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#3 【インタビュー】脱サラからサトウキビやカボチャの生産に取組む!~ 田口 彰平さん ~

 インタビュー記事を通じて、喜界島の農業をあなたにお届けしたい!!
 そんな想いで始めた、このnote。

 第3弾として、田口 彰平たぐち しょうへいさんのインタビューをお届けします!

< この記事は約9分で読むことができます >

 田口 彰平さん
 妻とお子さん3人の5人家族。
 金融機関などサラリーマン生活を経験した後、サトウキビ収穫のお手伝いをきっかけに農家へ転身。
 平成21年、サトウキビ栽培を中心としながら農家生活をスタート。
 平成29年、喜界町が支援体制を整えたタイミングでカボチャの栽培にも取組みはじめ、現在は約75,000m2(東京ドーム1.5個分)の農地で営農中。
 自身にとって『農業はリアルなゲーム🎮』。
 高校時代から始めたバスケットボールは、お子さんと共通の楽しみになっています。

聞き手:きょうへい、キース、ナオ
取材日:2023.11.5

ーー喜界島で最も栽培されているサトウキビ。そして生産量が年々増えつつあるカボチャを育てている農家さんと言えば…田口さん!ということで、本日、インタビューを受けてくださってありがとうございます!

(田口)
 恐縮です。

ーー早速ですが、農業を始めたきっかけを教えてください。

田口さんの倉庫内でインタビューさせてもらいました

(田口)
 サラリーマンを辞めて、喜界島から出身地の奄美大島(喜界島のお隣の島)へ帰る準備をしていた時に知人の黒糖農家さんから「黒糖作りのアルバイトしない?」と声をかけてもらいました。

 黒糖の原料になるサトウキビの収穫。機械ではなく、鎌を使った手刈りの作業をしていたら、それが楽しくて楽しくて!
 『収穫だけでなく最初の植付からできたら、もっと楽しいかも』と思ったことがきっかけです。

ーーその時は既に結婚されていたようですが、不安や反対はなかったんですか?

(田口)
 多忙なサラリーマン生活に疲れて『この仕事合わないなぁ・・・』と思っていたタイミングだったので、初めての農業体験で感じた『楽しい!』が不安より大きかったんでしょうね。

 喜界島出身の妻に「奄美大島へ帰らずに喜界島で農業を始めたい!」という想いを伝えた時は「え!?経験もなくて本当に農業できるの?まぁ、いいけど」と言ってくれました(笑)

ーーサトウキビ栽培からスタートしたようですが、『農業に必要な畑』はどのように探したんですか?

田口さんの倉庫周辺には喜界島の基幹作物、サトウキビ畑が広がっていました。

(田口)
 妻の実家が所有している畑のうち、他の農家さんへ貸し出していた畑を私が一部、借りる形で始めました。
 私自身が喜界島出身ではなく、人脈がない中で畑を借りることが難しくて。
 振り返ると妻が喜界島出身だったこと。それとサラリーマン時代に喜界島内を営業で回っていたことで、面識のある方がいたことが農家としてスタートを切れた大きな要因だったと思っています。

ーーサトウキビからカボチャへ手を広げたタイミングは、喜界町の支援体制が整ってきたタイミングと聞いています。
 育て方が全く違うカボチャの栽培を始めた理由は?

田口さんのピッカピカのカボチャ

(田口)
 知人のカボチャ農家のところへ行って遊ぶことが多くて、ある時、収穫時期のカボチャを貰って食べたらめちゃくちゃ美味しかったんです!
 それに子どもがカボチャ好きなので、サトウキビと併せてカボチャにも取組むことにしました。
 ちなみに、ジャガイモの代わりにカボチャを使ったカレー🍛は、私のおススメです!

ーーサトウキビを栽培しながら、新たにカボチャの栽培するには時間・人手が必要になりそうです。どのようにして、確保したのですか?

(田口)
 農業を始めたときはサトウキビだけ。少しずつ畑が増えてきた頃、サトウキビの収穫を鎌で手刈りしながら、ふと『作業時間と手間を収入と比べてみると割に合わないなぁ』と。
 『収穫や管理作業を機械化して、空いた時間・人手をカボチャの栽培に充てると結構、稼げるのでは?』と思ったのが始まりです。

 カボチャの栽培へ切り替えつつ、サトウキビは機械化して続けるという複合栽培ふくごうさいばいに取組んでいる理由は、言うなれば【味変あじへん】です。

 サトウキビだけ、カボチャだけ、と片方だけの栽培では年間を通じて同じ作業ばかりで飽きてしまいそうなので、サトウキビもカボチャも栽培することで作業がより楽しく感じます。

このカボチャ、まだまだ大きくなるそうです!大きくなったら、このカボチャがあなたの食卓に並んでいるかも!?

ーーサトウキビの収穫などを機械化したことで、カボチャ栽培に必要な労力も確保できるように感じつつも、約75,000m2(東京ドーム1.5個分)の農地面積があれば雇用もしているのでは?

(田口)
 1年を通じて雇用している人はいません。ほぼ1人でやれていますが、時期に合わせて雇用しています。

 具体的には、
① カボチャを収穫した後のヘタ取り作業は、親戚の方を雇用。
② サトウキビの植付は子どもにお小遣い制でお手伝い。
といった感じです。
 ただ、子どもたちには無理強いはしません。本人たちの意思で参加・不参加を決めてもらうことは、私なりに気を付けています。

ーー『時期』という話がありました。そして『味変あじへん』というワードもあり、田口さんの1年間のスケジュールが気になるので、ざっくり教えてもらえませんか?

(田口)
 ↑ 今の年間スケジュールはこんな感じです。
 私の場合、最も忙しいのは9月~11月と2月。
 サトウキビとカボチャの作業が重なる時期です。

 比較的、余裕を感じることができるのは7月。
 カボチャの収穫が終わって、サトウキビ畑を一時的に利用していない間に栽培しているゴマは生育途中。そして、サトウキビの除草管理の時期。
 南国、喜界島の日差しが強い時と雨で作業ができない時には、外出しないで家でゴロゴロ。愛猫3匹と一緒にゴロゴロ・・・(笑)

ーーちなみにゴロゴロ以外の休日の過ごし方というのは?

農機具を保管する倉庫に・・・

(田口)
 まずは家族と過ごす時間の中で、私と子どもの共通点の一つはバスケットボール。
 倉庫の一角にゴールを置いて勝負しています!倉庫内なので雨の日も楽しめるんですよ!

 次に釣り🐟
 ゴツゴツした岩場の磯釣りを楽しんでいます。
 マップ機能で気になるスポットを探しては、現地へ行ってみて「さあ、釣ってみよう!」
 磯開拓の釣りゲームのような感覚です(笑)

 最後に都会でも田舎でも楽しむことができる、ゲーム🎮
 ジャンルだとロールプレイング(RPGアールピージー)が好きで、実は、農業も同じ感覚で楽しんでいます。

 ゲームでは『モンスターハンター』、『ドラゴンクエスト』、『ファイナルファンタジー』、3つを同時進行で遊んでいます。

 農業では、サトウキビやカボチャを前に『さぁどこから進めようかなぁ!』という感じでシミュレーションをしています。

 まさに【農業はリアルなゲーム🎮】だと思って楽しんでいます。

 ーー最後に、田口さんが農業に取組んでいる中で、心がけていることを教えてもらえませんか?

(田口)
 個人的に心がけてることは、『忙しく見せないように、余裕を持つ』こと。

 そのために前準備はとても大事だと思っていて、日頃から試行錯誤しながら先を見据えて計画をしっかり立てています。
 自分の計画があればまずバタつかないし心の余裕もできる。

 あとは『手を抜く(手間を省く)』ところを見つけること。

 ただ、先に手を抜いちゃうと『後々、手間もコストもかかる割に、収穫時には結果が出ない』ことになります。

 私は『先に手間をかけて、後で楽をする』ことで次の『余裕』に繋げています。

 趣味のゲーム🎮を同時進行していることが、結果的に農業を計画的に進めていることに、つながっているかもしれません。

ーー昼食時間を超えてまでインタビューにお時間をいただき、ありがとうございました!!カボチャのカレー、今度、作ってみたいと思います♬

田口さん、最も忙しい時期にあたる11月に時間をいただき、ありがとうこざいました!

インタビューを終えた聞き手の感想

 【味変あじへん】、【農業はリアルなゲーム🎮】など、すごく農業を楽しんでいる様子が印象的なインタビューとなりました。
 また、喜界島を訪れたことがない方が、ゼロベースで農業をスタートさせるのは難しいように感じる部分もありました。

 田口さんが農業をはじめるきっかけになった「農業を経験して『楽しい!』と感じるのか!?」を試してみたい方は、町が運営している【農業版ハローワーク】
 喜界島につながりを広げながら農業を学びたい方には町の研修制度【農業後継者育成事業】を検討してもらいたいなぁ~と思いました!

2023.11.5

 次回、「喜界の農家に触れる機会」第4弾となるインタビューは、「#4 会社員メインで農業も!二足のわらじで生活されている方」をお届け予定です。

 最後までご覧いただき、ありがとうございました!!

 感謝を込めて、インタビュー後に作ってみたカボチャカレー🍛をどうぞ!(笑)

(※インタビュー記事作成の背景については、こちら ↓ です)

(※既に公開中のインタビュー記事は、こちら ↓ です)


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