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憧れのあなたへ

わたしがあなたを知ったのは、もう6年近くも前のことです。
はじめはあなたの横にいるあの人に惹かれて、あなたの横にいたあの人に夢中だった。
でも、いつからでしょう。
あと人の横にいたあなたのことが、急に気になるようになった。
そしてわたしは次第に、あなたの姿を必死に追いかけるようになりました。

大きな瞳とくっきりした二重。
すっと高くて凛々しい鼻。
ぷっくりとしたセクシーな唇。
嫉妬するほどの小顔。
どんな長さでも、どんな色でも似合う髪。
細くて長い、しなやかに動く手足。
頭のてっぺんから足の先まで、非の打ちどころがない完璧な造形。
等身大で嘘偽りのない、ストレートな表現で人の心を打つ作詞センス。
誰にでも聞きやすいのに、誰も聞いたことのないようなメロディーを生み出す作曲センス。
曲の世界観に合わせた変幻自在な歌唱力。
舞台上で舞い踊る、女優のような表現力。
「天は二物を与えず」なんて、誰が言ったのだろうか。
すべての才能を欲しいまま独り占めするあなた。
そして何より、そこにいるだけでいい、絶対不動の存在感。安定感。

若くして絶対的地位を確立したあなたの目の前には今
どんな世界が広がっていますか。
どんな世界が見えていますか。
どこにも不備がない。
逆に何がないんだろう。何が足りないんだろうってくらい。
何が違うんだろう。なんで違うんだろう。
なにも持っていないわたしと、何もかも持っているあなた。
あなたが見ている世界を、わたしは一生見ることができない。

どんな努力をしたら
どんな苦しみを味わったら
どんな逆境を乗り越えたら
あんな人になれるのだろう。
凡人はどうやったら追いつけますか。
どうやったら近づくことができますか。
どうやったらたどり着けますか。

いや、きっとそうじゃない。
わたしは既に、そこにたどり着けない事を知っているのだ。
同じ努力をしたとしても
同じ苦しみを味わったとしても
同じ逆境を乗り越えたとしても
わたしはあなたにはなれない。
追いつくことも近づくことも、たどり着くことは一生ない。
この願いが永遠に叶わないとわかっているからこその憧れ、羨望、そして嫉妬。
でも、絶対に叶わないからいいのかもしれない。
どんなに目指しても届かない存在。
だからこそ、どこまでも目指せる存在。
そんな、絶対不動の存在感。
そしてそこに付随する安心感。
それを、わたしはたまたま彼に見出しただけのこと。

BugLug一聖
絶対不動のフロントマン。
絶対不動のわたしの指標。
今日もわたしは、絶対に届くことのない彼の背中を追いかけて生きていく。

憧れのあなたへ
いまはまだ名もないわたしより

2018.05.07

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