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今回の事件とホルムズ海峡の重要性についてです。 2023/07/06

現在WTI価格は71ドル近辺で推移しており、サウジアラビアとロシアの減産報道と中国の景気上昇期待の低下という材料から引き続き価格の膠着状態が続いている。

今回のニュースについて

本日、「イラン船が石油タンカー二隻の拿捕図る、発砲も 米海軍が阻止」という報道がロイターに流れた。

二隻中一隻に関しては発砲したという。

詳しくは、日経とロイターのリンクを貼るためそこから確認してほしい。

現時点では市場に大きな影響は出ていないが、もちろん今後価格が上昇する可能性がないとは言い切れない。

さて、今回は「ホルムズ海峡の地理的な重要性と日本との関係」を確認していきたい。
【結論:原油タンカーの輸送路で最重要ポイント】

ホルムズ海峡とは

中東・ホルムズ海峡とペルシャ湾を繋ぐポイントであり、最も狭い場所では約33キロの幅しかない原油輸送の要衝である。

世界の3〜4割の原油が世界に供給される際に、このホルムズ海峡を通っており、まさに「原油の大動脈」である。

日本とホルムズ海峡


経済産業省の5月分の石油統計速報によると、日本は中東に96.5%原油を依存している。
中東から日本にタンカーで輸送される原油のおよそ全てはこのホルムズ海峡を渡航しなければならない。
つまり、日本のエネルギーにとってホルムズ海峡は生命線ともいえる重要なポイントなのだ。ホルムズ海峡が使用できなくなれば、日本に原油を運ぶ手段はなくなる。


ホルムズ海峡の有事に関する過去の事例


2019年三井のタンカーがホルムズ海峡にて被弾をしたというニュースが記憶に残っている読者もいるかもしれないが、実は数ヶ月前にもこのポイントで日本船ではないがタンカーに関する問題が発生しているのだ。

今年4月末にはオマーン沖で、5月初めにはホルムズ海峡を通過中の商用石油タンカーがイランに拿捕されている。

また、近年このポイントにおいての原油供給不足リスクとして最も注目されたのは2018〜2019年である。
イランとサウジアラビアによる宗教対立がイエメン国内で代理戦争として行われていたことは記憶に新しい人も多いだろう。
当時の日本の原油依存度は86%だったが、上述した通り現在は当時より10%程依存率が高い状態だ。

有事の際のホルムズ海峡

先に述べた通り、ホルムズ海峡は世界とっても日本にとっても重要な意味をもつ。
このポイントが航行不可能になったら、世界、日本共に原油の供給が絶たれる為、原油価格は高騰するだろう。

ホルムズ海峡封鎖という自体に陥った場合

現時点での原油価格の急激な高騰は各方面において望ましくない。

アメリカでは、本日6月のFOMCの議事要旨が公開されたことで、株価の重しとなった。利上げを示唆すメンバーがいたことが発覚したからである。
今までの利上げの効果が出始めてきているとは言え、現段階での原油価格の高騰は物価の上昇につながりそれは望ましいことではない。
また、急激な原油価格の上昇はドライブシーズンのガソリン需要も冷しかねない。

中国においては、先日発表された製造業PMIが49.0と3ヶ月連続で50を下回り、景気後退懸念が鮮明になりつつある。消費が落ち込めば中国の景気後退も加速するリスクがある。

イギリスは景気先行指数として見ることができる失業率が4月の時点で上昇し、5月は前月比0.1下落している。また、製造業PMIは46.2であり、昨年9月から50を上回ることができない状態だ。未だ6月の失業率と新規失業保険申請者数が出ていない為、明確ではないが不況前夜ではないかと筆者は考えており、ここに急激な原油高が襲えばまさに追い討ちとなる。

ただ、筆者は今回の件で封鎖になるような自体にまで発展することはないと考えている。

イランの近況

イランはイスラム教シーア派が多くを占める国家であり、サウジアラビアと戦争をしていたが、3月に中国が外交正常化を仲介した。

そんなイランについて日経新聞は昨日、中国とロシアが主導する地域協力組織「上海協力機構(SCO)」に4日開催されたオンライン形式の首脳会議にて米欧の経済制裁下にあるイランの正式加盟を承認したと報道した。

(この記事は投資などを進めているものではなく、あくまで筆者の意見であり、投資などはご自身の責任のもとでよろしくお願いいたします。)



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