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白い牛乳 note食品学 5食目

スーパー銭湯の自販機でコーヒー牛乳と並ぶ牛乳をみた時、「あっ牛乳って白いんだ」と思ったことありませんか?

普段食べているものの"色"って案外意識していなくて、何か比べる対象があったときにふと考えてしまう、なんてことあるんじゃ無いでしょうか?僕は結構、食品の色について考えます。

今回は牛乳がテーマ。牛乳ってなんでどうして白いんでしょう?

これには「コロイド」が関係しています。まずはコロイドについて学んでいきましょう。


コロイド

直径1~100nm程度の大きさの微粒子状の物質が他の物質に分散した状態のことをコロイドといいます。

分散する微粒子もしくは微小な液滴→コロイド粒子

コロイド粒子を分散させている物質→分散媒

粒子として分散している物質→分散質

とそれぞれ呼びます。

用語だけ書いても全く伝わらないと思いますので、牛乳を例にします。

牛乳は一見普通の溶液のように見えますが、中身をよく見ると

分散質→脂肪球 カゼイン粒子(タンパク質)

分散媒→水

となっていて、牛乳は水の中に脂肪球やカゼイン粒子が水に分散しているコロイドなんです。


牛乳が白い理由

さて、ここからがで牛乳が白い理由です。

みなさん、朝霧の中森を歩く気持ちの良い朝を思い浮かべてみてください。

こんなイメージが浮かんできませんか?

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                     Wikipedia コロイドページより引用

まさに木漏れ日ですが、この現象「チンダル現象」と言います。

コロイド粒子にあたった光が散乱して、白く見えています。

この空気中にもコロイドが存在しています。

分散質→水滴

分散媒→空気

光の通り道にコロイド粒子が存在していて、光の通り道が見えてしまっているんですね。


牛乳の中のコロイド粒子は脂肪球やカゼイン粒子です。

これらのコロイド粒子に光が当たると乱反射するため、透明ではなく、濁って白く見えるというわけです。

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分散質や分散媒といった言葉を見るだけでコロイドを理解しようとすると難しいですが、牛乳を例にして伝えることでコロイドが理解できると思います。牛乳が白い理由を知ることできてよかったの感想がすんごく書かれていました。

牛乳には何か白い色素が入っているんだと考えていた学生はびっくりしていましたね。


コロイドの種類

コロイドは分散質と分散媒の組み合わせにより様々な名称で呼ばれます。

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牛乳は「エマルション」という分類になります。マヨネーズやバターもエマルションの仲間です。マヨネーズは水の中に油滴が分散した「水中油滴型(oil / water, O/W)型エマルション」、バターは油の中に水滴が分散した油中水滴型(water / oil, W/O)型エマルションと分かれて呼ばれます。

柔らかーいエマルションはO/W、固めのエマルションはW/Oだなぁとイメージしておくと思い出せますね。


面白いのはキセロゲル。代表例は高野豆腐です。凍り豆腐といったり、凍み(しみ)豆腐といったり地方によって名前が違いますね。寒暖差の大きな地域で、野外で豆腐を吊るし、乾燥と凍結を繰り返すことで水分を抜くというのが伝統的な製法です。

豆腐はタンパク質が水に分散して流動性を失ったゲルです。この豆腐から分散媒が失われ、網目構造を維持して残った個体成分が空気を分散させている形になったのがキセロゲルというコロイドに分類される高野豆腐です。

中に空気を分散させているので、高野豆腐は、調理の際に出汁など水分をたくさん吸収し味の染み込んだ料理に変身できるんですねぇ。

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おわりに

今回は牛乳はなぜ白いか?から始まりコロイドについて学んできました。自分たちが普段食べている食品もその特性によって様々な分類ができます。

この食品はなんでこんな色をしているんだろう?どんな粒子が分散しているんだろう?と疑問を持って食品を見るようになると、普段の食事や買い物が学びの場へ変化します!

自分の目で見て、頭で考え、作ってみて、そして食べてみる。この経験をどんどん積み重ねていくことが管理栄養士となった時のあなたにとって役に立つはずです。

それでは、ごちそうさまでした。

【参考文献】
食品学ー食品成分と機能性ー 久保田紀久枝・森光康次郎 東京化学同人
エッセンシャル食品化学 中村宜督・榊原啓之・室田 佳恵子 講談社

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