見出し画像

ねこってこんなに可愛いの? 第8弾

みなさん、おはようございます。
kindle作家のTAKAYUKIでございます☆彡

久しぶりに実家へ帰ると、親父がねこと戯れていた。
親父は昔からねこに好かれる。親父が歩くだけで、後ろから野良猫がついてくるのは日常茶飯事。親父の体臭には、マタタビが含まれていると僕は本気で思っている。信じている。
「飯食ったか?」
親父が聞いてきた。
「食べてきた」
僕は普通に答えた。
「あ?」
「あ? じゃなくて、食べました!」
親父は決して耳が遠いわけではない。親父の口癖が「あ?」なのだ。仮に僕の声が聞こえなかった場合、普通の人なら「えっ?」とか、「聞こえなかった」とか、相手に聞き直すけど、親父の場合は「あ?」だ。
だから初対面の人には単に怒っているか、ため息をついているように聞こえるだろう。こればかりは本当に申し訳ないと、長男として謝罪致します。

すると、親父の足元にねこが集まってきた。
親父の足元の匂いを嗅いでいるユキ。パリコレへの道が閉ざされた今、ユキは正念場かも知れない。ちょっと太ったようにも見える。
その時、親父の前にもう1人、ねこが現れた。
「ソラ。ソラじゃないか!」
みなさん、覚えておいでか? あのユキにフラれたソラが、数週間ぶりに帰ってきたのであります。


眼光鋭くなったソラ。ユキは芝生の匂いが気になるようだ。


「ソラ。僕の懸念がひとつ解消されたよ」
僕はソラをモフろうとした。
すると上記の写真の通り、ソラが身構えた。
「ソラ。僕だよ。いつもツナとささみのハーモニーを拵えていた、僕だよ」
しかし、ソラは微動だにしない。どうやら僕の事を忘れてしまったようだ。ソラはもっと穏やかな表情をしていた。こんなに鬼気迫る表情になってしまったとは残念極まりない。
「これは気性が荒くてョ。はあこえッ」
親父がボソッと言った。
ちなみに、『はあこえッ』とは、疲れたという方言です。
気性が荒いと言われたソラのポージング。見方によっては親父を守っているようにも見える。
「モモと別れたのか? いずれにしろ、いつでもここに帰ってくるといい」
結局、ソラは一度も僕に心を許すことなく、茂みに消えて行った。

僕は天を見た。
「蒼天よ…TAKAYUKIはどんな困難でも受け入れます。どうか、ソラの邪気を取り除いて下さい」
親父が咳ばらいをしてから言った。
「おめえ~俳優にでもなったのか?」
「なんで?」
「だって空見てョ、ひとりで喋っから。土地狂ったかと思ってヒヤッとしたョ」
親父に言われた僕は、ハッとした。確かにそうだ。良い年の男が天に向かってお願い事を呟くのだから。近隣から通報されてもおかしくはない。
「言霊は、発しないと意味がないじゃん」
僕は言い訳じみた回答をした。
「あ?」
親父の今日一番の「あ?」がさく裂した!
「あ?」
僕も「あ?」で返した。

その後、「あ?」の応酬となり、疲弊した僕は昼寝をする事になった。

僕はソラとねこじゃらしで遊ぶ夢を見た。



【了】


この記事が参加している募集

猫のいるしあわせ

よろしければサポートをお願い致します! 頂戴したサポートはクリエイターとしての創作費・活動費に使用させて頂きます。