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JW28 琴の浦の戦い

【神武東征編】EP28 琴の浦の戦い


長兄の彦五瀬命(ひこいつせ・のみこと)を失った、狭野尊(さの・のみこと)(以下、サノ)一行。

悲しみに暮れる中、二つの鏡を鎮座する候補地を目指していた。

サノ「兄上がいない・・・。まだ実感が湧かぬ・・・。」

そこに、おじいちゃんキャラの天道根命(あまのみちね・のみこと)(以下、ミチネ)がやって来た。

ミチネ「お気持ち、御察しもうしまするが、神宝を鎮座させる土地の検分、忘れてもらっては困りまするぞ。」

サノ「忘れてはおらぬ。ただ、気持ちが乗らぬ。」

ミチネ「それでも検分はしていただかなければ・・・。そろそろ到着いたしますぞ。紀元前663年6月23日のことにござりまする。」

そのとき、次兄の稲飯命(いなひ・のみこと)と三兄の三毛入野命(みけいりの・のみこと。以下、ミケ)が歓喜の声を上げた。

ミケ「やった! やっと陸地っちゃ。もう船路はコリゴリっちゃ。」

稲飯(いなひ)「そうやじ。船に乗るなんて、もうたくさんやじ。」

サノ「兄上! 何を言われまするか! 船での移動に文句を言ってはなりませぬ。漕ぎ手の者たちに失礼ですぞ!」

稲飯(いなひ)・ミケ「さすがは、我が弟よ!」×2

ミチネ「見えて参りましたぞ。木国(き・のくに)の毛見郷(けみ・のさと)にござりまする。二千年後の和歌山市毛見ですな。では、あちらの海岸に向かいましょう。『毛見ノ浜(けみのはま)』にござりまする。二千年後で言う『浜の宮海岸』ですな。」

毛見郷
浜の宮海岸1
浜の宮海岸

サノ「ここに鎮座させると?」

ミチネ「いえ、ここから内陸部に進んだところに、二千年後で言うと和歌山市(わかやまし)秋月(あきづき)というところがあるのですが、そこに鎮座させようと思っておりまする。」

秋月へ

サノ「あい分かった。では、あの入り江に船団を停泊させようぞ。」

こうして一行が入り江に停泊しようとしていた時、突然、目の前に軍勢が現れた。

軍勢

その先頭に立つのは、甲冑を身にまとった女人であった。

サノ「な・・・何者じゃ!」

稲飯(いなひ)「もしや長髄彦(ながすねひこ)の軍勢ではないか?!」

女人「残念でした。あたいは名草戸畔(なくさとべ)。この名草邑(なくさ・のむら)を治める者よ。侵略者は許さないっ。死ねっ!」

ミケ「な・・なんか勘違いされてるんやないか?」

そのとき、博学の天種子命(あまのたね・のみこと)が説明を始めた。

天種子(あまのたね)「入り江はのちに『事の起こりの浦』という意味から、『琴の浦』と呼ばれるようになったそうや。」

琴の浦風景

稲飯(いなひ)「そんなこと言ってる場合かっ!」

名草戸畔(なくさとべ)「説明をする暇があると思っているのかっ?! 死ねぇ!」

軍勢が襲い掛かってきたので、一行は再び海に向かって逃げることにした。

急いで岸辺から離れていく船団。

それを見て、名草戸畔は大声で笑い出した。

名草戸畔(なくさとべ)「皆の者、これで安心じゃ。侵略者はいなくなったぞ。」

意気揚々と帰っていく名草軍。

それを船からじっと見ている一行。

そのとき、天道根命が雄叫びを上げた。

ミチネ「我が君っ。今ですぞぉ! 今こそ上陸ですぞ!」

サノ「なっ?! 上陸せよと申すか?」

ミチネ「我らが戻って来るとは、奴らも思ってはおらぬはず・・・。」

サノ「た・・・確かに・・・。よし、上陸せよ!」

一行の船団は再び上陸を開始。

名草戸畔は、まさか再上陸してくるとは思っていなかったのであろう。

今度は攻めかかってこなかった。

そのとき、またしても天種子命が説明を始めた。

天種子(あまのたね)「出て行くように見せかけて、船尾から着岸したことから、この地は船尾(ふのお)と呼ばれるようになったそうや。今の和歌山県(わかやまけん)海南市(かいなんし)の地名にあらしゃいます。」

琴の浦

サノ「とにかく上陸できたな。」

ミチネ「そうですな。」

サノ「ところで、神社の名前は決めておるのか?」

ミチネ「さすがは我が君。話が早い。日像鏡(ひがた・のかがみ)の方は日前神宮(ひのくまじんぐう)と申しまする!」

サノ「別々に祀るということか・・・。」

ミチネ「はい。そして、日矛鏡(ひぼこ・のかがみ)の方は國懸神宮(くにかかすじんぐう)と申しまする。」

ここで、目の周りに入れ墨をした大久米命(おおくめ・のみこと)がツッコミを入れてきた。

大久米(おおくめ)「ちょっと待ってくださいよ。二つ別々ってことは、どっちを秋月に祀ったんすか?」

ミチネ「どちらも同じ場所に祀ったのじゃ。」

ミチネの言う同じ場所とは、一体どういうことなのか? 

次回に続く。



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