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テレビ越しから音楽を楽しむコツ。

見せる音楽を魅せる音楽へ。聴くこと以外の楽しさがある。そう感じるのが年末の音楽番組のいいところだ。

12月となり、年を越すための準備などもさながら、ホームでゆっくりとテレビを見てこたつ&ヒーターでぬくぬくと過ごす一夜が想像できる。点けたテレビ画面には聞き慣れた歌声だったり、今年最も輝いたアーティストが演者としてステージを盛り上げているようすが映る。12月には代表的な番組「ミュージック・ステーションSP」「FNS歌謡祭」「日本レコード大賞」「NHK紅白歌合戦」などあるが、子供時代から相も変わらずの音楽の祭典に少し心がおどる。

今日も何気なく眺めていたミュージックの中で、普段イヤホンで聴くときとは違う感覚を感じた。”聴く”ときは歌詞や一つ一つメロディに耳を澄ましたり、作詞から心情を感じたり、作者と向き合っている感覚があった。”見る”ときは、歌・音を発するアーティストの表情や楽器の指使い、曲が生み出す一体感と空間に向き合っていた。向き合い方が違えば、感じ方も違う。おとなになってようやく、「テレビでは音楽の楽しみ方がそもそもちがっていたんだ」と気づいた。好きなアーティストを追い続ける子供の頃にはまったく気づかない感覚だった。

テレビメディアは見せ方を意識した演出効果が際立った。トップを走る現役アーティストと懐かしいソングのコラボ企画も、実験的だが飽きさせない。特に目を光らせたのは、坂本九さんの「上を向いて歩こう」を”三浦大知”&”満島ひかり”のダンスパフォーマンスを加えたポップアレンジだ。ステージ全体を2人が”小人のホビット族”のように走り回り、周りではトランペットやバイオリンが跳ねるリズムで音を奏でる。音に合わせて弾むテンポで歌う二人には「ひとーりぼっちのよる〜♪」とは思えないのだ。

韓国から参戦のSEVENTEEN「Juicy」にも、ジャジーなダンステンポでお台場の夜が包み込まれた。シンクロされた17人の動きとファルセットボイスが幻想的で、初めて見た視聴者に「カッコいい」と思わせる演出効果が散りばめらている。私のそばにいた家族がときめいていた点は認めざるをえない。

音楽を”聴く”だけでなく、”見る”ことの楽しさも気付かされた12月。普段音楽を聴かない人でもきっと楽しめる音楽番組のラインナップとなっている。メディアを盛り上げようとアレンジを考えるスタッフ、企画を実行に移すアーティストの情熱が少しでも垣間見えるかもしれない。見せる音楽を魅了する音楽(=魅せる音楽)として楽しむきっかけとなれば幸いだ。

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