girl

いとしい人

どこに行ったの？

傷だらけになって

必死に、懸命に走る

あの子はどこに行ったの？

今までのどれも

今も

どれも大切なのに

少し寂しいよ

どうすれば、どこに行けば

会えるの？

いま

いましかないんだよ。

いま。

未来なんてわからないし、わからないから自分でつくれるし。

過去なんてただ過ぎ去っていったものでしかなくて。

簡単に変えられる。

過去も未来も、曖昧で不確定で、ふわふわしたものだ。

確かで、絶対に信用できるのはいましかない。

いま、何を感じているのか。

いま、何を考えているのか。

それがすべてで、いちばんだいじ。

時間の流れを証明できるものなんてなく

どんな表情でも壮大で美しい空に嫉妬する。

おもいで

頭の中にしかもうないことが

こんなに寂しいなんて

目を瞑ったら思い浮かぶことは

それは過去なんだと証明しているようで

なんだかなぁ

次第に鮮明さを失っていく思い出と

だんだんぼやけていく顔が

現実を薄れさせる
#おもいで #詩 #ことば #つれづれ

美味しくても、美味しくなくてもいい。
できるだけ、不純物を取りこみたくないの。
私のからだくらい、私のものでいいじゃない。

あまい

あなたの形をなぞるように

雨にぬれた

水にはじくからはじめてそこにあると

わかったの

いつもよりもちいさくまるくなって

そのまんま

溶けてっちゃえばいいのに

アイスクリーム

のように甘くはないけれど

ちいさく震える

あなたに愛おしさがとまらない

とまらない

マーブルもよう

愛おしい

さみしい

くるしい

うれしい

いろんな感情を

まぜたらできたもの

ぎゅっとして

そっと触って

ふわりとなでて

そうしてできたもの

ぱっとひらいて咲いた

あたたかなきもち

マーブルもようのきもち

いろんな色があるから

美味しい

あたたかさが違うから

うれしい
#詩 #ポエム 　

音が刺さって割れた骨

耳にひびく

頭蓋骨に音がささる

もうなんにも聞きたくなくて

なんにも入れたくなくて

ぐわんぐわんする

頭の中がいっぱいになって

耐えられなくなって

いっそのこと耳なんて落としてしまったらどうだろう

なんにも聞こえなくなったら

きっと心で感じられるはず

それはたぶんほんとに近いもの

五感をふさいでしまっても

心で感じられるものは

どれほど美しいんだろう
#詩 #ことば 　

あき

ときどきね、よくわからないんだけども

なんだか、さわぁって風がなでたような気がするの

ときどきね、よくわからないんだけども

ひそひそって何かがささやく気がするの

冬のはじまり

追いていかれた夏のくうきが

急ぎあしで去っていく

一年に一度だけ夏と冬がすれちがう

「ごきげんよう

今年も地球をよろしくね」

「あとはまかせて

また来年にね」

そんなささやきが聞こえる

そして夏は地

すきときらいは一緒に食べると切ない味がするし

寂しいと寒いの原因はきっと同じだし

グレーがあるから人間なんだし

つまり何が言いたいかっていうと

曖昧を楽しんでもいいんだよってこと。

しってる？

つめたい。は青いし。

あつい。は赤いし。

すきだ。は恋だし。

そうね。は愛だし。

あたりまえ。はいつも遅いし。

そんなことすら。気づかないし。

そうしていつのまにか。毎日は鮮やかだし。

それはきっと。君のせいだし。

声をあげると。聞こえるように。

あたためると。わかるように。

そこにいるのが。うれしい。
#詩 #コラム

若気

あのころは

あのころと言えてしまえるあのころは

心にナイフをもっていた

それを手でそっと包むようにして隠してた

ふっと力を込めると血がこぼれそうな

危うくて、繊細で、鋭く痛い

だれも傷つけたくなくて

でもナイフは消えなくて

それならせめて、と言って握った

どうにもこうにも変えられないものはたしかにあって

縛られているようで本当はあきらめていて

暴れているようで本当はかなしくて