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#17 鉄棒学習カード活用法:効果的な授業準備とねらいの考え方


鉄棒学習のねらいについて

1はじめに

知っトク!学級経営⑪ 授業準備編その4です。

指導案のねらいを読むと、指導書のねらいをそのまま写しているだけのものをよく見かけます。それ自体は悪いことではありません。
ただ、指導書のねらいは、指導書通りの学習内容を行った場合にのみ適用できるものであって、自分で考えた学習内容のねらいとは異なります。

特に、指導案を書く際には、特にこのねらいと学習内容が連動しているのかを考えていかなければいけません。

まずは、45分の授業の中で何を身に付けさせたいのかを、はっきりさせる必要があります。
つまり、45分の授業のゴールを作るのです。

そのためには、単元全体のゴールを見据えた上での45分間になっていることが前提となります。これが授業デザインのスタートです。
授業デザインって何?という方。
こちらに詳しく書いてあるのでご覧ください。

では、実際に鉄棒学習における、3つのパターンを想定してみたので、考えていきましょう。

2学習カード=ねらいになっている授業

ここでいう学習内容は、学習カードまたは学習プリントのことです。
鉄棒カード(技がたくさん書かれているカード)をひらすら取り組ませ、できたらシールをはってあげる。
先生からシールをもらいたい一心でカードに意欲的に取り組む可能性もあります。

そういう意味では、子供はめあてをもっているのかもしれません。
しかし、これでは、
「カードにある技を1つでも多くできるようになること」
がねらいとなってしまいます。

できる子はどんどん発展技に取り組みますが、やがて壁にぶちあたり、やる気がなくなっていきます。
できない子はつまらないので砂遊びを始めます。
工夫したり考える余地を与えられたりする必要があるといえます。

自分が苦手とする授業の場合、このタイプになっていることが多いと思います。

3ねらいはあるが、学習内容とねらいが連動していない授業

なぜ、学習内容とねらいが連動しないのか?
理由は簡単です。
ゴールを考えるよりも先に学習内容を決めてしまうからです。

子ども同士でペアを作ってお互いに見合ってあげればいいんじゃない?
という方もいるかもしれません。先生がシールはってあげるよりは、よいとは思いますが、結末は結局同じです。

準備した鉄棒カードを活用して
「自分の能力に合った技の工夫や技の組み合わせについて考えることができるようにする。」
というねらいにして、鉄棒カードに取り組ませたらどうなるでしょうか?
一見、子供にとって、
「カードに書かれている技を早くやってみたい」
という思いと、教師側の技の工夫や組み合わせについて考えさせたいうねらいが一致しているように見えます。

しかしながら、カードを中心に授業を組み立ててしまうと、やはり矛盾が生じます。
なぜか?
それは児童の実態に合わない場合が多いからです。
特に鉄棒が苦手な子にとってはおそらくできない技のオンパレード。
鉄棒の時間は毎回、おなか痛くなって見学することになるでしょう。

もちろん、実態を事前に把握した上で作成した学習カードであるなら問題ないと思います。

校内研究の指導案などを見ると、ねらいは立派だけれども、中身(学習内容)が伴っていないことも多いです。

どうしてこうなってしまうのかというと、先に学習活動を先に考えてしまい、ねらいは教科書の指導書などからただ単に引用してくることから生じています。
授業を組み立てる際、まず、ねらいが先にこないと、学習内容がきまりません。

4ねらいが明確で、学習内容も児童のめあてと連動している授業

ねらいは、どのようにして決めるとよいのでしょうか。
それは教師の思いや願いと大きく関係があります。

つまり、子どもだけでなく、
教師の側にも「~~させたい」という「たい」がないと始まらないのです。
それが、単元のゴールにもつながり、本時のゴールにもなるのです。
残念ながら、教師の「~させたい」がそもそもなかったり、児童の「~したい」と教師の「~させたい」にずれがおこったりして、授業が始まっていくことが多いので、
学習内容とめあてにねじれが生じるのです。

私は、鉄棒の学習をする際には、子供達に回転する楽しさや、逆さになってぶらさがる楽しさを実感させながら、回転感覚、逆さ感覚を養わせたいという思いをもって指導にあたっています。

そこで、いきつくねらいはこうです。
「回転する技や逆さになってぶら下がる技に工夫して取り組むことができる」
これが身に付けさせたい力となります。
そして、実態調査をもとに、学習カードを作成し、苦手な子も得意な子も意欲的に取り組めそうな技を紹介します。
さらに、オリジナルの技などをも考えさせるようにします。

このねらいをもとに学習内容を具体的に考えていきます。
工夫すること自体がねらいになっているのだから、
そうすると、
「先生、こんな技考えてみたけどどう?」
「先生、カードにない技自分で考えてもいいの?」
「友達と一緒にペアでやってもいいの?」
など、いろんな意見がでてきます。

また、苦手な子どもでも、取り組める技の紹介も必要です。
苦手な子は逆さになるのが怖い!と思っている子が多いです。
逆さが怖いなら、ぶたのまるやきなどから取り組ませていくとよいでしょう。
苦手な子でも楽しいという実感を得ることができたら、意欲的に活動に取り組んでいきます。

5まとめ

あくまでも学習カードは、授業の参考資料として活用すべきもので、学習内容の中心にはしません。
これは、どんな学習においても言えることです。学習カードは授業をする際、必要なものではありますが、
カード=学習内容ではありません。
この学習を通して、どんな力を身に付けさせたいのかを、授業準備の時考えられるようになると、先生も子供も楽しい授業になると思います。

以上、授業準備の仕方でした。
一人でも参考になる方がいたら幸いです。

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