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ジヴェルニーの食卓/原田マハ

ジヴェルニーに移り住み、青空の下で庭の風景を描き続けたクロード・モネ。その傍には義理の娘、ブランシュがいた。身を持ち崩したパトロン一家を引き取り、制作を続けた彼の目には何が映っていたのか。(「ジヴェルニーの食卓」)
新しい美を求め、時代を切り拓いた芸術家の人生が色鮮やかに蘇る。マティス、ピカソ、ドガ、セザンヌら印象派たちの、葛藤と作品への真摯な姿を描いた四つの物語。


原田マハさんの作品は大好きで、印象派も大好きなので自然と読みたくなった一冊。

うつくしい墓 Interview avec Maria Magnolia
エトワール L’etoile
タンギー爺さん Le Pete Tanguy
ジヴェルニーの食卓 A table a Giverny

4つの短編集だけど、
一番のお気に入りは「エトワール」


踊れ 森の草原で 翼の生えた少女よ
踊るために生まれた子よ 愛せよ
ただ踊ることだけを
ーエドガー・ドガ


ドガが生前に発表した、唯一の彫刻作品『十四歳の小さな踊り子』の制作風景や時代背景の生々しくも、美しい。
情景があまりにも鮮明に浮かぶので今にも踊り出しそうな彫刻を目の当たりにしているかのようだった。

もう一つのおすすめは、「うつくしい墓」


もしもマティスが死んでしまったら、ほかの誰にも話せないことを胸にためこんでしまうことになる。
なんといっても、私には、マティスしかいないんだ。
ーパブロ・ピカソ

アンリ・マティスが、作品を描き始める様子がフィクションだとはわかりつつも、あまりにもその通りだったような気がした。

いつもその瞬間を待っている…
ひと目ぼれの瞬間を。
(中略)
そうして「ひと目ぼれ」を、カンヴァスにコンテで描き写し、構図を考え、じっくりと配色を決め、それからゆっくりと、慎重に、絵の具を載せていく。まるで、恋を育み、やがて変わらぬ愛情に塗り替えていくように。
だから、完成した絵は、先生と対象(オブジェ)との幸福な結婚のようなもの。

原田マハさんが紡ぎだす丁寧なひとつひとつの言葉たちが運んでくる、繊細で儚げな情景。
宝石がいくつも散りばめられたような作品でした。

otoki

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