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旅だ inベルリン ⑥

ベルリンで電車を利用する際の
1日フリーパス券である
TagesKarte(ターゲスカルテ)に、
購入時刻を打刻していなかったために
抜き打ち検札で罰金をとられたわたしたちは、
心身ともに消耗し、近くのスタバで休むことにした。

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ここのスタバは最高におしゃれな造りで
入ったとたんに、萎びていた気持ちを忘れて、
おおーすごい…と口から漏れた。

検札のために目的地ではない駅で降ろされたが、
このスタバと出逢うためだったと思えば
少しは救われる。

照明が美しく、色彩がバランス良く統一されていて
落ち着いた暗めの店内だが、窓からの彩光が明るく
光と影の調和がモノクロ写真のよう。
日本のスタバも良いが、
ベルリンはやはり、根本的なセンスが段違いである。

カウンターでわたしがカプチーノを頼むと、
美人クルーから何かドイツ語で聞かれた。
「?」となっていると
夫が「なんか知らんが名前聞かれてるよ」と言う。
な、名前?
とりあえず、マナだと伝えると、
ペーパーカップに何やら書き込んでいる。

そして受け渡しカウンターから、
マナー!カプチーノできましたよー」
なるドイツ語で呼んでくれる!
親しみがあってフランクで、とても嬉しい!
ドイツでは、名前を呼んでくれるものなのか。

Bitte schön.(どうぞ)
と言われてカップを見ると、
mana ╹◡╹ ♡
と書いてあってかわいい。
サービスも最高である。

2階に続く階段が、広くてカーブしていて
上がりきると正面に壁一面の本棚。
左手には大きな窓に、薄陽の午後の空があった。

なんて落ち着くんだろう。

決して静寂というわけではなく
皆さんおしゃべりしているのだが、
ドイツ語の響きがそうさせるのか、静かだ。
思い思いにここでの時間を満たしている。

日常の通過点であるスタバは
こうあるべきだと学んだ気持ちだ。
それに、しょんぼりしていた気持ちが
一気に最高潮に達し、素敵な一日に変わった。
Danke schön!

翌日は、ホテルを移るので
book&galleryのお店は明日にして、
荷物をまとめるために早めに宿へ戻ることにする。
今日はいろいろあったし、
この素敵な時間の余韻を失いたくなかった。

部屋でのお楽しみに、
もう一度美人クルーのところへ行き、
クッキーを買うのも忘れなかった。

つづく。

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