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レゴ®︎シリアスプレイ®︎で他者を思いやる力を育てる

 21世紀の教育論は様々なものがあるが、世界的にも有名なお二人であるダニエル・ゴールマン(EQ:こころの知能指数の研究で有名)とピーター・センゲ(学習する組織の研究で有名)が共著で書かれた本の邦訳版と知って早速読んでみました。

 英題は「The Triple Focus」となっている。要は21世紀の教育には3つのフォーカス・ポイント(理解を深めるポイント)があるということだ。その3つとは、①自分②他者③外の世界である。これら3つにゴールマンの「EQ」とセンゲの「システム思考」を掛け合わせていくと、21世紀の教育の全体像が浮かび上がるという構成になっている。

 これまで私のレゴ®︎シリアスプレイ®︎メソッドに関する記事では「①自分」や「③外の世界」について、特に「システム思考」との関わりについて度々扱ってきた。ただ、「②他者」にフォーカスすることについては言及してこなかったので、以下、考えていることを書いてみたい。

 本書において「②他者」というフォーカスポイントが持つ意味は、相手を理解するということに留まらず、その先のレベルを強く意識している。それは、相手を思いやる気持ちであり、相手の抱える悩みを感じ、理解し自分ごとにして行動する、ということである。

 相手の気持ちを想像して表現することは具体的に掴みにくいがゆえに、形や色のあるブロックを使って作品として表現すること相性がいい。もちろん、それが的を射ているかどうかもあるが、まずは想像することが大事である。その作品には相手のことが表現されているが、実際には、その作品を作った自分がいるため、「自分自身の相手に対する気持ち」に気付きやすい

 そして、相手の抱える悩みや感情を表現すると、その悩みや感情がどうして生まれたのか、ということに考えを拡張できる。ここをどこまで豊かに想像できるかが大事になるが、ブロックで悩みや感情をすでに表現しているので、その作品を見つめながら、さらに原因を加えて表現することもできるだろう。

あの人の悩みの原因は何か?私にできることは何か?

 そして「私に何ができるか?」という部分では、ブロックで表現されているがゆえに、より具体的に相手の何に働きかけるのか?を指し示したり、ブロックで表現できるという点でもサポートできる。

「私にできること」を作品に加える形で表現できる

「相手はどんな人か」→「相手はどんな気持ちで何に悩んでいるのか」→「その原因は何か(もしかしたら相手ではなく私かも?)」→「その人のために何ができるのか」という一連の問いの流れにそって、少しずつ、ブロックで表現しながら語り、共に考える学びのワークは、これから社会に出ていく子供たちだけではなく、様々な現場で苦しむ多くの大人にも必要なことかもしれない。

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