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読書紹介65「モルグ街の殺人」~推理小説の元祖!!推理小説の「約束事」がここから始まった!!

あらすじ
  パリでパリで起きた残虐な母娘殺人事件を、人並みはずれた分析力で見事に解決した、オーギュスト・デュバンの話。
  殺人の残虐的で奇怪かつ超人的な手口と、それを漏れ聞いた各国籍の商人たちが一人残らず犯人の声を自分の母国語以外を喋る外国人と決めつけていたという事実、加えるに屍体から発見された人間ならざるものの体毛などといった状況証拠から驚くべき真犯人を探り当てる。

感想など

 以前、このNOTEで「スキ」を頂いた方の作品で「推理小説にも古典がある」「古典となる推理(トリック)を読んで知っておくと、新しい発見がある。今につながるトリックやストーリーを見つけられる」というような内容があって、なるほど!と共感しました。
 そして、さっそく、エラリー・クイーンやアガサ・クリスティの作品を手にしました。
 
 さらに、とうとう古典中の古典、いや

推理小説の元祖とも言われる「モルグ街の殺人」を読みました。


 約70ページに書かれた短編ともいえますが、その中に

「密室殺人~犯人はどこからどうやって部屋を出たのか」
「オーギュスト・デユバンという魅力的な名探偵の登場」
「意外な真犯人」

という、今もミステリー(推理小説?)の作品にもよくある「約束事」がちゃんと入っていました。
 
 また、今回は新聞記事と言う形式で、取り調べを受けた多くの人の証言が列挙され、ある意味、読者に「情報提供する」形をとっていました。
 これは、アガサ・クリスティ作品によくある、事件に関わりがある人一人一人の証言(クリスティ作品では、名探偵と証言者の問答の形が多いですが)を提示していくことで、犯人に迫る手掛かりを読者にも示していく手法と同じです。
 
 今回の作品では、証言内容から次のようなキーワードが書かれていました。
・母娘は仲が良かった
・誰かがえらく苦しんでいるような叫び声がした。女性の声ではなかった。
 言語そのものはスペイン語ではないか・・・
・聞こえてきた甲高い声はイタリア人である。フランス人ではないことは確実だ。被害者と知り合いだったから分かる。その声が被害者のものとは到底考えられない。
・・・
 他にも別々の証言がたくさん出てきます。
 
 最後はお決まりの名探偵の解決編が記され(真相が話され)、物語は幕を閉じます。
 
 事件現場に残されたもの、証言された内容がどういう意味を持っていたかを書いていて、ちゃんと「伏線回収」されていました。
 この作品が、その後のミステリー、推理小説の元となった知ると、それだけで味わい深い気がしました。
 この作品が生まれなかったら、シャーロックホームズもポアロも、出現しなかった?あるいは、100年、200年も後になったかもしれません。

著書情報
・発行所   新潮社   
・発行年月日 平成21年5月1日

皆様の心にのこる一言・学びがあれば幸いです

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