「お菓子の家(Edible House)」には、未来がある。

「お菓子の家」と言えば、グリム童話「ヘンゼルとグレーテル※」に出てくる、魔女が住む家。子どもの、女子の、いやヘタをすれば、全人類にとっての"ドリームハウス"に違いない。

(※原文を読むとけっこう残酷なのだが、この際忘れよう。)

"お菓子の家"をググると、「家の形をしたお祝い用ケーキ」として、数多のメーカーやパティシエさんの手で商品化されているのが分かる。某有名レシピサイトでも、子どもと一緒に作って楽しむスイーツの題材として、沢山の投稿がある人気テーマだ……って、ちょっと待て。

みんな、それで良いのか?本当に満足なのか?

ホンモノの「お菓子の家」は諦めて良いのか?どうせ無理だろう、所詮は童話の中のことだからな、なんて、ものわかりの良いオトナになっちゃいないかい?

僕の場合で言うと、お菓子はそれほど好んで食べないのだけど(笑)、「食べること」や「食べ物」には尋常ならざる関心を持っていて、仕事にまでしている。そのせいか、壁や柱や家具が食べられるなんて、"ひどくオモシロいビジョン"に感じるのだ。

オモシロイなら、やらないわけにはいくまい。この際、

「Edible House(食べられる家)」

と名付けよう(笑)。

部材だと、
Edible Wall(食べられる壁)、Edible Pillar(食べられる柱)、Edible Ceiling(食べられる天井)、Edible Door(食べられるドア)、Edible Window(食べられる窓)、Edible Floor(食べられる床)とか。

家具だと、
Edible Chair(食べられる椅子)、Edible Table(食べられるテーブル)、Edible Bed(食べられるベッド)、Edible Sofa(食べられるソファ)、Edible Shelf(食べられる棚)とか。

究極は、
Edible Kitchen(食べられるキッチン)、Edible Bathroom(食べられるお風呂やトイレ)、Edible Tools(食べられる道具達)まで、身の回りの空間が全て食べられる時代が来ても、おかしくはない。

「いざとなったら、身の回りの環境やモノが食べられる」って、新しいじゃないか。

昔から、食べられるものを他の用途や素材として使う、という例なら事欠かない。包装紙代わりの「オブラート」はもちろん、子供が口にしても大丈夫なように作られた「デンプンのり」も昔からあるし。

例えば、「枕の中身はダイズやコメ(乾物、保存食)」とか、「ストローまでコーヒーやミルクでできている」とか、「出汁の出る菜箸」とか。一見、お遊びみたいなテーマだけど、Edible○○は、サステナビリティやエコフレンドリーなプロダクトのアイデアにも繋がるのだ。

そんな「Edible○○」の裾野の広さを感じて、企業さんや研究者さんに声かけて、企画&開発プロジェクトを始めてみた、今日この頃。

さて、話を戻して。

キクチがEdible○○が好きなのは分かったけど、 道具の話ばっかりで"House(家、建材)"には程遠いじゃないか、とツッコんでくる方へ。ちょっと現実的な話を。

それは、

「木材は、食べられるようになる」。

という話。

数年前から日本でも、北海道(北見)や宮崎で、木材やパルプを動物の飼料にする動きが始まっている。農水省はもちろん、林業会社や日本製紙なども研究に取り組んでいるのだ。蒸煮によるリグニン等の除去(分解)ができれば、牛などがセルロース等を吸収できるようになるし、パルプならなんと、"トウモロコシ並み"の栄養価になるそうだ。

(確かにヤギとか、紙を食べるもんなー。。)

古来から日本やアジアでは、人も竹や木の根は食べるし、技術の進歩であらゆる木材が食べられるようになる、というのも「言われてみれば、当たり前」なのかも知れない。

「お菓子の家」ほど、食べて美味しいとか、フワフワな状態にできるかはまだまだナゾだけど(笑)。少なくとも、建材や内装材を食べられる時代は、もうすぐそこ。

お菓子の家(Edible House)は無理なんかじゃない、「あり得る未来」になっているのだ。

~~~追記~~~
「Edible○○プロジェクト」や「Edible House(食べられる家)プロジェクト」はまだ始めたばかり。参加企業やプロジェクトメンバーを募集してます!お気軽にご連絡くださいねー。

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シン・キクチ

いきものCo./たべものCo.代表。 生物、生態系、食物などの生命資源の世界を扱う事業家。ビジネス・デザイナーやフードロジスト(農畜水産や流通を含む、食べ物の専門家)としても発信しています。グッドデザイン金賞など、受賞も色々。

たべもの進化論

「これから」の食べ物、食べ物が生まれる環境、食べ物をつくる生産者さんをデザインするプロジェクト。20年後の世界に向けて、食べ物の未来を提案します。
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