私の好みのせいで、全体的に「つらい映画」が中心になります。みんなで上質な最悪の気持ちになろう。


『青の炎』 2003年、蜷川幸雄監督

17歳の男の子が完全犯罪に臨む話。

母と妹との3人で暮らす我が家を守るために、高校生の男の子が1人きりで、義父や、刑事と戦う様子を描いた映画。サスペンスでもあるけれど、いってみれば「古畑任三郎の犯人サイドが主人公の話」っていう感じで、見どころはトリックとかではなく、犯人が追い詰められていく過程の方。

ほんとは殺人に至らなくてもなんとかなる方法があったのかもしれないけど、そこで殺人という手段を選んでやり切ってしまう、そういう「若さの痛み」みたいなものがしみじみとやるせなくて好きなんですよね。なんだかなぁ……という気持ちで心を満たそう。

若き日の二宮和也と松浦亜弥も見れるぞ。好きな映画なのでインタビューとかも読んだんですけど、監督がアイドルのことを「大衆の欲望が集約されてるから時代性が映る」って表現しててなんかわかるなぁ、って思いました。あの頃の時代の若者の風情なんだろうなぁ。今の若者だったらもうちょっと物語の輪郭が違うのかもしれない。

映像、カット全てが美しくて、夏の光が綺麗。高校生の夏ほど綺麗で悲しいものもないですね。



『ブルー・マインド』 2017年 リサ・ブリュールマン監督


15歳の女の子が人魚になる話。

家庭の事情や思春期ならではの感じで少し情緒が不安定な女の子が、不良グループに居場所を見つけたり友達を見つけたり性的なことを覚えたり、そういう変化と、ヒトが人魚になるっていう変態を重ね合わせて描いた作品。

身体が変化してきた!気持ち悪い!大人は誰もわかってくれない!みたいな共感できるテーマを、拡張してグロテスクな形で可視化している感じなので、そういうどうしようもなさみたいなものが胸に来て好きです。悪い遊びを教えてくれた子が、実際最終的には主人公のことを一番分かってくれる子になるところも良いですね。悪いことはしちゃいけないし状況を悪くするけれど、悪いことに逃げなきゃ生きていけない子もいて、別にそれに関しては断罪されないところ。

不良たちがみんなで夜にはしゃいでるシーンとかの、あのダメ~な湿度の高さや熱気が印象的なので、やっぱり冬にみるよりはうだる夏の夜に見た方がいいと思います。ってかヨーロッパの不良ってあんな感じなん?

一応、ホラー映画という分類のはずなんですが、個人的には恐怖の感じはほぼなかったです。法的にアレなシーンと性的なシーンはそこそこあるので苦手な人はご注意ください。


『怒り』 2016年、李相日監督


好きな人が殺人犯かもしれない話。

凄惨な殺人事件が起きて、指名手配されている犯人のモンタージュ写真にそっくりな男が3人いて、それぞれの周囲の人々が疑ったり、信じたり、信じきれなかったりする話。もちろん犯人が3人同時に存在するわけがないので、疑われてるけど全然犯人じゃない人がいる。

映画館で一回見て、もう一回見たいかっていったらどうだろうっていうレベルで最悪な気持ちになるんだけど(それを勧めるの?)すごく良い。3人がそれぞれみんなすご~く怪しいんだよね。だから本当の犯人は誰なんだ?という引きでも楽しめるし、それぞれの疑いたくない、でもだったらどうしよう、みたいな部分も説得力を感じられる。人間そんなに強くないですよね。

名優さん揃いなんですけど、個人的にはわりと芯があるというか凛としてる役どころの印象があった宮崎あおいさんがマジでふわっふわの女の子をやってたのが俳優さんってすごいなぁって思いました。それとこれはイチオシポイントなんですが、妻夫木聡と綾野剛のカップルを君は見てみたくないか?よし、見ましょう。

心理的外傷を喚起する可能性がある描写があります。ご注意ください。


『パーマネント野ばら』 2010年、吉田大八監督

漁師町の女性たちと恋の話。

離婚して田舎に帰ってきた主人公と、その周りの女の子の日々を描いた話。みんなしたたかで、あけすけな下ネタは飛び交い、男はみんなろくでなし。でも女の子たちはそんなろくでなしに恋をせずにはいられない。

人々の恋の悲喜こもごもを描いた作品なんですけど、とりあえずネタバレは絶対に踏まずに見てもらいたい。こんなこと言いたかないけど!この作品には!隠されるべき「ネタ」部分があります!そこだけはよろしく!!

それぞれの恋模様がどうこう、という話じゃなくて、「恋」そのものについての話なんですよね。正直みんなバチクソ強くて、1人でも生きていける女たち、というか男がいなけりゃもうちょい苦労のない人生を送れているはずだと思うんだけど、それでも「どんな恋でもないよりまし」と誰かに恋をすることをやめない。おかしくてかなしい、愛すべき人たち。

田舎のさびれた港町の雰囲気、夏の海の風景が素敵なので、夏の夜に一人でお酒とか飲みながら見るのが良いと思います。私は予告でも出てる電話ボックスのシーンで毎回自分でもヒくぐらい泣いちゃうんだよな。

私は原作マンガのファンで、そっちを先に読んだので言わばネタバレを知った状態で見たんですけど、映画の方がその「ネタ」を効かせるような構成をしているので、個人的には映画を先に見て、それからマンガを読んでほしいなって気持ちがあります。削られた部分にもいっぱい良い場面とセリフがあるから……


勢いで思いついた分だけ書きました!次は「秋に見たい映画」(仮題)でお会いしましょう!


今日はここまで。ありがとうございました!


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